組合員との接点を強化 教育文化活動でファンづくり 家の光トップフォーラム2024年8月5日
一般社団法人家の光協会と家の光文化賞農協懇話会は8月1、2の両日、横浜市で家の光文化賞JAトップフォーラム2024を開いた。全国からJA組合長を中心に教育担当役職員ら約300人が参加し、「組合員との接点を強化する教育文化活動」のテーマで、福岡県JA筑紫と神奈川県JAあつぎが取り組み内容を報告、また同協会の「JAファンづくり検討委員会」と「これからのJA食農教育検討委員会」が検討結果を報告し、課題を共有した。
家の光フォーラム 会場
JA筑紫の白水組合長
JA筑紫は、教育文化活動を一括りして「ふれあい活動」としている。その中に食育活動や子育て支援などの「くらしの活動」や青壮年部活動、店舗独自企画などの「地域密着活動」を位置づけている。
同JAには、地域密着活動のメインとなる「店舗運営委員会」がある。支所ごとに非常勤理事、総代、女性部、青壮年部、正組合員、准組合員、各種部会、年金友の会、店舗長を構成員とし、全部で155人で構成。30店舗のうち、本店を含み26店舗で展開しており、年に4回の開催を原則に、「ふれあい活動」の内容に関することなどを協議する。
教育文化活動の意義を共有したトップフォーラム
平成28年に委員会をつくった目的について白水清博組合長は「意見や要望を単に聞く機会だけではなく『地域のためにこんな活動をやってみてはどうか』と組合員の代表者などと一緒に考えて行動する場が必要だった」という。
この結果、教育・学習、情報・広報、生活文化、組合員組織育成などの面でさまざまな「ふれあい活動」が生まれた。特に小学校での食農授業や収穫体験「ちゃぐりん食堂」、直売所への出荷者を増やした「ちくし農業塾」の運営など、参加者の好評を得ている。
「教育文化元年」を宣言
JAあつぎの大貫盛雄組合長
JAあつぎは2010(平成22)年「教育文化活動元年」を宣言した。当時、組合員の高齢化・後継者不足、組合員のJA離れが課題になっていた。JAの事業総利益は1993(平成5)年をピークに下降ないしは横ばいで、「利益優先の経営に危機感を持った。改めて組合員とのつながりを再構築する必要があると感じた」と大貫盛雄組合長は振り返る。
JAの常務になった翌年の2007(平成19)年、「家の光トップフォーラム」へ参加して、全国の先進JAの活動に刺激を受けたという。「教育文化活動は、協同組合意識の弱まった地域の復活と、JAファンを獲得する最大の手法だと認識した」。
そこで教育文化活動を「組織・事業基盤の活性化と豊かな地域づくり」として、地域農業の振興とともに、JAの中期事業計画のなかに位置づけ、役員・本所によるトップダウンによる組合員学習、役職員教育の強化に乗り出した。
支店長を中心に地区の生産組合、青壮年部、女性部、地区役員などからなる地区運営委員会を推進母体とし、農業体験、花の植栽体験など、地区の特色を生かした幅広い協同活動を展開。組合員の圧倒的多数を占める准組合員向けの広報誌や地域住民向けコミュニティー紙、さらに小学生向けの広報誌を発行するなど、地域や次世代に対するJAの存在感をアピールしている。
大貫組合長は、教育文化活動について「JA組織に強さをもたらす。すぐに成果が出なくても、トップの想いを組織や事業に反映させるため、人を大切にし、寄り添い、対話を行い、組合員や職員と共に考え続けることが、必ず未来へつながる力になる」と述べ、トップの信念と情熱の重要性を強調した。
なお委員会報告では、JAファンづくりについて滋賀県立大学の増田佳昭名誉教授が、教育文化活動の重要性を強調し、各JAで「教育文化活動基本方針」をつくるよう呼び掛けた。また食農教育ではJCA(日本協同組合連携機構)の西井賢悟主席研究員が「人や社会・環境に配慮した行動、エシカルに行動する人を育てる取り組み」と、今日的な意義を指摘した。
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