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和牛の消費拡大へ JA全農2024年11月19日

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JA全農は18日に開いたメディア懇談会で、和牛価格の推移と消費喚起対策について畜産酪農事業担当の由井琢也常務理事が報告した。

由井JA全農常務

JA全農由井琢也常務

和牛枝肉の主販路である高級外食と輸出、インバウンドがコロナ禍で停滞し、枝肉相場は急落した。国の需要喚起策(補助事業)の効果で一時回復したが、2022年以降は再び下落し、24年7月以降は新型コロナウイルス感染症が発生した20年の相場を下回っている。

出典:JA全農作成資料

出典:JA全農作成資料

和牛相場や生産原価の大きな割合を占める飼料価格が高止まりしており、肥育経営体が子牛の購入価格を抑制せざるを得ず、子牛価格相場も下落が続き、繁殖経営体は非常に厳しい経営状況が続いている。

和牛の出荷頭数は、口蹄疫や東日本大震災で減少傾向だったが、16年度を底に増加に転じ、コロナ禍の期間も増加基調が続いている。品種改良や飼育技術の向上により産肉量は大幅に増加し、生産量は過去最高水準だ。

また、枝肉の格付けは品種改良などどで5等級が飛躍的に増え、去勢においては23年の63.5%から24年1~8月には66.7%となり、高級肉の希少性がやや薄れている。産肉量も大幅に増え、生産量は過去最高水準となっている。

消費動向では、家計消費に占める豚肉・鶏肉の消費が伸びる一方、牛肉は低迷が続き、その差が拡大している。また、19年までの消費量は所得の落ち込みと相関関係があり、21年以降は所得が増加に転じたが、物価上昇で食肉全般の消費が落ち込み、特に嗜好品である和牛は厳しい状況にある。

和牛の需給が改善しなければ、繁殖農家の離農が加速し和牛の生産基盤が縮小する懸念がある。由井常務は「縮小した生産基盤の回復には、繁殖雌牛の出生から種付け、分娩、子牛育成に35か月、子牛の肥育から出荷までの20か月の合計55か月かかる」と強調した。

こうした状況から、JA全農では23年度下期から和牛消費を喚起するキャンペーンに独自に取り組んでいる。24年度は取り組み内容を強化し、継続する。給料日など日常の「ちょっといい日に和牛をたべよう!」のメッセージを継続的に発信する。

方向性としては①過去最高の賃上げを追い風にした内需需要の刺激②過去最高を続ける訪日客向けに認知度向上③経済的事情で和牛を食べる機会のない消費者層に向けてフードバンクへの和牛提供を通して将来の消費維持を念頭としたアプローチを行う、の3点。

24年度下期には、タレントのなかやまきんに君を和牛応援団長に任命したイベント、『食べログ』への和牛特設ページ開設、JAタウン送料無料キャンペーン、新宿駅東口アルタビジョンでの動画の放映など。また、社会貢献としてNPO法人「むすびえ」と連携して全国100の子どもス奥堂に5000食分の和牛肉を提供する。

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