日本農業のトップランナーを表彰 第53回日本農業賞2024年3月11日
日本放送協会、JA全中、都道府県農協中央会は3月9日、東京・神南のNHKホールで第53回日本農業賞表彰式を行った。
第53回日本農業表彰式(3月9日 NHKホール)
日本農業賞は日本各地の意欲的な農業経営や未来の豊かな生き方のヒントとなる食や農の活動を表彰するもので1971年に始まった。
主催者の山野徹JA全中は「生産資材価格が高騰するなど農業に向かい風が吹いている。そのなかでそれぞれの地域特性を活かし、日々の努力を着実に積み重ねながら新たな道を拓いてきた」と受賞者を称え、今回の受賞者の取り組みがJAグループが提唱している「国消国産」を「大きく前進させる取り組み」を評価した。
来賓として出席した坂本哲志農相は、生産資材価格の高騰や、気候変動による農業生産の不安定化、世界の人口増加による食料争奪など最近の変化を指摘し「将来にわたって持続可能な農業を構築することが課題となっている」と指摘し、国会に基本法改正案を提出していることなど踏まえ「今年は食料安全保障強化への改革元年」と話し、受賞者に「日本のトップランナーとして活躍し、日本農業を牽引することを期待する」とあいさつした。
今回は185件の応募があり、現地審査などを経て、個別経営の部と集団組織の部でそれぞれ大賞3組と特別賞1組が選ばれた。
個別経営の部 受賞者のみなさん
集団組織の部 受賞者のみなさん
中央審査会の森田清秀委員長(元東北大学教授)は審査講評で4点を指摘した。
第一は自然との共生や地域での資源循環の再構築をめざした営農。群馬県の酪農経営の須藤牧場(赤城酪農協連)は耕畜連携による自給飼料の確保に取り組み、山梨県の中嶋千里氏(JA梨北)の母豚20頭の完全放牧型の養豚一貫経営はアニマルウェルフェアを重視した取り組みとして評価された。また、269名の生産者で組織する兵庫県のこうべ旬菜部会(JA兵庫六甲)は下水汚泥から回収したリンを活用した肥料で都市住民に生鮮野菜を供給している。これらの活動は人にも家畜にも環境にも優しい持続的農業として高く評価された。
第二は食料安保の根幹である農地を守り担い手を育てる活動だ。
JA岡山加茂川ぶどう部会は中山間地域でぶどう園地を開発、後発産地だが新規就農者を支援し市場評価を確立した。また、農外からの新規参入だが、地域の耕作放棄地を引き受けて規模拡大、200haでソバの2期作などを展開している長野県のかまくらや(JA松本ハイランド、JAあづみ)は、地元の若者30名を超える正社員を擁するまでに発展した。これらの農地を守り、若者を育成する活動が評価された。
第三は、高齢化、過疎化が進む条件不利地域で農業の活性化を図る活動。
福島県のJA会津よつばかすみ草部会は豪雪地帯という条件不利を逆手にとって高品質なかすみ草を栽培しているほか、新規就農者を積極的に受け入れてきた。宮城県の中山間地域で水田80haを耕作し米粉パンを製造、直売するだけでなく、直売所を拠点に無料宅配、住民の送迎を行うなど地域住民の生活インフラも提供する川口グリーンセンター(JA新みやぎ)。ともに地域農業の活性化のみならず、地域社会の維持に貢献する活動として高く評価された。
第四が物流の2024年問題への先駆的な取り組み。愛知県の西尾鉢物出荷組合(JA西三河)は、全1980品種、約6900アイテムを出荷しているが、JAと連携して運送会社の一元化を図り、全国からの発注に効率的に対処できる仕組みをつくったことが評価された。
表彰式では群馬県の須藤牧場の須藤晃さんが受賞者を代表してあいさつ。今後について「地域に酪農が必要なことを証明し、次につないでいきたい」などを話した。
重要な記事
最新の記事
-
米農家(個人経営体)の「時給」63円 23年、農業経営統計調査(確報)から試算 所得補償の必要性示唆2025年4月2日
-
JAみやざき 中央会、信連、経済連を統合 4月1日2025年4月2日
-
サステナブルな取組を発信「第2回みどり戦略学生チャレンジ」参加登録開始 農水省2025年4月2日
-
JA全農×不二家「ニッポンエール パレッティエ(レモンタルト)」新発売2025年4月2日
-
【役員人事】農林中金全共連アセットマネジメント(4月1日付)2025年4月2日
-
【人事異動】JA全中(4月1日付)2025年4月2日
-
外食市場調査2月度 市場規模は2939億円 2か月連続で9割台に回復2025年4月2日
-
JAグループによる起業家育成プログラム「GROW&BLOOM」第2期募集開始 あぐラボ2025年4月2日
-
2025年クボタグループ入社式を開催2025年4月2日
-
【役員人事】農林中金ファシリティーズ(4月1日付)2025年4月2日
-
【役員人事】PayPay証券(4月1日付)2025年4月2日
-
【人事異動】ヤンマーホールディングス(4月1日付)2025年4月2日
-
【人事異動】コメリ(4月1日付)2025年4月2日
-
鳥インフル 英カンブリア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年4月2日
-
片倉コープアグリ アクプランタと協業 高温・乾燥対策資材「スキーポン」を全国展開2025年4月2日
-
頭の体操「ゆっくり健康マージャン」宮前センターで初開催 パルシステム神奈川2025年4月2日
-
鹿児島県志布志市へ企業版ふるさと納税 1100万円など寄附 渡辺パイプ2025年4月2日
-
JA埼玉中央「農業従事者専用ローン商品」取り扱い開始 オリコ2025年4月2日
-
【役員人事】ジェイカムアグリ(4月1日付)2025年4月2日
-
【人事異動】ヤマハ発動機(4月1日付)2025年4月2日