23年度に米運搬専用貨物列車定期化も 2度の試験輸送で手ごたえ JA全農2023年3月29日
JA全農は米の輸送について、JRコンテナ専用列車を貸し切っての定期輸送を、2023年度中に開始する方向で調整している。青森発大阪着の日本海ルートを使う。トラックドライバーの時間外労働の規制が強まる、いわゆる「2024年問題」の中でも物流体制を維持するための対応で、コンテナ輸送はトラック輸送よりも時間がかかるため、JA全農関係者、販売先の受注体制に工夫が必要となるが、今年に入り2度の試験輸送をした結果、一定の成果を得た。
試験輸送を行った貸切貨物列車(3月6日、JR百済貨物ターミナル駅=JA全農提供)
JA全農は、米穀の物流でのドライバーの労働時間短縮への対応について、「計画的集約保管の拡大」「トラック中継輸送の拡大」「モーダルシフト(海上・コンテナ輸送)の拡大」の3点を軸に対策をたてており、今回は貸切貨物列車での輸送を具体化させた。
試験運行は日曜日から月曜日にかけて運行する、JR貨物の休眠しているダイヤを利用した。青森・八戸貨物駅を午前7時半に出発し、大阪・百済貨物ターミナル駅に翌日午後5時半に到着する日本海ルートで、青森から秋田、新潟、金沢、福井の各貨物駅を経由して、大阪に入る。今年2月19日発(20日着)、3月5日発(6日着)の2回、試験輸送を行った。
2回の試験輸送
貨物列車は12フィートコンテナ(ft)の100基分となる約500トンの米を積み込むことができる。貨物を貸し切る際のJR側からの条件は最低80基を動かすことであり、一度にこの量の発注が集まるかどうかが懸念材料だった。
各駅には周辺産地の倉庫から、貨物列車およびトラックで、パレットやフレコンの形で運んだ。八戸貨物駅から東青森、秋田貨物、新潟ターミナル、金沢ターミナル、南福井などの各駅で米を積みことで1回目は97基、2回目は100基の米を積み込むことができた。JA全農米穀部は「一定の手ごたえを感じている」と話している。
百済ターミナル駅からは各持ち込み先の最寄りの貨物ターミナル駅までコンテナで運び、そこからトラック輸送に切り替える。定期輸送も今回と同じ時刻、同じルートで行う予定だ。
JR百済貨物ターミナル駅到着後、先頭車両に看板をつけた(3月6日=JA全農提供)
これまでトラックで運んでいた輸送ルートも、「2024年問題」でドライバーの時間外労働の上限規制が強化されると、走行距離が500キロメートル以上の場合は、ワンマン運行が困難となる。米の主要産地である東北地方から関西方面にトラック輸送する場合、コスト増、輸送力の低下は避けられない。
またコンテナ輸送はCO2排出量削減につながり、トラック輸送と比べ10分の1となる試算もあり、カーボンニュートラルを進める上で有効だ。
ただコンテナ輸送はトラック輸送などと比べ、輸送時間がかかるため、取引先からの発注を早期化する必要がある。また時間がかかる分、夏場の輸送中に米の品質に影響があるかなどの懸念もある。米穀部は「トラック輸送からコンテナ輸送への切り替えは避けられない。関係者とていねいに協議を進めていきたい」と説明している。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(133)-改正食料・農業・農村基本法(19)-2025年3月15日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(50)【防除学習帖】第289回2025年3月15日
-
農薬の正しい使い方(23)【今さら聞けない営農情報】第289回2025年3月15日
-
イタリア旅行の穴場【イタリア通信】2025年3月15日
-
政府備蓄米 初回9割落札 60kg2万1217円 3月末にも店頭へ2025年3月14日
-
【人事異動】JA全共連(4月1日付)2025年3月14日
-
【人事異動】JA全中(4月1日付)2025年3月14日
-
(426)「豆腐バー」の教訓【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年3月14日
-
実需者と結びつきある飼料用米 支援継続を 日本農業法人協会2025年3月14日
-
オホーツクの恵み 完熟カボチャからフレークとパウダー JAサロマ2025年3月14日
-
日本一の産地の玉ねぎがせんべいに 産地の想い届ける一品 JAきたみらい(北海道)2025年3月14日
-
みおしずくがクッキーに 日野菜漬はふりかけに JAグリーン近江(滋賀県)2025年3月14日
-
地域の歴史受け継ぎ名峰・富士の恵み味わう かがり火大月みそ JAクレイン(山梨県)2025年3月14日
-
【人事異動】JA全厚連(4月1日付)2025年3月14日
-
高まるバイオスティミュラント普及への期待 生産者への広報活動を強化 日本バイオスティミュラント協議会2025年3月14日
-
岩手県大船渡市大規模火災での共済金手続きを簡素化 JA共済連2025年3月14日
-
【浅野純次・読書の楽しみ】第107回2025年3月14日
-
3月14日は「蚕糸の日」 大日本蚕糸会2025年3月14日
-
種苗・農産物輸出の拡大に向けた植物検疫のボトルネック解消「農研植物病院」へ出資 アグリビジネス投資育成2025年3月14日
-
【役員人事】農中信託銀行(4月1日付)2025年3月14日