【TACパワーアップ大会2023】担い手とともに活気ある地域農業を未来に TAC部門事例発表2023年11月24日
JA全農は11月16日と17日の2日間、TACパワーアップ大会2023を開いた。大会では優秀な活動をしているJAとTACが事例発表した。ここではTAC部門の事例報告概要を紹介する。
【TAC部門 全農会長賞】
伝統の柿をブランド化
JA石川かほく
営農企画課課長補佐 櫻井和幸氏
営農企画課課長補佐 櫻井和幸氏
営農部営農企画課4名による約80戸を訪問し、TAC活動を展開し、土壌分析による適正施肥、新規作物導入の提案などを行っている。「高松紋平柿」のブランド化はその一つの成果だ。
この柿は石川県在来の渋柿で、晩秋の贈答品として重宝されているが、生産者の高齢化や老木樹が増えたことから産地存続の危機に瀕していた。産地再生への担い手の声に応え、生産者を含むJA全農石川、デザイナーなどからなる高松紋平柿ブランド化検討会を立ち上げ、産地戦略を提案し産地活性化に取り組んだ。
第1に脱渋方法をアルコールから炭酸ガスに切り替えた。脱渋期間が10日から4日に短縮され、園での収穫待ち果実が減った。さらに早期収穫によって、糖度を一定水準に維持したまま流通段階での廃棄ロスを減らすことができた。
生産面では低樹高栽培を指導し、高齢者でも安全に作業できるようにした。また販売面では大きさ、糖度にこだわったプレミアム規格の新設。県内市場の初セリで1箱10万円で過去最高の落札となった。東京大田市場への売り込みなどでブランド化を軌道に乗せ、令和4年には石川県ブランド農林水産物「百万石の極み」に認定。生産量・販売単価・販売金額ともに増加し、いま生産者の栽培意欲は最高潮となっている。
【TAC部門 優秀賞】
集落営農 組織存続に向けた挑戦
JAしまね斐川地区本部
営農部営農企画課係長 原紀行氏
営農部営農企画課係長 原紀行氏
1県1JAのJAしまねのTACは22名で、うち斐川地区本部は2名が配置されている。斐川地区本部管内には38の集落営農組織があり、水稲のほか麦、大豆、ハトムギ、たまねぎなどを栽培している。担い手への農地集積は84.1%、耕地利用率は118.6%と高く、県内でも有数の農業地帯だが、集落営農の設立から20年ほど経過して、高齢化が進み、後継者不足で、組織存続の不安が高まっている。
生産者の不安に応え、「TACが集落営農を先導していく」との強い決意のもと、集落営農の新しいかたちに向けた具体的な取り組みとして農事組合同士の合併、株式会社化、農事組合の将来を考える検討委員会の設置などを提案した。
しかし、最も支援が必要な管内の山麓(ろく)部では法人間で温度差があり、具体的な検討に至らなかった。このため発展的な農事組合法人同士の合併を提案し、今年の5月、専従者を有する2組織の合併ができた。管内で最も面積の大きい農事組合法人の株式会社化の話が進んでおり、2年後実現をめざし、支援している。
このように合併、株式会社化など簸川地区で例のない集落営農組織のかたちが生まれつつある。これが地域にインパクトを与え、追従する組織の想定される。またTACが集落営農の変革にしっかりかかわることで、担い手農業者との信頼関係が強固になっている。
(関連記事)
地域農業の未来 原動力は出向く活動 TAC部門の全農会長賞にJA石川かほくの櫻井さん TACパワーアップ大会2023
【TACパワーアップ大会2023】担い手とともに活気ある地域農業を未来に JA部門事例発表
【TACパワーアップ大会2023】担い手とともに活気ある地域農業を未来に TAC部門事例発表
【TACパワーアップ大会2023】担い手とともに活気ある地域農業を未来に 地区別優秀賞
【TACパワーアップ大会2023】提案する時代から伴走する時代へ 担い手とともに地域農業を作る JA全農耕種総合対策部 岩田和彦次長に聞く
重要な記事
最新の記事
-
新春特別講演会 伊那食品工業最高顧問 塚越寛氏 社員の幸せを追求する「年輪経営」2025年2月5日
-
【浜矩子が斬る! 日本経済】通商政策を武器化したトランプ大統領2025年2月5日
-
「2024年の農林水産物・食品の輸出実績」輸出額は初めて1.5兆円を超え 農水省2025年2月5日
-
農林中金が短期プライムレートを引き上げ2025年2月5日
-
トラクターデモにエールを送る【小松泰信・地方の眼力】2025年2月5日
-
時短・節約、家計にやさしい「栃木の無洗米」料理教室開催 JA全農とちぎ2025年2月5日
-
規格外の丹波黒大豆枝豆使い 学校給食にコロッケ提供 JA兵庫六甲2025年2月5日
-
サプライチェーン構築で農畜水産物を高付加価値化「ukka」へ出資 アグリビジネス投資育成2025年2月5日
-
「Gomez IRサイトランキング2024」銀賞を受賞 日本化薬2025年2月5日
-
NISA対象「おおぶね」シリーズ 純資産総額が1000億円を突破 農林中金バリューインベストメンツ2025年2月5日
-
ベトナムにおけるアイガモロボ実証を加速へ JICA「中小企業・SDGsビジネス支援事業」に採択 NEWGREEN2025年2月5日
-
鳥インフル 米オハイオ州など5州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年2月5日
-
鳥インフル ベルギーからの家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年2月5日
-
JA全農と共同取組 群馬県産こんにゃく原料100%使用 2商品を発売 ファミリーマート2025年2月5日
-
「食べチョクいちごグランプリ2025」総合大賞はコードファーム175「ほしうらら」2025年2月5日
-
新潟アルビレックスBC ユニフォームスポンサーで契約更新 コメリ2025年2月5日
-
農業分野「ソーシャルファームセミナー&交流会」開催 東京都2025年2月5日
-
長野県産フルーツトマト「さやまる」販売開始 日本郵便2025年2月5日
-
佐賀「いちごさん」表参道カフェなどとコラボ「いちごさんどう2025 」開催中2025年2月5日
-
温暖化に負けない兵庫県新しいお米「コ・ノ・ホ・シ」2025年秋に誕生2025年2月5日