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子実トウモロコシの品質・収量確保へ 新適用の薬剤をドローンで散布 JA全農・JA古川の大規模実証2023年7月6日

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国産飼料の生産拡大が急務とされる中、JA全農と宮城県のJA古川が子実トウモロコシの大規模実証を進める宮城県大崎市のほ場で7月5日、ドローンなどによる薬剤散布の様子が公開された。大規模実証1年目の昨年は広範囲でアワノメイガによる被害が見られ、品質低下につながったことから、今年は農薬メーカーと連携して5月に適用拡大された殺虫剤が使用された。生産者は「今年は昨年の課題を克服して順調に生育している。ぜひ昨年以上の収量を確保したい」と語った。


子実トウモロコシ1.jpg5月に適用拡大された殺虫剤をドローンで散布(宮城県大崎市の大規模実証ほ場で)

JA全農とJA古川は昨年度から子実トウモロコシの大規模実証を開始。初年度は91haのほ場で10a当たり700キロ、計640トンの収穫を目指したが、7月の風水害で広範囲で被害が出たほか、アワノメイガによるカビ毒などの被害が確認され、品質低下に加えて平均収量は330キロにとどまった。今年度は作付面積を105haに拡大し、土中の「弾丸暗渠」を増やすなど排水対策の強化や新たな病害虫対策に乗り出し、品質や収量の確保に努めている。

5日の現地見学会の冒頭、JA古川の佐々木浩治組合長は「今年の生育はすばらしい状況で進んでいる。去年の栽培で見えた課題の1つがアワノメイガによる食害であり、今年はドローンによる防除で乗り越えて秋に向けてしっかり取り組みたい」とあいさつした。

子実トウモロコシ2.jpg

JA古川の佐々木浩治組合長

適用拡大の殺虫剤で防除へ

アワノメイガ防除に向けてドローンで散布されたのは、エフエムシー・ケミカルズの殺虫剤「プレバソンフロアブル5」。今年5月に子実トウモロコシに適用拡大された。葉の裏などすみずみまで成分が行きわたり、害虫の食入を防ぐ高い防除効果があるという。見学会では、同社の西塚誠開発・登録本部本部長が「昨年全農様からかなり強く緊急登録の要望をいただき、通常2年かかる作業を急いで進めて緊急登録できた」と、適用拡大の経緯などを説明した。

西塚本部長によると、子実トウモロコシなど国産飼料の生産拡大を目指す国などの配慮も受けて、社を挙げて早期の適用拡大に取り組んだという。「大規模実証の中で散布時期や回数、間隔などの成果を見ながら全国での活用につなげたい」と語った。

子実トウモロコシ3.jpg

説明するエフエムシー・ケミカルズの西塚誠開発・登録本部本部長

ドローンなどによる散布は約5haのほ場で行われ、散布時期や回数による効果を調べるため2回散布と1回散布のエリアに分けて実施された。ちょうど今の時期がアワノメイガの幼虫による食害リスクが高まる時期といい、ドローンがほ場を往復する様子を多くの関係者が見守った。

生産者「今年は大変良好 700キロ以上の収量を」

子実トウモロコシ4.jpg

富長生産組合組合長の鈴木正一さん

見学会に立ち合った、ほ場を管理する富長生産組合組合長で、JA古川の大豆・麦・子実用トウモロコシ生産組織連絡協議会会長の鈴木正一さんは「今年は大変生育が良好で、期待した殺虫剤も使うことができて大変ありがたい」と語った。

昨年は広範囲で風水害や病害虫被害に悩まされ、今年は毎朝ほ場を見回って生育状況に注意を払ってきたという。今年は現時点で大雨被害もなく、鈴木さんは「これからの台風が一番こわいが、それがなければ700キロ以上の収量を確保できると思う。これからの農業は米だけでは難しいので、大豆ととともにトウモロコシの栽培面積を増やして農家の収益もあがるように努めたい」と語った。

大規模実証のほ場では、順調に進めば9月10日前後に収穫作業が行われる見通しという。

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