将来を担うJAの若手リーダー養成 JA全中戦略型中核人材育成研修 24人がレポートを発表2025年2月25日
JA全中は2月20日、東京・大手町のJAビルでJA戦略型中核人材育成研修会全国発表会を開いた。将来のJAを担う中核人材を養成するために各都県域で開かれている研修において優秀な成績を修めた代表者24人が一堂に集い、自らの修了レポートを発表した。今回は5つの班毎に自分のレポートを代表者全員に説明した後に各班で話し合い、その結果をもとに発表者に対して別の班の代表者から評価を述べるとともに疑問点の提示と応答等を行うというフィードバック形式で進めた。
24人が5つの班に分かれて討議
冒頭、JA全中の若松仁嗣常務が「人づくりは大事なミッションであり、各県連でも中核人事を育てていく方向をさらに発展させたい」とあいさつした。発表者は正組合員の高齢化や減少、職員の退職、准組合員の組織化、地域連携などの課題を「SWOT」など経営学的な分析を加えて検討。JAの置かれた環境に合わせた解決策を提案した。各自の発表から要点を紹介する。
別の班からの評価や質疑に応える代表者
【A班】
▽JAつがる弘前 成田康伸
「りんご産業の維持発展に向けて~農地の集積と基盤整備への取り組み~」
リンゴ園地の広域基盤整備や省力樹形への計画的な改植、スマート農機の導入、労働環境整備で営農継続や耕作放棄地抑制・有効活用、新規就農者への事業承継、組合員サービス向上を図る。
▽JA福島さくら 影山清明
「JAでの保育園運営を通じた地域とのつながり強化~地域の未来を育む取り組み~」
直売所隣接型保育園を設置し、JA農産物を給食用食材として提供するなど多面的な利用を促進し、地域住民との関係強化やJAのブランド力を向上する。
▽JAフルーツ山梨 山﨑さゆり
「人に寄り添い、共に成長するJA」
営農職員のマネージメントシステム導入や、女性や新規就農者に特化した「育成塾」の設立、離農した農家との「座談会」や教育制度で挑戦・信頼・総合力を発揮する人材を育成する。
▽JA岡山 河原紗希
「JA岡山の未来を作るリテンション・マネジメント~単位制導入による人材の育成と定着~」
研修や座談会、単位取得で各事業に横ぐしを通し、賞与査定への関連付けでモチベーションを高めることで、すべての事業を自分事として的確に提供できる人材を作る。
▽JAあいら 東郷俊介
「購買業務効率化戦略~届ける想い・繋げる地域~」
集約化した購買店舗の館内に配送拠点を作り、配送専門部署を設立することで、配送業務の効率化や経費削減、利用者の利便性向上につなげる。
【B班】
▽JAみやぎ登米 佐藤匠
「米販売事業の収支改善に向けて」
国内では農作業体験ツーリズム、海外ではオリジナルのパックご飯で「環境保全米」の販路を拡大。大型施設を組み合わせ、集荷量確保と収支改善を両立させる。
▽JA常陸 小林大貴
「住宅ローン友の会について~現役世代のJA全利用に向けて~」
「住宅ローン友の会」を発足して有機農業の体験や共催イベントへの優先招待、電子ブックによる情報発信で付加価値を高め、総合事業の複合サービス利用を促す。
▽JAいなば 清野香織
「地域貢献と世代間交流を通じた農業協同組合の未来づくり~地域住民レストラン(子ども食堂)~」
誰でも利用でき、地元農産物を使い、地域交流の場所となる子ども食堂を運営することで、次世代とのつながりを作り、組合員や利用者の減少に対応する。
▽JAおおいた 岩田康伸
「准組合員との関係強化へ~農業サポーター制度の導入~」
農業に関心が高い准組合員による地域に根ざした農業振興の応援団「農業サポーター制度」を導入し、JA、正組合員との連携を促進することで正組合員にも迎える。
▽JA山口県 畠中宏剛
「JA山口県による次世代層へのアプローチ~新規事業によりJAと次世代層のつながりを深める~」
次世代層とのつながりを深めるため、新規事業として保育事業に参入する。JAの各事業間の連携により、利用者にJAの総合事業を展開する。
【C班】
▽JA秋田おばこ 真崎雄太
「少子高齢化時代におけるJAの持続可能な運営と人的資源管理~農村インフラとしてのJA機能の見直しと未来への提案~」
職員数の減少による組合員へのサービスを維持するため、農村インフラ機能の整理・合理化と、職員の満足度向上のための仕組みや組織を作る。
▽JA足利 新井秀典
「中途退職者ゼロに向けた職場作り~エンゲージメント向上によるJA足利の未来のために~」
エンゲージメント向上委員会で職員の自己成長を支える環境作り、専門性を重視し職務に沿った目標を設定することで中途退職を抑制する。
▽JAレーク滋賀 廣岡裕美
「"私のJA"を志望する動機となる新たな取り組み」
地域の子どもたちの宿題サポートや歓談、遊びを通した交流を行う「宿題ひろば」を開設することで、将来の就職希望者の増加が期待できる。
▽JA東とくしま 長尾崇弘
「みどりの食料システム戦略と共生する農協にむけて」
スマート農業化、交付金補助金窓口の設立や農作業での外部人材の活用を通じて農家とのつながりを強める。「協創コミュニティ」開催で新しいリーダーも作る。
▽JA宮崎経済連 山田真義
