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出荷・検品作業 スマホやWebで簡単に (株)AUDER【JAアクセラレーターがめざすもの】2024年10月9日

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JAグループの資源をスタートアップ企業に提供し、農業や地域社会が抱える問題の解決をめざして新たなビジネスを協創するJAグループのオープンイノベーション活動である「JAアクセラレータープログラム」は今年度は第6期を迎え、9社が優秀賞に選ばれた。現在、JA全農、農林中金職員ら「伴走者」の支援を受けてビジネスプランのブラッシュアップをめざして活動をしている。今回は農産物、食品の出荷・検品作業をスマホやWebを活用して簡単にするシステムを開発した(株)AUDERを取材した。

産地から家庭の食卓まで、食べ物は長いサプライチェーンに乗って運ばれてくる。(株)AUDER(オウーダー)は、サプライチェーンの中にある、生産者、大卸、仲卸、小売りのそれぞれで行われる出荷・検品作業を、誰もが使えるスマホやWebを活用して、簡単かつ安価にするシステムを可能にした。

スマホのカメラでバーコードを一度に処理

オウーダーは、農水産物サプライチェーンの出荷・検品を効率化するITシステムを、SaaSという形で提供しており、すでに卸売業者や小売業者に本システムを提供しており、今回のJAアクセラレーターには、よりサプライチェーンの上流に本システムを展開したいと応募し採択された。

AUDER(株)代表取締役社長 CEO 各務 友規氏

AUDER(株)代表取締役社長 CEO 各務 友規氏

代表取締役CEOの各務友規氏は、「バーコードを1点ずつ読む、従来の出荷・検品業務に困っていて、改善したいと思っていました」と豊洲市場でのシステム開発のきっかけについて話す。卸は、何百店舗もの小売から注文を受けると、その店舗ごとに商品を仕分けする。もちろん出荷時に検品するが、時には小売りから「三つ注文したのに二つしか来てない」とクレームが来る。ある卸では検品・出荷作業を4人の担当が1日のべ8時間ほどかけて行っているが、どうしても数量がずれることがある。細かな数値確認にミスが発生していたのだ。

各務氏は、現在の出荷・検品作業を確認し、バーコードやQRコードの読み取り作業を大幅に低減できる点に気づいた。

「通常、バーコードやQRコードは、一つひとつリーダーで読み取る必要があります。しかも同じバーコードを2回読むといったミスも出やすい。そこで私たちは、スマホのカメラの画角に入っている、すべてのバーコードやQRコードを瞬時に読み取る画像認識技術を活用し、読み取りの手間を大幅に減らしたのです」という。そして、出荷・検品作業の大幅な省力化を可能にし、実際トライしたところ40%以上も検品業務を効率化することができた。

〈同社システムによるバーコード等スキャンのイメージ>

左)複数のコードをまとめて撮影、中)写真の中のコード全てを同時に処理。データをサーバーにアップする、右)対象外があれば注意を発して、別のコンテナへの移動を促す

左)複数のコードをまとめて撮影、中)写真の中のコード全てを同時に処理。データをサーバーにアップする、右)対象外があれば注意を発して、別のコンテナへの移動を促す

さらに、同社は最近の高性能なスマートフォンのカメラを読み取り機として活用。システムのハードウェアの価格を、リーズナブルに提供できるようした。

また、一般的に卸業者におけるモノの入荷から出荷は、WMS(ウェアハウス・マネジメント・システム)等のシステムで管理されている。このWMSに、RFIDやAIによる画像認識などを追加したいという希望が増えているが、こうした一部の改修は対応が難しく、開発コストが大きくなるケースが多い。

「ですからオウーダーのシステムは既存のWMSに、出荷・検品の仕組みを後付けできるようにしました」。具体的には、バーコード、QRコード、RFID といった読み取り機能を後付けできる形に組み上げた。データも、CSVファイル、FTP、APIといった多様な方法でWMSとやりとりできるようにした。価格もリーズナブル、後付けも容易なオウーダーのシステムは、引き合いも多く評価は高い。

より効率的なサプライチェーン目指す

現在、オウーダーが提供する出荷・検品システムは、食品が中心だが、「検品が必要な商品であれば、対象は特に選びません」と全方位で対応できる点を強調する。

そして、このオウーダーのシステムを「マルチテナント型」として、農業等よりサプライチェーンの上流に展開したいと語った。マルチテナントなら、参加しているJAすべての出荷・検品のデータを容易に共有できるから、地域全体で、どこにどんな農作物が動いているかがリアルにわかる。農作物のやりくりなどもやりやすくなるはずだ。

さらに、このようにバーコードといった「ラベルによる検品・集荷の仕組み」を、生産地で実施したいという。産地から出荷する時、段ボールには3kgなど重量のデータが記載されるが、こうしたデータは卸の検品時は、作業者が手でシステムに入力していることが多い。各務氏は「最初から3kgというデータをデジタルデータとして連携し、尚且つラベルに紐づけておけば、検品時にわざわざ手入力する必要はありません。農水産物向けのデジタルなプラットフォームをぜひ作っていきたい」と話す。

現在は「卸→小売」領域で出荷・検品システムを稼働させているが、今後は「生産地(農業者)から管理ラベルを貼り、小売まで全部をフォローするデジタル・プラットフォーム」をJAと共に目指す

管理ラベルを貼り、小売まで全部をフォローするデジタル・プラットフォーム」をJAと共に目指す

【伴走者のコメント】
ラベル付け等に賛同する産地を調査中。調査ではラベル付けに関する課題の解像度アップにも注目している。今後も複数箇所に訪問する予定。仲卸や小売等との連携も留意し、こちらも面談実現に向けて調査、依頼等を実施中。

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