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堆肥活用やIPМなどグリーンメニューを発信 販売先とのマッチングに力 JA全農2024年8月22日

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JA全農は持続可能な農業生産の実現に向け2023年に環境調和型農業に資する技術や資材を体系化した「グリーンメニュー」を策定し、県JAや経済連、県本部に提案した。その結果、現在全国で48モデルJAが取り組み実証を行っている。こうした取り組みをJAグループ内外に発信し、グリーンメニューによって生産された農産物の販売促進につなげようと8月8日に「環境調和型農業普及研究会」をオンラインで開いた。

48モデルJAが180メニューに取り組む

研究会にはJA、県本部、農研機構など生産サイドだけでなく、量販店、生協など合わせて270人が参加した。

これまでの実証結果を発信する狙いについてJA全農の山田正和耕種総合対策部長はグリーンメニューの取り組みを「生産現場で点から面に広げていく」ことに加えて「環境価値を訴求した農産物の取り扱いが店頭で拡大することつなげたい」と話した。

グリーンメニューは、環境負荷の軽減だけでなく、トータル生産コストを低減させ農業経営に貢献できる技術や資材を選定した。

化学肥料低減、化学農薬低減、温室効果ガス削減の3つの課題に応える資材や技術を計22メニューを選定して23年から実証をスタート、今年2メニューを追加し合計24メニューとなった。

化学肥料の低減では土壌診断に基づく適正施肥がある。日本の土壌はリン酸、カリの過剰なほ場が多いため、土壌診断を実施したうえで、土壌の養分を活用したうえで低成分肥料を使用する。それによって肥料の削減につなげるだけでなく、ほ場状態の把握を経営戦略に反映させることにつなげる。

化学農薬の低減ではザルビオフィールドマネジャーの病害アラートの活用がメニューの1つとなっている。AIを活用して病害発生を予測し、殺菌剤の散布推奨時期を知らせる。熊本県のJA本渡五和では、いもち病を病害アラートによって適期に防除できたため、早期コシヒカリの単収が約30kg増え、慣行比で農薬コストが6割減ったという。

研究会ではグリーンメニューに取り組むJAが事例発表した。JAさいたまは「堆肥入り混合肥料による施肥と土づくり」、JA徳島県は「ブロッコリーでの緑肥作物の活用」に取り組んだ。

JAそお鹿児島は総合的有害生物管理(IPМ)の一環として「ピーマン生産でのバンカーシートによる害虫防除」をJA福岡八女は「有機資材ソイルファインを使用した土壌還元消毒」に取り組んだ。

そのほか温室効果ガス削減に向けたメニューではJA新みやぎが「水田の中干し期間延長による水田メタン発生削減」、JA丹波ひかみが「マイクロプラスティック軽減肥料の取り組み」を発表した。

脱炭素見える化管理機能の開発へ

48モデルJAで取り組んでいるメニュー数は合計で180となっている。

取り組みメニューの内訳は化学肥料削減が40%で、具体策でもっとも多いのが堆肥入り混合肥料となっている。

温室効果ガス削減は33%を占め、具体策としては被覆肥料の流出防止・代替施肥法がもっとも多い。化学農薬削減は26%でバンカーシートがもっとも多い。

グリーンメニューは2025年までの3年間の実証試験を取りまとめて26年から本格普及する。他のJAでも実践できるようメニューの追加を検討している。

また、販売先とのマッチングも課題だ。全農はグリーンメニューだけでなく、その他の環境調和型農業を実践している産地情報を販売先と共有し、ニーズに沿った農産物の生産につなげるほか、新たな実需者の創出に向けて販売部門と検討を進める。販売先と連携して環境調和型農業の価値を消費者に理解してもらう取り組みも大切になる。

こうした生産現場の努力の「見える化」にも取り組む。

TACシステムの後継版である「担い手営農サポートシステム」に生産者の記録やTACが入力した栽培記録データを取り込み、環境調和型農業の「出口対策」として温室効果ガス排出量の算定管理など「脱炭素見える化管理機能」を開発している。

グリーンメニューの取り組みを発信

事例報告では中干し期間の延長によるJ-クレジットを申請した取り組みも報告されたが、申請には取り組みの記録や写真などの提出が必要で取り組みを断った生産者もいたという。JAがその業務を負担するのは人手不足のなか厳しいと思われる。

その申請管理やGHG排出量を策定し食品関連企業にそのデータを提示することで、産地の取り組みの評価と取引につなげる機能も期待される。

また、環境直接支払いなど交付金の受給要件に環境負荷軽減の取り組みを要件とするクロスコンプライアンスの考え方はすでに今年度から試行的に始まっており、そのクロスコンプラアンス管理にも活用する。全農は今年度末のシステム化をめざすとしている。

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