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地域を未来へつなぐ「連帯旗」の役割果たす 山野氏 全中会長候補所信説明2023年6月21日

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JA全中は6月21日、全中会長立候補者の所信説明会を東京・大手町のJAビルで開き、立候補者のJAそお鹿児島会長理事でJA鹿児島県中央会代表理事会長の山野徹氏が所信を説明した。今回の会長選挙の候補者は同氏1名だが全中代議員(定数253名)による信任投票を行う。信説明はインターネットを通じて配信した。

JA経営基盤の強化JA鹿児島県中央会代表理事会長 山野徹氏

山野氏の所信説明の概要は以下の通り。

食料安保の確立と国民理解

鹿児島県の農協に営農指導員として入組して以来、職員・役員として47年、みなさんとともにを心情に農業、農地を守り地域を支える事業や組織運営に取り組んできた。

今、農業・農村、JAグループは大きな転換を迎えている。この転換期をチャンスとして捉え、持続可能な農業のもと、地域を未来へつなげていくため、全中会長選に立候補することを決意した。

これまで3年間、全国厚生連、全国農政連のトップとして事業、組織運営にあたってきた。

これまで生産現場の声や実態を政策に反映される農政運動を展開してきた。現在、進められている食料・農業・農村基本法の見直しがJAグループにとって大きな転換期になると考えている。

重点対策の1点目は食料安全保障の確立と国民理解の醸成だ。カロリーベースの自給率は38%と先進国のなかでも低い水準であるなか、近年では気候変動、家畜の伝染性疾病の発生、世界的な人口増加にともなう食料の武器化が懸念され、食料をいつまでも安価に輸入できる状況は続かないことが明白となっている。これまで食料安全保障の確立に向けは政策推進全国大会を開催するなど、政府与党における基本法の見直しについて全国の意思反映を進めてきた。

その結果、検証部会の中間とりまとめをふまえた政府の展開方向には、平時からの食料安全保障の確立、海外依存度の高い品目の生産拡大、適正な価格形成などが盛り込まれた。さらに基本法において関係団体の役割や多様な農業人材の位置づけを明確化することも求めており、行政や関係団体との連携をさらに強化しながら、JAグループも主体性を持って見直し後の基本法の実践に取り組んでいく。

食料安全保障を確立するためには、生産から消費まで各段階における関係者の理解醸成が欠かせない。現在取り組んでいる国消国産をキーメッセージにマスコミとの関係強化を図るとともに、SNSなど多様な方法を通じ消費者の行動変容を促す活動も強化していく。

自己改革 対話運動重視

2点目は自己改革の促進と組合員との対話だ。農業者の所得増大、農業生産の拡大、地域の活性化の3点を基本目標として全国のJAグループで自己改革に取り組んでいる。令和4年度から自己改革実践サイクルの構築を進めており、農業者の所得向上につながる数値目標や将来見通しをふまえた経営方針を策定するなど、これまでの自己改革をより具体化しながら各JAで実践がなされている。

JAの自己改革を着実に実践していくためには、総合事業の強みを生かし農業者のニーズに的確に応えていく必要がある。JAと連合会の連携や、連合会自らの改革も必要となる。全国連が横串を通してJAの支援を強化できるよう取り組む。

自己改革実践サイクルでは准組合員の意志反映、事業利用の方針も策定している。准組合員制度は地域住民がJAの事業を組合員として利用する道を開くために設けられているが、持続可能な農業のもと、地域を未来につないでいくためには准組合員を農業振興をともに支えるパートナーとして明確に位置づけ積極的に意見、要望を聴取し事業運営に反映していく必要がある。

また、組合員との積極的な対話を行い、実践していくことが求められている。組合員との対話を通じて事業、組織運営は協同組合の原点である。今回の実践サイクルを契機に、組合員と役職員とのつながりを関係者の強化に資する対話運動の活性化を進めていく。

JA経営基盤の強化

3点目はJA経営基盤の確立、強化と人材の確保育成だ。JAグループの事業・経営の礎は農業であり、人口減少が進むなか多様な農業人材をどのように確保するのか、生産面積を維持していくのか、地域単位でJA、行政、関係機関が連携し、将来を見据えたビジョンを明確にしていく必要がある。

今後、輸出産地の形成など攻めの農業も視野に入れたビジョンづくりの促進とともに、スマート農業の導入、農福連携、外国人受け入れなど労働力の補完や作業効率化に関する取り組みも強化していく。

また、早期警戒制度も見直され、JAでは拠点再編を中心とした効率化戦略に取り組んでいるが、一方でコロナ禍を契機とした価値観、行動の変容が進んでおり、JAの事業、活動も組合員、地域住民のニーズに対応していく必要がある。その一環としてデジタル技術を活用した組合員、地域住民との拠点づくりや、事業利用の拡大対策など新しい技術を積極的に取り入れた成長戦略の確立強化に向けて全国で一体となった支援策の整備、実践に取り組む。

こうした取り組みを進めるためにはコンプライアンスの遵守や内部統制整備はもとよりJAグループの職員がいきいきとやりがいを持って働ける環境づくりが必要となる。明るく風通しのよい職場づくりや資質向上につながる資格取得、研修体系などJAの環境整備を支援するとともに、デジタル技術を活用した業務効率化やコスト削減対策にも積極的に取り組む。

3点の重点対策を進めるうえで、SDGsの取り組みを促進する必要がある。協同組合の強みは組織者と利用者、そして運営者が同一であるという三位一体性だが、組合員、役職員ともその意識が薄れつつあると感じている。その改善策として組合員との対話を契機に、JAは組合員の意思を事業、組織運営に積極的に反映するなど、組合員の参画意識を高めていく必要がある。そのことが事業利用の拡大、JAの組織基盤強化につながっていくと確信している。

協同組合運動を実践する職員の育成とともに、組合員教育にも力を入れていきたい。

一人は万人のために万人は一人のために、はSDGsの誰一人取り残さないという理念と親和性は高くJAグループは主体的に取り組む必要がある。

今、我が国は新自由主義からの脱却に向けて動き出しており、労働者協同組合法が新設されるなど協同組合の存在意義が改めて着目されている。国内外の協同組合と連携し協同組合運動の促進やSDGsへの取り組みを強化することでJAの協同組合としての価値を高めることにつなげていく。
各種対策の具体化に向けてJA、県連、全国連の連携強化を一層進めていく。全中の組織理念は、組合員の願いである農業振興と豊かな地域社会の構築を実現するため、地域、事業間の枠を超え、代表・総合調整・経営相談の3つの機能を誠実に果たすことである。

JAグループは大きな転換期を迎えている。これを好機と捉えて組合員、JAグループのすべての組織で思いを一つに結集し前進することが何より重要だ。地域を未来へつなぐ「連帯旗」としての役割を全中が果たせるよう誠心誠意取り組む。

〇生年月日:昭和30年(1955年)12月19日生まれ
〇年齢:67歳(2023年8月18日現在)
〇出身JA:JAそお鹿児島

【今後の日程】
〇7月4日(火):投票締め切り・開票、役員推薦会議で新会長候補者決定
〇7月14日(金):役員推薦会議で会長以外の役員候補者(全国連の一部除く)の決定
〇7月28日(金):役員推薦会議と理事会で総会提出議案の決定
〇8月18日(金):JA全中通常総会で選任

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