【TAC部門】全農会長賞 山本『甘助』が担い手の負担を軽減!! 2024年11月27日
JA全農が11月21、22日に開いたTAC・出向く活動パワーアップ大会2024ではTAC部門では全農会長賞にJAフルーツ山梨の竹川要氏、JA京都中央の佐藤聖也氏が選ばれ、JAしまね斐川地区本部の大國満瑠氏が選ばれた。概要を順次、紹介する。
JAフルーツ山梨営農指導部 竹川要氏
JAでは2006年からTACを設置、もともと指導業務で普段から担い手に出向き信頼関係を築いている指導課職員がTAC活動を兼務して担い手のニーズを把握して課題解決に取り組んでいる。
現在、1名の管理者のもと27人がTAC活動に取り組み、担い手ニーズの収集のほか、JA未利用・低利用農家への推進活動、補助事業などの活用提案、営農指導などを業務内容としている。
担い手から共選で出荷できなかった持ち帰って大きさ別に分けて箱に詰め替えるのが負担、共選所ごとの基準を統一して有利販売につなげてほしいという要望が出され、作業の効率化、手取りの安定化が喫緊の課題となった。
市場やバイヤーに聞き取り調査をしたところ、完璧な品質でなくても手頃な価格で購入できるものの求められていることが分かり、農家が個人で出荷している桃にも需要があることが分かった。そこで新しい基準を作成し、糖度は8度以上、10度以上の2区分とし、病害虫の影響がなく十分に色づいたものとすることにしたが、品種は問わないとした。
これによって武田信玄の軍師として知られる山本勘助になぞらえ「甘助」を新しいブランド名とし出荷の効率化、担い手の負担軽減を実現した。
出荷基準の統一化に向け「山梨ブロック(7地区)露地桃統一販売運営委員会」を設立し、出荷基準の統一基準を作成し2つの共選所による二元集荷一元販売を実現した。
ただ、そのためには各共選所での選果のズレをなくことが必要で目合わせ会で担い手の意識を高め統一する必要がある。それには基準に合ったサンプル採取が必要となるが、その確保が課題となり、時間と職員の人手不足するなか、園地の場所把握など多大な労力がかかる。
そこでZ‐GISにほ場を登録してサンプルの写真をデータとして蓄積することにした。どこの園地でサンプルが採取できるかを明確にするため品種や栽培情報などをZ‐GISに登録した。さらにサンプルとして採取できなかった場合を想定し、サンプルとする桃を写真撮影してデータとして蓄積、目合わせ会でサンプル提供ができなかった際には過去の写真データで補った。
二元集荷一元販売を行うことで有利販売実現し担い手の手取りが向上した。また、新ブランド「甘助」を設定することでこれまで個人で出荷していた桃を共選で出荷できるようになり省力化が実現した。
収穫期全体で約112時間の個人出荷準備時間を削減した。「甘助」の出荷量は22年度は193t、23年度は239tへの増えた。個人出荷より販売単価は3割ほど高くなった。Z‐GISの活用で職員の業務も効率化した。今後は「甘助」の知名度向上を図っていきたい。
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