直接支払いで起死回生へ【年頭あいさつ 2024】村上光雄 一般社団法人 農協協会会長2024年1月1日
新年あけましておめでとうございます。
2024年もJAcom農業協同組合新聞をよろしくお願い申し上げます。
JAcomでは、元日から3日まで、農林水産大臣をはじめJAグループ全国連、農業関連団体のトップなどによる年頭のあいさつを掲載しています。
皆様方にはご健勝にて新春をお迎えのことと存じ、心からお慶び申し上げます。そしてウクライナ、ガザに於いて一日も早い停戦が実現することをお祈りされたことと思います。
また旧年中は農協協会の諸事業に対しまして、ご支援ご協力を賜り誠にありがとうございました。お陰様で11月末に第44回農協人文化賞表彰式を開催し、無事新しい年を迎えることができました。心から感謝を申し上げますと共に、本年も何卒よろしくお願い申し上げます。
さて、昨年はさすがのコロナも下火となり活気が戻りつつありますが、しぶとく感染を続けており、インフルエンザの流行と併せ、まだまだ感染症には要警戒であり、今後もこのような状況が続くものと思われます。
そして、ウクライナ戦争は出口の見いだせないまま泥沼状態が続いているところに、ハマスのイスラエル攻撃が勃発し、イスラエルのガザ地区への徹底的な報復攻撃により、多くの命が奪われ続けています。まさに対立、憎悪、怨念、破壊、殺戮といった悪魔の連鎖の繰り返しであります。しかし我々としてはどうすることもできず、無力を感じるとともに人間の愚かさを思わざるをえません。そしてこの悪魔の連鎖を断ち切るには人は一人では生きていけないことを確認し、他者の存在を認め、お互いに助け合っていく協同の力しかないと確信します。
こうして迎えた2024年、待望の新しい食料・農業・農村基本法の国会審議が始まります。協会としても過去一年間、「農業復興元年」として、あらゆる角度から精力的に議論を展開してきました。何としても食料安全保障、自給率向上、農村振興が国民的な議論のもとに、国民理解をえて成立してほしいものであります。
昨年末NHKスペシャル「食の防衛線」で、規模拡大してきた法人経営が限界に来ており、米自給も赤信号であり、資材高騰の価格転嫁もままならぬ事が放映されました。やはり我が国では、規模拡大は重要ではあるが、限界がある事を認めるべきであり、価格転嫁も必要だが問題も多く、即効性は期待できないことが確認されました。またヘイミシュ・マクレイの「2050年の世界」によると、高齢化社会のパイオニアの日本では「小さな町は放棄され、田畑は森に戻り・・・。」とあります。しかしそのことは将来のことではなく、既に現実の問題として至る所で展開しています。TVの人気番組「ポツンと一軒家」の光景が、山間地から中山間地そして平坦地へと侵攻、拡大していくということであります。これでは「国破れて山河在り」ではなく「山河荒廃し国滅ぶ」ではないのでしょうか?そしてこれがTPPを推進しながら戸別補償も稲作助成も切り捨てた安倍農政のツケであり、安上がり農政の結末でもあります。
もはや一刻の猶予もなりません。即効性も含めて農業者も農協関係者も毅然として直接支払いを要求していくべきであり実現させなければならないときに来ているように思います。そもそもEU並に防衛費を倍増するのであれば、その前に直接支払いなどの農業助成をEU並みに倍増すべきであります。
丁度今年は3年毎のJA全国大会の年でもあり農政において農協活動で飛躍の一年になってほしいものであります。協会としても農協人の良心を発揮する場として情報を発信し続けてまいります。幸いにも事務所ビルの5階をお借りする事となり、2月から小さな会議やサロンとして気軽にご利用いただき情報交換の場としてご活用いただければ幸いです。
それでは、今年が皆様方にとって良き年となりますようお祈りするとともに、本年も農協協会の諸活動に対しましてご支援ご協力を賜りますようよろしくお願いいたします。
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