「Aコープ店舗受け取り型セミ宅配事業の構築~JAみやざきグループの将来を担う販売拠点の未来~」
ネットで注文した商品を店舗に商品を取り寄せ、受け取るセミ宅配事業を構築し、買い物弱者対策やAコープ売上高や利益を高め、新規顧客も拡大する。
【D班】
▽JAさがえ西村山 大泉香奈子
「青果物・花き清算通知書のペーパーレスシステム導入による業務効率化と生産者利便性の向上について」
清算通知書のペーパーレス化で経費削減や作業時間の短縮、事務ミス防止につなげる。生産者にとっても利便性向上や生産、販売の可視化などが期待できる。
▽JAたのふじ 樋田裕幸
「金融共催しか知らない私が、農業者の所得増大の方策を考えてみた~つながる意識が未来を変える~」
群馬県の養蚕文化を糸口にインバウンド向けに「まゆ玉」を活用した地域ブランド、県内産農産物の「オールぐんまの鍋」との相乗効果で農業者の所得を増やす。
▽JAしまね 川上理恵
「信用部門における高齢化への対応~組合員・利用者が安心して暮らせる地域社会の実現に向けて~」
「家族信託」の仕組み導入や共済や営農の取引内容をまとめた「よりぞうノート」で組合員、相続などで家族も手助けし、利用継続にもつなげる。
▽JAおちいまばり 河上浩之
「生前の相続相談体制の構築について~相続相談から始まる次世代との関係づくり~」
「相談選任部署」を設置して総合事業の強みを生かした伴走支援を実施し、つながり強化と次世代との関係も構築する。相続での資金流出も防ぐ。
▽JAやつしろ 山下幸信
「そのスキマ JAやつしろが埋めます!~都市と農村を結ぶ懸け橋~」
直販部門を活用して東京のJA直売施設に農産物を直接供給し、新規顧客獲得と八代農産物の認知度を向上する。都市型と農村型のJA連携で農家の経営基盤も安定させる。
【E班】
▽JAいわて花巻 佐々木愛美
「人を結び知識を紡ぐ」
職員同志のつながりを強めるため、知識を補い合う人脈づくりの場の提供や、ウェブ社内報の発行で知識の格差を解消し、自己学習のきっかけにもする。
▽JA東京みらい 木村智崇
「みらいの未来をともにみつめる」
支店の枠を超えた相談(雑談を含む)の専門グループを作り、営農や相続など組合員から相談してもらえる、必要とされるような近い関係を作る。
▽JA鳥取西部 三好利恵
「だれもが集う場所をめざして~利用しやすいJAをめざして~」
SNSでJAの「映え」を発信して若い人に関心を持ってもらい、職員間の連携で離職者の減少にもつなげる。直売所の「食農体験型施設」でJAの存在価値もアピールする。
▽JA福山市 前堀光弘
「Next 70th~魅力ある協同組合を目指して~」
次の10年に向けた若年層職員のプロジェクトを作り、農畜産物のPRなど未来図を描く。ビジネスコンテストや企業や行政などと連携してUIターンにも生かす。
重要な記事
最新の記事
-
米 推計19万tが分散して在庫 農水省調査2025年3月31日
-
【人事異動】農水省(4月1日付)2025年3月31日
-
【注意報】さとうきびにメイチュウ類西表島、小浜島で多発のおそれ 沖縄県2025年3月31日
-
【注意報】かんきつ、びわ、落葉果樹に果樹カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 静岡県2025年3月31日
-
農業は恰好いいと示したい トラクターデモに立った農家の声 「令和の百姓一揆」2025年3月31日
-
4月の野菜生育状況と価格見通し 果菜類、ほうれんそう、レタスなどは平年並みへ 農水省2025年3月31日
-
農林中金 総額6428億円の増資を実施2025年3月31日
-
25年産米「概算金のベース」 あきたこまち60キロ2万4000円 全農あきたが情報共有2025年3月31日
-
「農山漁村」インパクト可視化ガイダンスなど公表 農水省2025年3月31日
-
北アルプスの水と大地が育む米「風さやか」使用 ツルツル食感の米粉麺はスープも含めグルテンフリー JA大北2025年3月31日
-
特産の小松菜をバームクーヘンに 試食した市長も太鼓判 JAちば東葛2025年3月31日
-
三鷹キウイワイン 市内のキウイ使った特産品 JA東京むさし2025年3月31日
-
地域の営農継続へ JA全国相続相談・資産支援協議会を設置 JA全中2025年3月31日
-
中央支所担い手・若手農業者研修会を開く JA鶴岡2025年3月31日
-
全国の農家へ感謝と応援 CM「Voice」フルバージョン配信開始 JA全農2025年3月31日
-
セメント工場排ガスから分離・回収した二酸化炭素の施設園芸用途 利用へ取組開始 JA全農2025年3月31日
-
カナダで開催の世界男子カーリング選手権 日本代表チームの食事をサポート JA全農2025年3月31日
-
JA鶴岡「もんとあ~る」dポイント加盟店に 4月1日からサービス開始2025年3月31日
-
JA全中「健康経営優良法人2025」に認定2025年3月31日
-
「佐賀牛 生誕40周年記念キャンペーン」開催中 数量限定40%OFF JAタウン2025年3月31日