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経済性と社会性両立 協同組合金融の勘どころ ゆきぐに信組でフィールドワーク(2)【全中・JA経営ビジョンセミナー】2024年12月4日

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JA全中教育部は11月13、14日、新潟県の魚沼地方を営業エリアとするゆきぐに信用組合でフィールドワーク(FW)を中心とした「JA経営ビジョンセミナー」を開いた。高齢化・過疎化が進む地域で、「競争から共存へ、排除から包摂へ」を合言葉に地域資源を生かした「世のため、人のための仕事」を展開するには、どのような取り組みができるか、地域における協同組合金融のあるべき姿を探った。特に「経済性と社会性の両立」、それを実践する人をどう育てるかがセミナーの焦点になった。

経済性と社会性両立 協同組合金融の勘どころ ゆきぐに信組でフィールドワーク(1)から続く

「ゆきしん」の支援で軌道に乗せたマンゴー㊤と江口さん「ゆきしん」の支援で軌道に乗せたマンゴー㊤と江口さん

社会性は世の流れ

コーディネーターで参加した日下企業経営相談所の日下智晴代表は、ゆきぐに信用組合の取り組みをもとに、いまの企業に求められることとして、経済性と社会性の両立を挙げた。

2015年のSDGs合意以来、米国で企業利益と社会貢献を両立させる企業の集まり(ゼブラルユナイト)が注目されている。日本でも24年に経産省が「ローカル・ゼブラ企業」(地域課題の解決策を設定し、ビジネスを構築する企業)の基本指針を示した。「社会や地域の課題解決をビジネスと両立させながら新たな価値を創造する企業への期待が高まっている」という。

このほか、デジタル化で変わりつつある地方と都市の関係の再構築、働き方改革関連法の施行に伴い、個人と組織の関係の見直しが求められていると指摘した。

雪国マンゴー 一丸で軌道に

「ゆきしん」のエリアである魚沼地方は全国有数の豪雪地帯として知られる。この豪雪地帯の南魚沼市でトロピカルフルーツのマンゴーが作られている。温泉熱を使ったハウスで栽培する「魚沼の妖精」の商品名で販売。年によって差があるが、今年は5000個を収穫した。

きっかけは、同市でボーリング業を営む(株)江口設備工業の江口幸司社長が毎分1000L、64度の温泉を掘り当てたことにある。この温泉の利用を考え、そのころテレビで宮崎県の東国原知事が頻繁に宣伝していたマンゴーに目を付けた。

話を持ち込んだ県の振興局では「豪雪地帯の魚沼でマンゴーができるわけがない」と一笑に付された。だったら自分でと、付き合いのあるゆきぐに信用組合(当時は塩澤信用組合)に相談。「ゆきしん」は、宮崎県の信用組合と連絡をとり、担当役員を派遣してデータの収集に努めたが、当時、マンゴーは県外不出で、栽培を教えてもらえず苗の購入もできなかった。結局、沖縄から苗を購入した。

マンゴー栽培の相談を受けた「ゆきしん」は、雪国でも温泉熱を使ったハウスで栽培できること、一定の量を確保すれば経営的に成り立ち、「事業性あり」と判断。販路は長野県のリンゴを参考にオーナー制を導入するなど、経営ノウハウをアドバイスし、支援のゴーサインを出した。接ぎ木した苗が全滅したこともある。他の金融機関が門前払いするなか、「信用組合が最後まで支援してくれた。大きな支えになった」と江口社長はいう。

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