JA大会決議 5つの取組戦略で「農業所得増大」 「組合員数の維持・拡大」実現を2024年10月22日
JAグループは10月18日、第30回JA全国大会で2025年度から3年間の事業と運動方向を決議した。大会決議では、これまでの自己改革で取り組んできた「組合員との対話」をさらに進め、「協同活動と総合事業の好循環」を通じて接点づくり、組合員との関係強化、仲間づくりを進めていくことが必要だと強調している。
採択された決議では、JAグループの存在意義を「協同活動と総合事業で食と農を支え豊かなくらしと活力ある地域社会を実現する」とした。
また、JAグループ全体の重点目標として「農業所得の増大」、「組合員の維持・拡大」、「事業収益性の向上」を掲げた。
存在意義の発揮による目標実現のために取り組むのが5つの戦略である。
①食料・農業戦略
基本的考え方は、次世代の担い手の確保と多様な農業者への支援、環境に配慮した農業の推進で農業生産基盤を支え、総合事業を通じて「農業所得の増大」と安全・安心な国産農畜産物の安定供給を実現し、食料安保に貢献すること。
組合員が展望を持って営農できるよう組合員間、組合員と役職員の話し合いで確信ある地域農業振興計画を策定、実践する。
また、組織協議で強調された「適正な価格形成」の実現と経営安定対策の強化に向けた農政運動とともに、国民理解にも取り組む。
農業の担い手のニーズが多様化、高度化していることから、事業間連携による総合事業力の発揮に向けて、出向く活動、総合事業提案、農業経営コンサルティングなどの機能を発揮していく。
②くらし・地域活性化戦略
基本的考え方は、協同活動と総合事業を通じた組合員の願いの実現、課題解決によって、組合員のくらしへ貢献するとともに、地域社会の活性化、地域コミュニティの維持による地域社会の持続的発展に貢献すること。
組合員のライフステージに最適な事業を提供する「組合員のくらしを軸とした事業・活動」を提起、実践する。
また、組合員のニーズを把握するため、訪問活動のほかに、SNSやアプリなどデジタル技術を活用した非対面接点による事業・部門の垣根を越えた「くらしに寄り添う接点創出」を提起し実践する。
そのほかもっとも重要な協同活動として「全世代型食農教育」への取り組みや、他の協同組合や農林漁商工業団体との連携を通じた地域社会の活性化に貢献する。
③組織基盤強化戦略(JA仲間づくり戦略)
基本的考え方は、組合員との対話に取り組むとともに、協同活動と総合事業を通じて組合員との関係強化を図り、組合員とともに営農やくらしの願いの実現に取り組むこと。
組合員との対話運動の継続・強化や、組合員類型に応じて▽JAの認知度向上、▽事業利用の推進、▽活動参加の推進、▽意思反映と運営参画など関係強化を図る。
「次世代総点検運動」と新規就農者の育成・定着を支援し「農業振興の主人公」である次世代の正組合員の確保に取り組む。また、「農業振興の応援団」の拡大に向けて、都市農村交流や食農教育などを接点に准組合員の加入促進や地域住民との関係づくりに取り組む。
④経営基盤強化戦略
基本的考え方は、不断の自己改革として財務・収支の改善を図ることで持続可能な経営基盤の確立に取り組むこと。原動力となる役職員の力が重要だとして、組合員と地域に信頼される人づくりを進める。
中長期的にJA経営がどうあるべきかを検討し、組合員や職員の声も踏まえて経営計画を策定するとともに、施策実践のPDCA管理に取り組む。
今回の大会決議で強調されていることの一つが人材確保と人づくりだ。離職する職員が増え、採用難でもあることから、食や農、地域への貢献が実感できるインターンシップの導入や、広報部署とも連携した採用活動なども重視する。
職員としてJAの仕事にやりがいを感じられるよう、個と組織が互いに貢献できる関係づくりに向け、エンゲージメント調査を踏まえた職場づくりなども提起した。
⑤広報戦略
基本的考え方は、改正基本法を踏まえた「食料安全保障の確保」と「適正な価格形成」に向けた国民理解の醸成と行動変容に向けた情報発信への取り組み。また、2025年国際協同組合年を協同組合の役割や価値の情報発信も重視する。
具体的には一般国民向けの「国消国産」の意義と重要性の発信のほか、組合員や職場向けに協同組合理念や、JA事業について広報活動を行う。
大会決議は2025年度からの3年間でJAグループが同じ方向に向かっていくための共通の意思の表明だ。今後、地域ごとの実情や課題を踏まえて、5つの戦略を組み合わせたり優先順位をつけて戦略を策定することが期待される。
大会決議の取り組み状況は毎年実施する調査などで、実践状況の「見える化」を行うことにしている。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(123) -改正食料・農業・農村基本法(9)-2024年12月21日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践 (40) 【防除学習帖】第279回2024年12月21日
-
農薬の正しい使い方(13)【今さら聞けない営農情報】第279回2024年12月21日
-
【2024年を振り返る】揺れた国の基 食と農を憂う(2)あってはならぬ 米騒動 JA松本ハイランド組合長 田中均氏2024年12月20日
-
【2025年本紙新年号】石破総理インタビュー 元日に掲載 「どうする? この国の進路」2024年12月20日
-
24年産米 11月相対取引価格 60kg2万3961円 前年同月比+57%2024年12月20日
-
鳥インフルエンザ 鹿児島県で今シーズン国内15例目2024年12月20日
-
【浜矩子が斬る! 日本経済】「稼ぐ力」の本当の意味 「もうける」は後の方2024年12月20日
-
(415)年齢差の認識【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年12月20日
-
11月の消費者物価指数 生鮮食品の高騰続く2024年12月20日
-
鳥インフル 英サフォーク州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年12月20日
-
カレーパン販売個数でギネス世界記録に挑戦 協同組合ネット北海道2024年12月20日
-
【農協時論】農協の責務―組合員の声拾う事業運営をぜひ 元JA富里市常務理事 仲野隆三氏2024年12月20日
-
農林中金がバローホールディングスとポジティブ・インパクト・ファイナンスの契約締結2024年12月20日
-
「全農みんなの子ども料理教室」目黒区で開催 JA全農2024年12月20日
-
国際協同組合年目前 生協コラボInstagramキャンペーン開始 パルシステム神奈川2024年12月20日
-
「防災・災害に関する全国都道府県別意識調査2024」こくみん共済 coop〈全労済〉2024年12月20日
-
もったいないから生まれた「本鶏だし」発売から7か月で販売数2万8000パック突破 エスビー食品2024年12月20日
-
800m離れた場所の温度がわかる 中継機能搭載「ワイヤレス温度計」発売 シンワ測定2024年12月20日
-
「キユーピーパスタソース総選挙」1位は「あえるパスタソース たらこ」2024年12月20日