【TAC部門】全農会長賞 「京おくら」産地化へ~ゼロからのスタート JA京都中央 佐藤聖也氏2024年11月28日
JA全農が11月21、22日に開いたTAC・出向く活動パワーアップ大会2024ではTAC部門では全農会長賞にJAフルーツ山梨の竹川要氏、JA京都中央の佐藤聖也氏が選ばれ、JAしまね斐川地区本部の大國満瑠氏が選ばれた。概要を順次、紹介する。
JA京都中央経済部営農販売課 佐藤聖也氏
JA管内は九条ねぎ、京都茄子、花菜が特産だが、農家の高齢化、後継者不足、高温による栽培環境の悪化などの課題があり、組合員からは夏の高温に強く、需要が期待でき、低コストで取り組める新たな品目の検討をというニーズがあり、オクラを導入することにした。
2020年にJA京都中央京おくら出荷部会が生産者9人、25aでスタート、23年には28人、72aにまで増えている。
ただ、収穫から出荷までに時間と労力がかかり最盛期には4500本を手作業で袋づめするなど、担い手の労働力軽減が課題となった。そこで担い手に農福連携事業を提案した。福祉サービス事業所とのマッチング会を実施し、6事業所が参加してJAの支店で調整・袋づめ作業体験も行った。
その結果、1戸の担い手が取り組むことになり、2023年に約2か月間作業を委託し、70g袋で5600袋などの数量を委託した。事業所への委託料は約7万円ほどが担い手の負担となるが、販売金額は約71万円となった。担い手からは作業負担だけでなく精神的な負担も軽減されたと評価され、今年は新たに3戸の担い手が作業委託を開始した。
「京おくら」の単価向上も課題で、8月には価格が大きく下落し担い手の生産意欲を失わせた。しかし、市場価格を調査してみると8月の1kg当たり1000円台にくらべて5月は2100円台と高いことが分かり、出荷時期を早めるため3月上旬の播種に取り組もうとしている。また、出荷最盛期の単価底上げに向け2市場へ分荷したり、全農や卸会社と協議して大手量販店へ販路を確保するなどの取り組みで単価は前年比120%となり、来年は面積を拡大しようと意欲が高まっている。
そのほか食品企業とも連携して「京おくら」を使用したレシピブックの作成や京産京消をコンセプトにしたメニューの提供なども行って単価向上を図った。
一方、オクラは生育が早いため規格外が増えロスが多く、担い手からこの課題解決を求められていた。規格は12.5センチまで70gとされているが、それを超える大きさのオクラを150g規格(ダブル)という大型規格を追加して出荷することにした。
規格外品は単価が1kg
109円程度となるが、大型規格は単価が500円を超え、販売金額は約4.5倍となった。出荷量も22年にくらべて4倍以上となった。
JAや全農、行政とも連携し「京おくら生産振興協議会」を設立、月1回は会議を開催して情報共有と生産拡大に向けた戦略策定を行っている。出荷部会として2023年は前年比で出荷量140%、販売額168%と産地を成長させることができた。行政と連携することで担い手のバックアップ体制も強化できている。
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