ロボットと農業で日本の未来 古田博士が特別講演 JAいちかわ2023年7月14日
千葉県のJAいちかわは7月13日、設立60周年記念の特別講演会を同JA本店で開いた。講師は千葉工業大学未来ロボット技術研究センター所長の古田貴之博士。「「AI(人工知能)と農業」をテーマに、最新のロボット開発状況や農業での活用など、組合員ら220人に話した。
古田貴之千葉工業大学未来ロボット技術研究センター所長
古田氏は「イチゴの検品など人間が分かるものはAIでも分かる」とAIの可能性を話すとともに、現場主義を大切に世の中に役立つ技術開発に取りくんでいると強調した。
講演では映像を使って自身が開発した技術を紹介。AIを搭載したロボット掃除機は、室内を三次元地図で認識するため、カーペットに縁や段差などは自分で体を持ち上げて進むことができる。もともとは3輪のロボットカーを動かすためのAIとして開発されたもので、それを身近な家電に活用した。「チームワークでロボットを開発、民生品に技術を組み込む」と同センターの取り組みを話した。
一方、AI自体を進化させる最新の研究も紹介した。
古田氏はコンピュータ上の仮想空間で4脚ロボットを動かし、急な斜面や崖などさまざな試練を与えて動きを学習させた。さらにコンピュータを超高速で動かすことで200万年分も学習させ、そのAIを実物の4脚ロボットに導入しどんな動きをするか観察した。
実物のロボットにはカメラはなく、いわば目隠し状態。さらに足が接地しているかどうかを感じるタッチセンサーもなく、姿勢センサーを入れてあるだけだという。映像では障害物にぶつかって転んだり、崖から落ちても起き上がる姿が紹介され、古田氏によると「学習して二度と崖から落ちなくなった」という。
また、オイルを塗った場所では、滑ってバランスを崩すも瞬時に姿勢を立て直して歩行する姿に、参加者から驚きの声も上がった。古田氏は「もともとは自分に足が4脚あるかすら知らない状態。そこから動きを学んでいく」といい、これは「絶望ロボット」と呼ばれているのだという。その理由は、人と同じように動くよう機械制御をめざしてきたロボット研究者を絶望させるから、とAIの可能性を説いた。
こうしたAIを使えば、「イチゴを人間がするように収穫することも可能になる」という。
参加した生産者からは、草刈りや農薬散布の苦労などをロボットの可能性について質問が相次いだ。古田氏は現場の話を聞くことが開発には大事だと話し生産者に協力を求め、「ロボットと農業が協力し高め合って次のステージに行きたい。科学技術と農業を守ってこそ、子どもたちも未来が良くなると思う」と話した。
重要な記事
最新の記事
-
【特殊報】ブロッコリーの黒すす症状 県内で初めて確認 愛知県2025年7月3日
-
【注意報】斑点米カメムシ類 県下全域で多発のおそれ 富山県2025年7月3日
-
【注意報】花き類、野菜類、ダイズにオオタバコガ 県内全域で多発のおそれ 愛知県2025年7月3日
-
【注意報】ネギ、その他野菜・花き類にシロイチモジヨトウ 県下全域で多発のおそれ 富山県2025年7月3日
-
【注意報】りんご、なしに果樹カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 宮城県2025年7月3日
-
【注意報】ねぎにシロイチモジヨトウ 県内全域で多発のおそれ 宮城県2025年7月3日
-
【注意報】セイヨウナシ褐色斑点病 県内全域で多発のおそれ 新潟県2025年7月3日
-
【注意報】いね 斑点米カメムシ類 県下全域で多発のおそれ 山形県2025年7月3日
-
米生産に危機感 高温耐性品種など急務 日本作物学会が緊急声2025年7月3日
-
【人事異動】農水省(7月4日付)2025年7月3日
-
花産業の苦境の一因は生け花人口の減少【花づくりの現場から 宇田明】第63回2025年7月3日
-
飼料用米 多収日本一コンテストの募集開始2025年7月3日
-
米の民間在庫量 148万t 備蓄米放出で前年比プラスに 農水省2025年7月3日
-
【スマート農業の風】(16)温暖化対応判断の一助にも2025年7月3日
-
令和7年度「家畜衛生ポスターデザインコンテスト」募集開始 農水省2025年7月3日
-
農業遺産の魅力発信「高校生とつながる!つなげる!ジーニアス農業遺産ふーどコンテスト」開催 農水省2025年7月3日
-
トロロイモ、ヤマノイモ・ナガイモ【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第347回2025年7月3日
-
【JA人事】JA町田市(東京都)吉川英明組合長を再任(6月26日)2025年7月3日
-
【JA人事】JAふくおか嘉穂(福岡県)笹尾宏俊組合長を再任(6月26日)2025年7月3日
-
国産農畜産物で料理作り「全農親子料理教室」横浜で開催 JA全農2025年7月3日