北海道北見市で「JA―DXセミナー」開催。業務効率化がすすむ、JAにおけるDXの取組事例を紹介2023年10月16日
現場のコミュニケーションツール「LINE WORKS」を提供するワークスモバイルジャパンは9月14日、NTTコミュニケーションズとの共催で「JA―DXセミナー」を桑原グループが運営するKIT FRONT(北海道北見市)でハイブリッド開催した。「LINE WORKS」は、日本国内で約9,500万人(2023年6月末時点)が利用している「LINE」を仕事の現場で扱いやすくしたもので、JA職員や組合員との情報共有やコミュニケーションツールとしても活用できるのが特徴。
2023年9月14日開催「ここからはじめるJA―DX」セミナー案内チラシ
JAのDX化に向けた取り組みに注目
「職員と組合員の働き方をデジタルで改革」をテーマに、同ツールの導入をはじめJAにも広がっており、「少しずつ、ちょっとだけ、変えていけたら」といったニーズにマッチしたDXの取り組みなどを紹介した。例えばJA鳥取西部では、DX化を目的とするのではなく手段としての"仕掛けづくり"に同ツールを活用し、DXをスタートしている。当日は申込者98名で会場17名(オンライン48名)が参加。アーカイブ配信も行った。
会場では、スマートグラス(Acereal)、勤怠管理システム、SideBooks、LINE WORKSなどの端末やサービスを紹介するスペースも用意され、来場者は実際に触って体験することができた。
人口減少による地域社会の衰退、農業の衰退が進む中、社会課題をDXの推進で解決しようとする機運は、JAの現場でも高まりつつある。
JAへの営業支援ツールを提供しているNTTコミュニケーションズは、①DXの環境づくり、②コミュニケーションツールの導入、③セキュリティ対策の徹底、について語った。そこで見えてきたものは、大がかりなDXではなく、一歩一歩着実にステップアップしていく環境づくりの大切さだった。ビジネスチャットで職員同士のコミュニケーションの充実を図り、クラウド上で情報共有し、紙コストの削減、情報の即時性を享受し、さらに業務用スマートフォンを配備し、勤怠管理や人事管理も可能となっている導入事例を紹介した。
スマホで使いやすいチャット機能から高い導入浸透率
JAべっぷ日出(大分県別府市)やJA東京スマイル(東京都葛飾区)では、「スマホ+クラウド電話帳」の活用なども紹介され、スマホで起こり得る紛失時の情報漏洩対策への効果を紹介。また、JA全農広島県本部では、「スマホ+オフィスリンク」の活用から、オフィス内の内線電話の機能がスマホで利用できるようにした。これにより固定電話費用を削減し、いつでも・どこでもつながる内線で業務効率向上を図っている。
LINEと同じ操作感で使える「LINE WORKS」の利便性
「LINE WORKS」は、現場のコミュニケーションツールとして、ビジネスチャット領域でのサービスを提供している。プライベートで利用者の多いLINEと同じ操作感で使える利便性から、国内利用者数は450万人、国内導入企業数は43万社を超える。担当者は、①圧倒的な使いやすさ、②仕事で使える豊富な機能、③セキュリティ、④LINEとつながる唯一のツール、⑤他のサービスとの連携(勤怠管理、安否確認など)が使える、その特性を訴求した。
「LINE WORKS」には、「トーク・通話」「カレンダー」「掲示板」「アドレス帳」「タスク」「アンケート」「メール」「Drive」など、業務の効率化に役立つ機能を1つのアプリで使える利点がある。特に、トーク(チャット)機能は、LINEと同様の機能として使えるが、LINEはあくまでもプライベートで利用するサービスなのに対し、「LINE WORKS」は、法人利用に特化した管理機能を有している。公私混同と情報漏えい防止など「LINE WORKS」の利便性に気づき始めているJAでは、その導入が進んでいる。
同ツールの導入から、働き方改革を行っているJA京都市では、職員の平均年齢が高く、スマートフォンを持ってはいるが使いこなせない職員もLINEは使えるので、他のツールより操作が簡単だと好評だという。職員のLINE WORKSは組合員のLINEと直接チャットができるため、組合員へのニーズへの対応もこれまでより細やかに行える。また、掲示板機能では組合員に喜んでいただいたことなどを職員同士で共有し、モチベーションを高めている。
特別講演として登壇したJA鳥取西部「DX化は目的でなく、ツールとしての活用に方向転換」
