担い手直送規格農薬 75%利用率目標 JA氷見市の自己改革2023年5月16日
富山県のJA氷見市では担い手の意見をふまえ、担い手直送規格農薬の利用を拡大させている。
同JAは農業者の所得増大に向け、ブランド牛「氷見牛」の生産農家に対して子牛購入時に低金利で融資する「ひみ牛資金」を通じた経営支援のほか、土づくりを通じた収量増加、集落一斉共同防除助成など、2022年度は15の独自支援策を実施した。
また、生産資材価格引き下げによる生産コスト低減に向けた実践として「担い手経営体利用調査」を活用して、担い手直送規格農薬を推進した。その結果、担い手農家の利用面積は前年に比べて140ha増加し、21年度に約53%だった利用率が22年度は約64%となった。
JA役員は79人すべての担い手を訪問し、JAの取り組みに対する評価や意向を確認している。
とくに担い手直送規格農薬は、通常規格品1袋あたりと比べて400円~450円のコスト低減効果が見込めることを説明するとともに、注文書は全農など関係機関と連携して、推奨品や新製品などが分かりやすくなるよう作成した。また、担い手直送便を通じた定期的な情報発信にも取り組んだ。
その結果、利用率は23年度目標の62%をも上回る64%となり、23年度の目標を75%に引き上げ取り組みを一層進める。
そのほか、22年度は一斉防除農薬の集中仕入れや仕入れ業者選定も厳格化し、仕入れ値がもっとも安い月に集中して仕入れるなどの取り組みも徹底した。
JAでは各地区2回の総代説明会や地区別集落座談会を通じて、担い手の声などふまえて取り組み内容や目標を改善しており、対話を徹底させている。
JA全中の中家徹会長は5月11日の定例会見でPDCA(計画・実行・確認・改善)サイクルを回す自己改革の実践が今後も必要であり「対話なくして自己改革なし」と強調した。優良事例をいかに横展開していくかもJAグループに期待される。
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