グリーンメニュー モデル50JAで実践へ JA全農2023年6月26日
JA全農は、23年度事業計画のなかで環境調和型農業に関する技術と資材を体系化した「グリーンメニュー」の生産現場への提案を掲げているが、6月末までに1県1JAを基本に50のモデルJAを設定、23年度から25年度まで3年間の実践を通じて導入効果を検証し、それをもとに全国に普及する方針だ。
JAグループは一昨年10月の第29回JA全国大会決議に環境調和型農業への取り組みを盛り込んだ。
JA全農ではその後、環境負荷を軽減するとともに、物財費や労力の軽減、生産性向上などによって農業経営を持続できる技術と資材を検討し、今年4月に具体的な「グリーンメニュー」として整理した。
メニュー化は農水省のみどり戦略をふまえて「化学肥料使用量低減」、「化学農薬使用量低減」、「温室効果ガス削減」の3つの視点で行った。
化学肥料使用量の低減メニューには、土壌診断に基づく施肥、スマホを使った簡易土壌診断アプリ「スマートみどりくん」や緑肥、AIを活用し生育を予測、人工衛星画像で可変施肥ができる「ザルビオ」の活用などがある。家畜ふん尿のたい肥化もメニューにある。
化学農薬使用量の低減メニューには、総合的病害虫・雑草管理(IPМ)の導入、天敵パック製剤を保護する「バンカーシート」の活用、微生物活性を活用して有害な病害虫を死滅させる土壌還元消毒、「ザルビオ」の水稲病害虫発生予測の活用などがある。
温室効果ガス削減メニューには、秋耕、水稲自動水管理、生分解性マルチの利用、脱石油燃料対応型加温機、植物由来の原料を使った出荷箱の利用などがある。
このほかにも開発中のメニューとしてドローンを活用した可変施肥や農薬散布の技術、JAの野菜カット工場などからの食品残さの肥料利用、脱プラスチックの被覆肥料、Jクレジットの活用、バイオ炭なども挙がっている。
JA全農はこうしたメニューに取り組むJAを1県1JAを50モデルJAを設定する。これまで県本部とJAが協議しており6月中に選定する。
モデルJAはグリーンメニューのなかから複数メニューを組み合わせて実践する。品目は水稲に限らず、大豆、野菜など現場で判断する。
全農では、みどり戦略の実践に向けて「行政と連携して実践してほしい」としている。また、実証ほ場と対照象ほ場を設定し比較するなど導入効果の検証を進めたいとしており、23年度から25年度まで毎年、取り組み内容と実証結果を事例集としてまとめていく。それをもとに全国に普及を図る。
さらに「グリーンメニュー」を販売先と共有し、販売先のニーズに応える取り組みとすることもめざす。全農は「地域によって抱えている課題が異なる。メニュー以外の実践の取り入れも積極化していきたい」と話している。
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