出荷者の確保 特産品づくりなど情報交換 地産地消で全国交流会2023年3月20日
JA全中は3月16日、東京・大手町のJAビルでJA地産地消全国交流研究集会を開いた。4年ぶりの実開催で全国からJAファマーズマーケット担当者ら約50人が集まり、出荷者対策や店内対策などについて情報交換した。
分科会形式でディスカッション
JA全中がJAファーマーズマーケット955店舗を対象に2022年度に調査では、販売高総額は約2500億円で平均は約2億7370万円だった。
客数は1億5400万人で1店舗当たり16.5万人となっている。客単価平均は1640円。
販売額が2億円未満の店舗では黒字率は34.7%と低く、一方、10億円以上になると88.6%だが、9~10億円では57.1%と黒字率は低く、必ずしも販売金額と相関しておらず、むしろ立地条件など店舗ごとに課題が異なるのが実態といえる。
第29回JA全国大会決議では、JAは出荷者向けの営農指導体制を強化し、新たな出荷者の掘り起こしを行うことや、出荷者の生産拡大と所得増大に取り組むとしている。
研究集会では分科会に分かれて出荷者対策、店内対策、外販対策をテーマに情報交換をした。そのなかでJA全中の山本雅之特別研究員は「最近では新規開設ではなく、出荷者の減少、販売の伸び悩みなどから運営改善がテーマになっている。その課題は一店舗づつ違う。現場から解決策を見つけていくしかない」と指摘した。
担当者からは現場の課題が語られた。売り場に並ぶ野菜の質に出荷者によってばらつきがあり、店舗の評判を落とすとして出荷者基準を厳しくすべきとJAトップ層から意見が出たが、現場からは「逆に間口を広げ、指導を徹底してはどうか」との考えで営農指導に力を入れることにした例や、新規出荷者の確保のため「農業塾」や「園芸教室」を開催し1年間の実習後に出荷者となる取り組みを行っているという報告もあった。
また、出荷者のすそ野を広げるために苗を配布している例や、ファーマーズマーケットに農園を併設し新規品目を試験的に作り、出荷者に関心を持ってもらう取り組みなどもある。また、実績のある出荷者に新規品目を栽培してもらい、最初は全量買い上げて販売するというJAもあった。
ただ、珍しい野菜を作っても「売れないという現実がある」と、消費者ニーズの多くは一般的な野菜を求めているとするとの声の一方、「珍しい野菜コーナー」を作り、そこで野菜ソムリエが食べ方を教えながら販売し実績を上げている例も報告された。
また、研究集会ではJAタウンシステムを活用した「直売所間取引システム」についても紹介された。品揃えの偏りや、閑散期に棚を充実させる手段がないなど直売所がある一方、余剰商品を抱え新たな販売先を開拓したいと考えている直売所もある。こうした課題をマッチングさせるシステムで、直接接点のない直売所間での取引が可能、在庫問い合わせ対応の業務削減など、メリットがある。
システムの開発とモデルJAでの試行をしてきたJA全農は希望するJA・直売所が利用できるよう現在準備を進めている。
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