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TAC・出向く活動に弾みを 多面的に担い手支援【JA全農耕種総合対策部 岩田和彦次長に聞く】2024年11月29日

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担い手の大規模化が進み、ニーズが多様化・高度化するなかTACの出向く活動はますます重要になる。JA全農は11月21、22日の2日間、TAC・出向く活動パワーアップ大会2024を開いた。今回の大会の意義、今後の方向についてJA全農耕種総合対策部の岩田和彦次長に聞いた。

JA全農耕種総合対策部 岩田和彦次長

JA全農耕種総合対策部 岩田和彦次長

――今回の大会は①地域農業の負託に応える出向く活動基盤の強化②生産・経営支援を通じた担い手の所得増大と生産基盤の維持・発展③食料安全保障の強化に資する「食」と「農」への貢献――の三つがテーマでした。改めてその狙いを聞かせてください。

大会は今回で17回目となりましたが、出向く活動はこれからもっと重要になります。農業の担い手は2030年に54万経営体へと半減し、2040年には30万経営体へと一気に減るという見込みが国からも示されています。TACは立ち上げからこれまで、まさにこうした時代を迎えるときのために活動してきたと思っており、農地の集約がますます進むなか、農業経営支援まで含めた、より経営の核心に近い部分の支援も実施していきたいと思っています。

テーマの①で出向く活動基盤の強化を挙げましたが、これからがTACの真価が問われると思いますし、その活動が本当に花を咲かせるのが、この後の10年であり、そのターニングポイントが今年ではないかと考えています。

②の生産・経営支援を通じた担い手の所得増大は①の出向く活動基盤の強化とセットで考えておりますが、出向く活動における大きな目標の一つとして掲げました。③の食料安全保障への強化に資する食と農への貢献はJAグループの大きな方針とも言えますが、やはり出向く活動においてもめざしていかなくてはならないということです。

ところで、担い手の所得増大と生産基盤の維持・拡大のベースはやはり米価です。今、米価が上がりましたが、単純に喜んでいるだけではいられません。食料安全保障という面からすれば、消費者に食べてもらわなければ作り続けられないわけですから、価格が上がったから食べなくなったというのでは本末転倒です。その意味で農家に出向くことだけがTACの仕事ではなく、消費者にどう農家の現状を伝えられるか、という役割も担っていかなければならないと考えています。

生産者と消費者をつなぐTAC

現在の米価になり、やっと一息つけた、というのが米農家の現状です。5kgで3000円を超えた現状でも、お茶わん1杯40円程度だということを消費者に理解してもらうことも生産者と消費者をつなぐTACの役割の一つと考えています。③の食料安保への貢献というテーマにはそういう思いも込めています。

これまでのTAC活動のなかでは「みのりみのるマルシェ」など消費者に直接話す活動にも取り組んできていますが、米価が上がった今こそ、消費者理解の醸成が重要になっているということです。

――今回から大会の名称が「TAC・出向く活動」となりました。

TACの現状は営農指導員との兼務も増えており、出向く活動をしていてもTACとは違う名称にしているJAも多数あります。出向く活動を実施する担当者に対して、より幅広く情報共有・支援強化をしていきたい、ということです。結果として今年度の大会では今まで参加されてこなかった県からの参加も多数あり、昨年度の大会を大幅に超える数の方に参加していただきました。

――各発表を聞いて今回の大会の意義をどう考えますか。

最初に触れたように急速に担い手が減り、経営の大規模化が進むと見込まれるなかで、今までのような情報提供や担い手の要望を聞くという活動だけでは担い手が物足りなくなると思います。

もっと一歩進んだ寄り添う活動が求められると思いますが、そのキーワードが今回の大会にあったと思います。

その一つはJAしまね大國満瑠さんの農業者の経営改善に向けたコンサルチームの提案など、JAグループとしてトータルで支援する取り組みです。

さらに今までのTAC活動はどうしても水稲が中心でしたが、今回はJAフルーツ山梨の竹川要さんが果樹のブランド化の取り組みを報告し、JA京都中央の佐藤聖也さんがオクラの産地化の取り組みを報告しました。これは非常に象徴的な、これからの指針となるような取り組みです。

この3人は生産者と徹底的に話をして、では、こういう産地をみんなで作っていこうと提案し、それが営農指導ともうまく絡み合ったという事例だと思います。やはり担い手が減ってきていますから、出向く活動を通じてさらに深い提案をしていこうということです。

――今後のTAC活動はどのような方向で取り組む方針ですか。

担い手ニーズの多様化、高度化が進むなか、これに対応できる職員の育成や担い手との接点創出、総合事業の強みを生かした事業推進に取り組む必要があります。そのためには担い手との最前線の接点であるTACと営農指導員双方の知見を広く共有する必要があると考えています。

これまでは営農指導員は全中が担当し、TACは全農が担当するという垣根がありました。それを我々全国連の段階でも取り払って、みんなで対応していきたいと思っています。もちろん農林中金も共済連も含めてです。各県、全国段階の担い手サポートセンターとも連携し、組織の垣根を越えて担い手対応するという姿をめざしていきたいと考えています。

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