同ツールの導入から、働き方改革を行っているJA鳥取西部(鳥取県米子市)から総務部次長兼教育広報課長松谷守氏がオンライン登壇して取組事例を報告した。
松谷守氏
松谷氏は、「LINE WORKS」導入の背景は、NTTコミュニケーションズからスマホの更新の話しが来た。これ幸いとDXを進める足掛かりにしようかと、総務課と営業部で協議を始めた。せっかくスマホにするなら、チャットツールも導入したい。LINEを使っている組合員が多く、もともと職員は個人のプライベートケータイで組合員と仕事のやり取りをしており、業務とプライベートを分けたいという意見の職員が多かった。LINEと操作性が似ていて、かつLINEともチャットができる「LINE WORKS」の導入を望む声があがり、スマホの導入をきっかけにDX化を進めることになったという。
しかし、「働き方改革」「若手指導員の教育」などを理由に「LINE WORKS」を導入したが、活用されず浸透していなかった。あまり大上段に構えず、DX化は目的ではない、手段として「LINE WORKS」を活用する仕掛けづくり、と方向転換して捉えるようになった。
スマホ+「LINE WORKS」でDXの第一歩を開始
①「LINE WORKS」の基本機能を活用、One to One【コミュニケーション】、ナレッジ共有【グループトーク】、掲示板【各課の掲示板】、②勤怠管理【スマホ打刻】、③日報【掲示板を活用】、④PPAP【パスワード送信】、⑤営業部専用のグループウエアに、業務ありきで少しずつ仕掛けづくりを行ってきた。
②③は日常的に「LINE WORKS」を利用する動機づけになり、これがJAのDXをスタートすることにつながる。これまで紙だった営農指導の訪問実績報告は「テンプレート」機能を使い、報告書作成の手間を軽減させた。
④は、ビジネスメールでは当たり前になっているPPAP(Password付きファイルの送付・Passwordの送付・暗号化・プロトコルの頭文字による造語)問題の解決手段としてパスワードをLINE WORKSで送ることを推奨している。
⑤は、パソコンとスマホで情報が自動同期する「LINE WORKS」を内部のイントラネットとは別に営業部専用のグループウェアとして活用。これまで事務所に戻らないと確認できなかった情報が、外出先にいても確認できるようになったという。
また、「他のアプリも検討は進めているが、即導入して使えないと困るので、まずはLINE WORKSをスモールスタート(S-DX)としている。どんどん活用が広がっていけば、充実した機能を『LINE WORKS』に連携できる。API連携、Botの制作など、今後の活用次第で拡張するかどうかを検討する」という。
一方、JA鳥取西部では、これまで使ってきたレガシーシステムからクラウド化への移行を検討していたが、バージョンアップして使い続けたいという要望が出てきた。このため、現在のデータや機能は維持したまま、レガシーシステムの中にAPIでデータの流し込みができないかシステム担当者と検討している。当面はWeb上の資材受注システム、購買システムのうち、予約購買システムはクラウド化の試験運用を開始する予定で、担当者のリテラシーを上げながらスモールステップでクラウド化への移行を推進していく計画だ。
デジタルを活用したJAの業務効率化は今後も推進
セミナー開催後に実施したアンケートでは、回答者の約9割が内容に満足しており、参加者からは「DX推進担当者の協力が必要ということに共感した」「今後も開催してほしい」などという声があがった。
JA―DXセミナーを開催したワークスモバイルジャパン、NTTコミュニケーションズは、今後も手の届くDXからJAの業務効率化による職員や組合員の働き方改革の実現を支援していく。
お問い合わせ
【JA―DXセミナー・LINE WORKSに関するお問い合わせメール】 dl_localpower@worksmobile.com
電話 03-4316-2996(LINE WORKSそうだん窓口)
営業時間:10:00~12:00 / 13:00~18:00(年末年始、土日・祝日を除く)
WEB https://line.worksmobile.com/jp
【NTTコミュニケーションズへのお問い合わせメール】
zenkoku-ja-ml@ntt.com
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