生産コストを賄える米の生産へ JA全農2024年11月19日
JA全農は11月18日に開いたメディア懇談会で、直近の米穀情勢と今後の取り組みを米穀農産事業担当の金森正幸常務理事が報告した。
JA全農金森正幸常務
農林水産省が公表した「令和6年水稲の作付面積及び9月25日現在の予想収穫量」によると主食用米の予想収穫量は683t、全国の作況指数は102(やや良)となっている。また、同省が10月30日に公表した需給見通しによると、今年6月末民間在庫量は153万t、2023/24年主食用米等需要量は705万tとなっている。25年6月末民間在庫量は162万tで、24年7月時点の見通しから10万t増加する見込みだ。
出典:JA全農作成資料
生産コストと販売価格を比較すると、平均的な生産者は販売価格で生産コストを賄えない状況が長年続いていた。そのため「米作りを持続させるためには、生産コストを賄えるようにする必要がある」と金森常務は強調した。
需給安定と集荷確保に向けて、JA全農は担い手などに対して、主食用米や水田活用米穀(飼料用や米粉用など)、畑作物などを地域や経営実態に応じてバランスよく作付けする作付ポートフォリオを提案。そのほか、子実とうもろこしとの輪作実証など、品目別の実需者ニーズも踏まえ、需要に応じた生産に取り組んできた。また、地域の農業振興と生産基盤確保に向けては、JAと連携して担い手が抱える経営課題への解決策の提案を強化し、JA・連合会集荷数量の拡大にも取り組んでいる。
事業環境の変化に対応する取り組みとしては、営農と価格の安定のため、量販店や外食チェーンなどの実需者に直接結びついた取引に取り組んでいる。これを複数年にわたって維持するため、事前契約の段階から、三者(全農・卸・実需者)、四者(JA・全農・卸・実需者)による契約を積極的に進めている。24年産米の場合、事前契約は全体で129万tとなる見込みで、このうち複数年契約は77万t、播種前が28万t、収穫前25万tの内訳となっている。
環境負荷の低減に向けては、稲わらを収穫後の秋にすきこみ、湛水前に有機物の分解が進むことでメタンガスの発生を抑制できる秋耕と物流改善を組み合わせ、環境に配慮した持続可能な米穀の生産・流通体制を構築する。物流改善では、全国統一規格のリターナブル(複数回)利用によってフレコンの製造・廃棄数量を減少させる全農統一フレコン、産地と販売先が共通パレットを使うことでパレットの製造・廃棄数量を減少する全農パレチゼーションシステム、トラック輸送をJRコンテナや船舶に切り替えるモダールシフトなどを進める。
消費拡大に向けては、米をおいしく、楽しく食べるためのレシピ紹介など消費機会を提供する消費者への情報発信に取り組んでいる。また、外食業界との連携で「〆おにぎり&おつまみおにぎりグランプリ」を開催し、全国各地の飲食店501店舗が参加。外食産業における米の消費拡大に取り組んでいる。
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