共同利用施設の整備や多様な担い手支援 予算抜本拡充を 25年度予算でJAグループが要請2024年7月24日
JA全中は7月18日の理事会で「令和7年度農業関係予算に関する要請」を決め、23日に坂本哲志農相に要請した。改正基本法に位置づけられた食料安全保障の確保に向け、農業・農村が持続的に発展できる基本政策を確立することや、その裏付けとなる2025年度の農業予算を「十分に増額する」とともに、施策を集中的に推進するための「中長期にわたる万全な予算の確保」を要請している。
坂本農相に要請する山野全中会長などJAグループ全国連の代表 7月23日農水省大臣室
来年度の農業予算要請で重視しているのが「共同利用施設の整備・更新」だ。野菜の集出荷施設や米麦のカントリーエレベーターなど共同利用施設は、約30年前の事業費総額6兆円超のガット・ウルグアイラウンド対策費で建設されたものが多く老朽が進んでいる。このため生産基盤を維持し、国民に食料を安定供給するため、農水省の強い農業づくり総合支援交付金や産地生産基盤パワーアップ事業などの予算を抜本的に拡充するよう求めている。
また、資材費高や労働力不足なども踏まえて、適切に工期を設定したり事業費を見直すなど、運用の弾力化も求める。
物流2024年問題への対策も重視する。集出荷施設や共同配送拠点の整備、コールドチェーンの確保、モーダルシフト、パレチゼーションの促進など、物流効率化に向けた産地の取り組みを加速する支援を抜本的に拡充するよう要請している。
また、改正基本法では担い手以外に多様な農業者の農業生産活動への配慮が位置づけられたことから、今回の要請では「地域計画に位置付けられた担い手以外の多様な農業者への支援」の抜本的な拡充を求めている。
具体的には農業機械の共同利用への支援や、集落営農の活性化のほか、農作業受託組織などサービス事業体の育成などへの支援だ。地域農業の担い手への支援も重要だが、離農にともない担い手だけで農地を支え切れなくなっている現状があるなか、多様な農業者への支援を拡充して地域農業を維持する施策を手厚くすることが急務との考えだ。
日本型直接支払いの抜本的な拡充も求めている。日本型直接支払いのうち、中山間地域直接支払いは300億円ほどの予算が措置されているが、環境保全型農業直接支払いはわずか29億円で、しかも取り組みに対する掛かり増し経費の支援にとどまっている。
このため25年度から日本型直接支払い制度の環境負荷の低減の取り組みに対し将来は面積払いなどを実施するなど、思い切った対策への見直しに向けた抜本的な施策の拡充が必要だとしている。
そのほか適正な価格形成の実現と経営安定対策の強化、肥料や飼料など生産資材価格が高止まりするなか、地方公共団体が地域の実情に応じて必要な事業を実施できる「重点支援地方交付金」を引き続き措置・拡充することも求めている。
品目別対策のうち、水田・畑作対策では、中山間地での水田活用交付金の交付対象外水田への支援を含め営農継続と地域維持が可能になる施策を要請しているほか、畜産分野では和牛肉の需要拡大や、生乳の需給調整機能の強化に向け、全国の生産者・乳業者、国が一体となった生乳需給調整セーフティネットの措置などを求めている。
そのほか能登半島被災地への復旧対策、東日本大震災被災地の農業再生に向けた環境整備への支援、新品種や栽培技術の開発を含めた気候変動対策も要請している。
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