JAの活動:ヒント&ピント ~JAの広報誌から~
特集はテーマ明確に2016年8月2日
広報誌における特集は、テーマの選択と掲載のタイミングがポイントである。いくらよいテーマ・内容であっても「夏炉冬扇」であっては紙が無駄になるだけである。TPPのような政治的課題は、そのときの山場を迎えるとき、農作業であればその季節に合わせて、タイミングよく取り上げなければならない。7月号は多くのJAが定期総会(総代会)を特集しているなかで、目立った広報誌の「特集」をひろった。
◆農水本省で座談会【 JAとぴあ浜松】
静岡県のJAとぴあ浜松の「とぴあ」7月号の特集は「これからの農業振興と人材の確保」。経営規模拡大のネックになっている労働力をどう確保するかという問題意識だが、どこに出しても恥ずかしくないテーマであり、全32ページ中の8ページを割き、内容もそれに応えている。まず、登場人物が申し分ない。
メインは座談会で、農水省の担当部署である生産局技術普及課の課長補佐、係長など3人と、地元浜松市、JAの担当者の2人が出席。それにJAの理事長のコメント、さらにキャベツ研究会の会長、援農隊員の女性、地元の高校生、やはり地元の高校の教師、人を雇用して経営している生産者、社会保険労務士が登場。これ以上の人選は考えられないほど多様。従って内容も豊富で多岐にわたる。
座談会は東京に出張し、霞ヶ関の農水省本省で行った。「いろんな分野の人を集めたのでアポとりが大変だった」と同JA広報課の担当者。同課は課長を含め5人の陣容。30ページ余の広報誌を毎月4万3000部発行している。
◆組合員の声を調査【 JAいわて花巻】
JA改革を実践するには、組合員が何を望んでいるかを知ることが第一。このため組合員アンケートを行い、特集で紹介する広報誌が目につくようになった。JAいわて花巻の「ぽらーの花巻」7月号は、組合員意向調査を紹介している。
対象は全正組合員1万9493戸で1万1475戸が回答。回収率は58.9%で、悉皆調査として申し分のない数字と考えてよいだろう。内容をみると結構深刻な傾向が伺える。「JAに対する印象」では、42%が「疎遠」「あまり利用しない」と回答している。農村地帯で協同活動も活発な同JAにおいてもや、である。また回答者の年齢は60歳以上が73%だった。これをどう分析したらいいのだろうか。
一方、「期待するJA事業」では、トップが信用で、共済、産直、人間ドックと続く。「JAの運営に期待すること」は、「農業振興」「資材の引き下げ」でほぼ並んでいる。これらをどうみるか。興味のあるところだが、できれば、大学の先生等に分析を依頼し、紙面に添えてほしい。メインタイトルの「活力あるJAいわて花巻を創る」ためにも。
◆トップの主張知る【 JA大潟村】
1回前の号になるが、秋田県のJA大潟村の「Ogata」6月号の特集は「小泉進次郎議員への提言」である。今年の4月に小泉氏が「地方キャラバン」として大潟村を訪れ、村内の関係者と懇談した。その際に小林肇組合長が、現在の農業が抱える問題等について、自民党農林部会長の小泉氏に提言集を提出した。この内容を全文掲載している。
内容はジェネリック農薬の利用、単協プロパー資金の活用、米の先物市場の利用、米輸出の拡大など多岐にわたっているが、小泉氏が農林部会で発言した内容は、おおむねこの提言に入っている。JAあるいは組合長が考えていることを知ってもらうための広報誌活用の好事例といえる。
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