「選ばれる農協」になるには 農水省経営局・新川元康協同組織課長講演 新世紀JA研究会(下)2024年11月7日
新世紀JA研究会は10月31日、11月1日の両日、東京都内のJA東京アグリパークで秋季セミナーを開いた。講演した農水省経営局・新川元康協同組織課長は、後半で職員の確保・育成を中心に総合農協の現状と課題、農協系統に伝えたいことを語った。
「合理的価格形成」で農協系統に期待 農水省経営局・新川元康協同組織課長講演 新世紀JA研究会(上)
人手不足は農協に限らないが
「総合農協の現状と課題」について新川課長は、「昨日まで愛知、三重に行ってきたが、どの農協さんに聞いても職員が減り、新卒採用もなかなか計画通り確保できない」と話す。
2000年には27万人いた職員が、22年には17万人になった。職員数の減は人件費減による利益確保につながっているが、コストカット型の利益確保には限界がくる。「一人当たりの業務負担が重くなると、さらなる離職を招く。職員が減って組合員さんのフォローが間に合わなくなると、組合員さんから農協が選ばれなくなる」とし、「働きやすさや働きがいといった職場環境への取り組みが求められているのではないか」と、新川課長は人的資本投資の重要性を問題提起した。
人員減への対応策
一部の農協では、エンゲージメント調査を行って、役員と職員との溝の要因分析と、溝を埋める対策を実施している。全中も9月にセミナーを開き、農水省も働きがいなどに着眼して監督指針を改正した。
あいち知多農協では、役員さんが高い意識をもって引っ張っている。役員と職員の対話をしっかりしてビジョンを決め、ビジョンや「地域を大事に」という価値観を共有している。
新川課長は、次のように講演を結んだ。
「これまでは農協は選ぶ側だったが、選ばれる側に変わった。農業者の所得向上のための自己改革は引き続きやっていただきたい。加えて重要になってきているのが、コンプライアンス・ガバナンスの強化、職員の働きやすさ、働きがいのある職場環境だ。それによって農協の運営基盤をしっかり確保していく。農水省としても、そうした取り組みを後押ししていきたい」
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