食料安保強化など要請 将来見据えた基本法改正を JAグループが基本農政確立大会2023年11月14日
JA全中と全国農業者農政運動組織連盟(農政連)は11月13日、東京都内で「基本農政確立全国大会」を開き、食料・農業・農村基本法(基本法)に関連する施策の具体化を与党国会議員に訴えた。全国のJA組合長ら約700人のほか、4000人がオンライン参加し、①食料安全保障(食料安保)の強化②再生産に配慮した適正な価格形成③農業の持続的な発展と農村の振興策④JAなど関係団体の役割強化を訴え、そのために予算措置を講ずるよう求めた。
4000余名が参加した全国大会(東京・千代田区で)
大会ではJA全中の山野徹会長が「基本法ができて最初の改正となり、農政は大きな転換期を迎えている。将来を見通した基本農政の確立を図るとともに、万全な予算確保が必要。JAグループはこれまで3回の組織討議で協議を重ねて、11月9日の全中理事会でまとめた。将来にわたる食料安全保障の強化に向け強く要望する」と、食料安保強化に向けた決意を示し、基本法関連施策の具体化についての重点要請を説明した。
重点要請として挙げた食料安全保障強化では、これを基本法の目的に位置づけ、法案として整備することを求めた。農業の持続的な発展策に関して、多様な経営体を農業者として位置付けるよう強調。さらにJAについては、食料・農業・農村の維持発展に果たしている役割を基本法に位置付けることを求めた。
また再生産に配慮した価格形成では、先行的に実施する品目を特定し、法制度の早期実現を求めた。農業の持続的発展に関しては、多様な経営体も農業者として基本法に位置付けることや、農地の総量、優良農地の確保に向け、国の責務を明確化するよう要請した。
多様な担い手明確に
出席した自民党の江藤拓・総合農林政策会長は食料安保について、基本法の議論の中で、今の情勢に合わせた方向性でまとまりつつある、多様な担い手も「しっかり書き込む」と話した。
エガリム法調査も
同じく自民党の森山裕・食料安全保障検討委員長は、「食料安保がこれからの政策の柱になる」との認識を示し、年末までに改正の方向を示す」と述べ、予算措置の必要性を指摘した。また再生産できる価格の実現についてはフランスのエガリム法などを調査し「ていねいに仕組みづくりをしたい」と述べた。
また食料安保については「人と農地の確保が1丁目1番地」として、「多様な担い手をしっかり確保する必要がある」と指摘。JAに関しては組合員、地域、国民のためになる役割を基本法にしっかり明記する」との考えを示した。このほか公明党の稲津久・農林水産業活性化調査会長も「いまこそJAグループの力が求められている。JAの役割を基本法にしっかり位置付けるべきだ」との考えを示した。
米の品質低下で離農も
JAえちご中越の吉田文彦会長
大会では新潟県と愛媛県のJAの経営管理委員会会長が意見表明した。JAえちご中越の吉田文彦会長は、高温と渇水で1等米がわずか3%だった状況を説明し、大型法人によっては8桁の収入減もあり、高齢化も相まって米作農家のダメージは大きく、離農が懸念される。「若い担い手が希望をもって就農できる政策を確立して欲しい」と訴えた。
かんきつ生産基盤強化を
JAにしうわの都築雅秀会長
またJAにしうわの都築雅秀会長は、かんきつの生産基盤強化に支援を求めた。同JA管内はかんきつの産地だが、「温州ミカン収穫量がピーク時の5分の1に減り、需要に生産が追いつかなくなった」という。一方で改植が必要な時期に入り、選果施設などの老朽化も進んで産地パワーアップ事業の拡充・強化を求めた。
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