スマホ貸与でJA業務のDX推進 デジタル組合員証も実装へ JAぎふ2024年9月17日
第10回大規模JA意見交換会が9月13日、「大規模JAが取り組むデジタルイノベーション」をテーマに岐阜市で開催され、幹事JAのJAぎふがDXの取り組みを報告し参加JAと意見交換した。
第10回大規模JA意見交換会
意見交換会ではJAぎふの岩佐哲司組合長が「JAぎふが挑戦するDXへの取り組み~紙と鉛筆からの脱却・エクセル奴隷からの開放」を題して基調講演した。
同JAは2022年にDX基本方針を制定した。紙の資料や報告書に頼る業務ではデータに統一性がなく意思決定にも時間がかかり機会損失を招いているとの反省から基本方針を制定、デジタル技術を活用して業務を効率化し「生み出された時間で組合員との対話を強化する」ことを掲げた。
機械にできる仕事は機械に任せるとともに、デジタル技術を活用して組合員への新たなサービスも生み出す。一方で機械ができない相談活動にJAは力を入れることを改めて明確にした。
具体的に同JAがDX推進の一丁目一番地として取り組んだのが役職員への業務用スマホの貸与。約1000台を導入、さまざまなをアプリを入れて事務連絡から勤怠管理、動画によるコミュニケーションなどで業務改善を図ってきた。
アプリの一つ、「LINE WORKS」はトーク機能によるコミュニケーション、業務予定などを確認できるカレンダー機能、情報の周知と共有ができる掲示板などの機能がある。岩佐組合長は自身の予定をこのカレンダーでフルオープンにしているが、空き時間を見つけた職員が組合長との打ち合わせなどリクエストを入れるようになり、迅速で効率的な動きになったという。
また、掲示板には職員から提案も寄せられるようになり、組合長も月に1回、組織内YouTubeでトップメッセージを発信している。職員の提案を受け、たとえば短時間勤務制度の育児対象年齢を3歳から12歳にまで引き上げたり、より働きやすい服装をという職員の要望に応えてスーパークールビズを導入するなど業務の改善にもつなげた。
スマホ貸与によって事務負荷の軽減と作業時間の短縮、コミュニケーションの活性化など成果が出てきた。
岩佐組合長は最初から成功することはないとして常に改善を行うことが必要だと指摘し、とくにDX化には抵抗を感じる人もいるため、経営層のバックアップや職員への教育の必要性が重要だと強調した。同JAではITリテラシーの向上をめざし職員向けにはDX寺子屋を月1回以上開催し、組合員向けにはスマホ教室を開催している。
デジタル組合員証も実装へ
今後の取り組みでは、直売所出荷者が自分の販売実績とその分析結果をもとにした翌年に販売計画策定とJAとの計画共有など、経営戦略のための販売データの可視化や、デジタル組合員証についても紹介した。
デジタル組合員証はLINEを利用した仕組み。直売所やSSを利用したといった事業利用でポイントが貯まるだけでなく、イベントやボランティア活動などJAの協同活動への参加でも貯まるのが大きな特徴だ。組合員参画の「見える化」であり、地域課題に応えるとともに、アクティブメンバーシップの強化ともなる。
貯まったポイントはJAぎふの直売所だけでなく地域の飲食店でも使えるようにする。
組合員へのアンケートを行うこともできるため、組合員のニーズを把握して的確な情報やサービスを提供することができる。また、組合員同士のコミュニティサイトとしても活用できる。同JAでは10月からデジタル組合員証を発行する予定だ。
デジタル組合員証は、組合員とJAとのつながりを強化するツールとなるだけでなく、協同活動への参加でJAポイントが付与されるという点で助け合いの輪をさらに広げることも期待される。さらにJAの店舗だけでなく地域の飲食店などでもポイントが使用できるなど地域経済への貢献も期待できそうだ。
岩佐組合長は「JAぎふを中心とした経済圏を将来は実現したい」と話した。
今回の大規模JA意見交換会には14JA、約60人が参加した。
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