作業のムダ省き人を活かす 労働力確保に新たな視点 中四国労働力支援協「カイゼン」に学ぶ2023年10月24日
中国四国ブロック労働力支援協議会は9月14日、第1回ブロック協議会とJA高知県での現地視察会を行い、同JAが取り組んでいる労働力確保に向けた「トヨタ式カイゼン」の優良事例が紹介された。
掲示されている作業手順書の説明
中国四国ブロック労働力支援協議会は、中四国管内のJAグループ(県JA、中央会、全農)により構成されており、管内・県域を越えた農業労働力の支援および各県における取組みの情報を共有することで地域農業の振興を核とした地方創生に貢献することを目的に活動している。
今年度上半期は、県ごとに農作業請負業者の仲介や農福連携への取り組みに加え、 援農ボランティアやシルバー人材、求人アプリによる生産者とのマッチング促進などに取り組んできた。
現地視察会で報告されたJA高知県による「トヨタ式カイゼン」は、選果場における人材育成や労働環境の改善により、ムダを減らすことで 業務効率を向上させ、現状の職場要員や設備のままで労働力や生産性を上げる取り組みである。
事例の1つ目は(1)作業員の離職率を下げること、(2)キュウリの選果・選別作業10工程のうち2つ以上の作業に対応できる人材の育成の2つに効果を上げた例 。
2つ目はベテランが抜けてしまい、経験が浅い職員の中で(1)作業ミスの削減、(2)資材コストや時間コストの削減、(3)労働環境の改善の 3つに効果を上げた例。
両例とも、現場の職員同士で徹底的に課題の洗い出しと具体的な対応策を検討し、選果・選別基準表の見直しや作業マニュアルの作成および掲示によって 「業務・作業の統一化と見える化」を行ったこと、面談やミーティングや研修会を行うことにより「職員や作業員同士のコミュニケーションの場づくり」を増やしたことで業務改善が大きく図られた。
他には現場にカメラを設置することで、離れた作業場の状況把握が遠隔で対応でき、時間短縮ばかりでなくトラブル発生時の検証にも活用され早期解決につながったといった例もあり、初期費用はかかるものの業務改善に効果を発揮する機材や道具の導入例も報告された。
同JA農業所得増大対策室の山脇室長は「現状の人材をまず確保し、確保した職員がいかにミスを防ぎ、業務の効率化を図るか。これだけでも人が減らせ、他部署へ回せることもある。人件費など経費の削減は後からついてくる。定着すればカイゼンは効果が大きい」と取り組みのポイントを語る。
集出荷場ライン
実際にキュウリなどの選果場では、作業員の動線の見直しや選果・選別ラインの組み直しなどにより選果・選別作業の効率化が図られ作業員もずいぶん楽になったという。
さらに、選果・選別作業手順書の掲示による「業務・作業の統一化と見える化」により、選果速度が上がったなどの実例もある。
人手が足りない時は、人員の補填や給与を上げて労働力を確保しなくては、と考えがち。だが視点を変えて、限られた人材の有効な働き方やムダを省くことに着目したことで、職場の生産性が向上することが分かり、意識改革も必要だと感じた職員も多く「トヨタ式カイゼン」に取り組んで良かったと評価されている。
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