食料安保強化へ 「地域戦略推進交付金」の創設など政府・与党に要請 全中2024年12月11日
自民党の食料安全保障強化本部は12月11日に団体ヒアリングを行い、JA全中の山野徹会長が次期食料・農業・農村基本計画等に関するJAグループの重点要請を説明した。
自民党の食料安全保障強化本部会合
JAグループは、食料安全保障の確保に向け基本政策の確立と農業関連予算の増額を求める。
政府は改正基本法が施行された2024年から28年までの5年間を農業構造転換集中対策期間と位置づけているが、これを着実に進めていくため、JAグループは2025年度農業予算を十分に増額するとともに、「食料安全保障強化政策大綱」を見直しなどにより、補正予算も含めた「中長期にわたる万全な予算」を確保するよう求めていく。
次期基本計画では、生産現場の実態と農業者の意見を十分に反映して、実効性のある施策を講じることを求める。掲げる目標として、食料自給率目標と生産努力目標に加え、農業者、農地、国内で生産できる肥料など生産資材についても「意欲的かつ適切な目標」を掲げることを求める。
これまでは掲げた生産努力目標が達成されていない。たとえば、2020年の目標として小麦は180万tを掲げたが、実績は95万tと大きく未達となった。改正基本法では目標の達成状況を少なくとも年に1回は調査・公表することにしているが、JAグループは目標の達成状況をもとに、施策を不断に検証することと、必要に応じて機動的に施策を見直すよう求めていく。
基本計画検討の焦点の一つは、2027年度からの水田政策のあり方だ。
JAグループは稲作生産者の急激な減少などで主食用の需要量を国内生産で賄えないような事態とならないよう、非主食用米の生産を稲作生産力維持のための「バッファ」として位置づけて政策支援を行いつつ、合わせてほ場の大区画化など低コスト化を図るといった水田生産基盤の維持を目的とした制度への見直しを求めていく。
また、麦・大豆への支援は現行の畑作物の直接支払交付金の効果の検証と見直し、水田でのブロックローテーションや輪作、二毛作などで持続的に麦・大豆を増産することを支援する仕組みも求めていく。
さらにこれまで産地交付金として地域の判断で特定品目の支援に活用していた予算を地域の実態をふまえて幅広い取り組みを支援する「地域計画に基づく地域戦略推進交付金(仮称)」を創設することを求める。支援のイメージは各産地の作物振興や、環境に配慮した生産やブランド化の支援、研修農地への補助などによる新規就農者支援、機械の共同利用など多様な農業者の支援など。
米の政府備蓄制度については現行の100万t水準を堅持することを求めている。
次期酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針では「生産現場の意欲を損なわない生産数量目標の設定」を求めている。
酪農については牛乳・乳製品の需要創出施策を着実に進めることや、国の主導で生乳需給調整機能を強化するため、畜安法運用上の規律強化や、全国の生産者・乳業者が果たすべき役割の明確化、系統外も含めた一体となったセーフティネットの確立を求めていく。
肉用牛については消費者ニーズをふまえた多様な牛肉生産と持続可能な経営の両立をめざすことを基本方針に明記するよう求めている。
経営安定対策では生産資材価格などコストの高騰に着目した新たな仕組みなど、生産資材の価格高騰に対応できる対策の充実が必要だと強調している。
会合では党幹事長の森山裕食料安保強化本部長は「わが国にはいろいろな課題があるが、もっとも力を入れていかなければならないのは食料安全保障の問題。5年間を初動期間としてしっかり予算をとって急いで対応すべきことにすべて取り組めるようにと思っている」と予算増額の考えを強調した。
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