「みどり戦略部」新設 JAぎふ 「地消地産」で地域農業を守る2024年6月17日
JAぎふは、「地消地産」をキーワードに消費者の農業への参加など連携を強めて持続可能な農業の確立をめざしているが、4月には「みどり戦略部」を新設し、有機農業の実証試験、消費者との連携などの専門部署として活動をしている。
パネルディスカッションも行われた
6月11日に東京都内で開かれた「持続可能な食と農の未来を考える公開セミナー」で岩佐哲司組合長が実践報告のなかで明らかにした。
JAぎふが提唱する「地消地産」は「地域が必要としている農産物を作っていく」という考え方だ。多様な食材を多様な農業者が生産するとともに、「農家だけではこれからの農業は守れない」と地域の人々の農業参画にも積極的に取り組んでいる。
これまでにJAが主導し「食と農の連携推進フォーラム」を立ち上げて、消費者への学習活動を展開しているほか、今年3月からは県の農産物認証基準の見直しにともなう独自の基準づくりについて消費者からも提案してもらうなどの取り組みも予定しており、今年秋までに一定の考え方をまとめることにしている。
こうした学習活動のなかで岩佐組合長は「食べて環境保全に関わることができるというニーズが消費者には強い」との手応えを得て3.7haの農地をJAで借りて「有機の里」として有機栽培の実証に今年から取り組んでいく。現在は整地と土壌診断、土づくりに取り組み初めており、この秋にも農産物を出荷したいとしている。
参加を希望する生産者には栽培暦を示して指導し、収穫した農産物はJAが買い取り販売する。
JAでは作物別の部会による安定供給と合わせて、こうした有機栽培などによる多品種少量生産での地域農業振興を図る方針で、この4月には「みどり戦略部」を新設した。
同部には「地消地産課」と、その下に「有機農業推進室」を設置し、有機の里での有機栽培の実証や、消費者との連携、生産者の新たな栽培提案などを行っていく。
また同部に設置された「店舗課」は、産直6店舗への有機農産物などの提供や売り場づくりなどを推進する。
この公開セミナーは、農水省のグリーン・イノベーション基金事業に採択された高機能バイオ炭コンソーシアム(ぐるなび、全農、片倉コープアグリ、ヤンマーエネルギーシステム、農研機構)が開いた。
同コンソーシアムは、イネもみ殻など農業副産物を炭化し農地に供給することで土壌に炭素を貯留させるとともに、微生物を付与した「高機能バイオ炭」として開発することで作物の健全な育成を助長することもめざす。
岩佐組合長はこの実証事業に参加することを表明し、JAのカントリーエレベーターを拠点としたイネもみ殻を原料にした高機能バイオ炭の製造実験と有機の里でのバイオ炭の使用などに期待を寄せた。
「生産者のみなさんには環境配慮や有機農業に収益性など完全に賛同が得られているわけではない。消費者も高いものを買うかという問題もある。手間はかかるが顔と顔が見えるなかで価格形成をしていくことが必要だ」と話した。
実践報告は、そのほか高機能バイオ炭など未利用資源を活用した次世代農業をシステムに開発・普及に取り組むTОWINGの事業展開や、イオンから2024年度に200億円をめざすオーガニック農産物の販売戦略などが報告された。会場には100人、オンラインでは600人以上が視聴した。農業者、JA、食品製造業、小売業、農業資材・農機メーカー、研究機関などから参加した。
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