熊本農業高校に「大賞」全国高校生農業アクション大賞 準大賞に勢多農林高校と南稜高校2023年11月7日
JA全中と毎日新聞社は11月6日、全国高校生農業アクション大賞の表彰式を行った。熊本県の熊本農業高校が大賞、群馬県の勢多農林高校と熊本県の南稜高校が準大賞に選ばれ表彰された。同式は、コロナ禍以降初の対面での開催となった。
大賞を獲得した熊本農業高校の生徒たち 壇上で「ブラボー!」
この大賞は地域社会の次代を担う農業高校生が取り組む「食」や「農」に関する課題研究を、3年間継続して支援し、優れた取り組みを表彰する。
2017年から始まり、今回は2021年度に応募した42校53グループのうち支援対象となった15校のなかから、大賞候補として7校がノミネートされた。同式では7校の中から、大賞1校、準大賞2校が発表された。
大賞を受賞した熊本農業高校のプロジェクトは食品廃棄物のみを飼料とした豚の育成に成功していた同校が、精肉加工時に大量の豚脂を廃棄していることに着目したことから始まった。
廃棄される豚脂に含まれる脂肪酸が高い洗浄力をもつことが分かり、石鹸にすることを決めた。市販石鹸より洗浄力が高く、豚脂でつくった石鹸の排水は微生物の分解速度か市販の合成石鹸と比較して早く、環境への負荷も少ない。
プロジェクトの目標に掲げる「環境に優しい持続可能な畜産経営の構築」を実現できた。
また、準大賞の勢多農林高校のプロジェクトはこんにゃく栽培の農閑期に作られた茶葉のうち、香りが十分でないことを理由に廃棄されていたものを和紅茶にした「子持和紅茶」に目をつけた。
渋みが少なくまろやかな味わいで高評価を得ながらも、地元でも知るひとが少ない知名度の低さを課題として取り組み、知名度向上で地域活性化を図り、生徒たち自身がマーケティング手法を身につけるという狙いを定めた。
紅茶を使ったお菓子の開発や、大手コンビニでの販売にむけた交渉など、着実に実績を積み上げた。
同じく準大賞の南稜高校のプロジェクトは2020年7月の甚大な豪雨災害を経て、森林の保水力や田んぼの多面的機能を活用した治水対策の重要性を再確認したことがきっかけだという。
水(治水)、土(農業土木)、林(林業)の3つを柱に、林業・農業土木の技術を活かし、人吉・球磨地域を災害から守る取り組みだ。
災害に強い森林づくりの一環として、深く根をはる広葉樹の「クヌギ」を苗木から育て、水害時には田んぼに水を引き、市中にあふれ出ることを防ぐ「田んぼダム」への協力要請など、周辺住民にも理解を求めながら活動を推進した。
審査委員長をつとめた教育評論家の尾木直樹氏
審査委員長で教育評論家の尾木直樹氏は、「コロナ禍での制約をものともせず、SNSやオンラインなどを活用して取り組む姿勢に、生徒たちのたくましさを感じた。動画などを多用したプレゼンは、プロ顔負けの内容で、どのチームも甲乙つけ難く、頭を悩ませた。決選投票を何度も行い、ようやく出した結論だ。この取り組みが広がっていくことを願う」と称えた。
大賞をとった熊本農業高校の生徒たちは、尾木審査委員長から賞状やトロフィーなどが手渡された。その後、壇上でマイクを向けられると「ブランド豚をもっと発展させて、一層地域の活性化につなげたい」と話し、すかさず「ブラボー!」と、声を揃えて歓声をあげ、高校生らしさをのぞかせていた。
また、閉会後の記者からの質問には「食用の肉なので、食用としての転用を考えていたが、近年の健康志向から脂身が敬遠される実態を知り、断念した。地元の化粧品メーカーからの薦めで石鹸にしたことが、のちに水サミットへの参加などにもつながった」と打ち明けてくれた。
重要な記事
最新の記事
-
5年ぶりの収穫祭 家族連れでにぎわう 日本農業実践学園2024年11月25日
-
西友、「5キロ2797円」で台湾産米 人気高く品切れ店も 国産米需要への影響に懸念も2024年11月25日
-
鳥インフル 米イリノイ州、ハワイ州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年11月25日
-
卓球世界ユース選手権 日本代表を「ニッポンの食」でサポート JA全農2024年11月25日
-
佐賀県産「和牛とお米のフェア」みのる食堂三越銀座店で開催 JA全農2024年11月25日
-
JA全農×農林中金「酪農・和牛の魅力発信にっぽん応援マルシェ」新宿ルミネで開催2024年11月25日
-
EXILE NESMITH監修 くまもと黒毛和牛『和王』の特別メニュー提供 JA全農2024年11月25日
-
「第1回全国冷凍野菜アワード」最高金賞のJAめむろなど表彰2024年11月25日
-
「熊本県産和牛とお米のフェア」大阪の直営3店舗で12月1日から開催 JA全農2024年11月25日
-
都市農業・農地の現状と課題 練馬の野菜農家を学生が現地調査 成蹊大学2024年11月25日
-
食育イベント「つながる~Farm to Table~」に協賛 JQA2024年11月25日
-
薩州開拓農協と協業 畜産ICT活用で経営の可視化・営農指導の高度化へ デザミス2024年11月25日
-
「ノウフクの日」制定記念イベント 東京・渋谷で開催 日本農福連携協会2024年11月25日
-
省スペースで「豆苗」再生栽培「突っ張り棒」とコラボ商品発売 村上農園2024年11月25日
-
在ベトナム農業資材販売会社へ出資 住商アグロインターナショナル2024年11月25日
-
楽粒の省力検証 水稲除草剤の散布時間の比較 最大83%の時間削減も 北興化学工業2024年11月25日
-
【人事異動】北興化学工業株式会社(12月1日付)2024年11月25日
-
幼稚園・保育園など996施設に「よみきかせ絵本」寄贈 コープみらい2024年11月25日
-
平田牧場×福光屋 幻の豚「金華豚」と大吟醸酒粕の味噌漬を新発売2024年11月25日
-
生活クラブの宅配サービス「シンプルスタイル大賞2024」SDGs部門で特別賞2024年11月25日