JAの活動:新世紀JA研究会 課題別セミナー
【総合JAビジョン確立のための危機突破・課題別セミナー○意見交換○】公認会計士と会話を 准組合員の議論必要(上)2016年11月15日
課題別セミナーは、各報告をもとに意見交換を行った。課題ごとに要点をまとめた。公認会計士監査、准組合員の位置づけなど、討議は多岐にわたったが、おもな内容について要点を紹介する。
【公認会計士監査】 ――JAの公認会計士監査は、非営利法人たる協同組合監査という観点が必要と思われますが、この点をどのように考えればよいのでしょうか。
▽公認会計士監査は、もともとヨーロッパの上場企業対象の監査方法であって、国によって監督主体も違います。営利・非営利法人の監査について同じ基準で監査するのか議論のあるところです。日本の場合、営利・非営利という区別はありません。非営利法人や医療法人等の監査についてどうするのか、検討して行く必要があります。
▽非営利法人の監査基準について、どのような議論になるか分かりませんが、もともと協同組合は、株式会社と違う制度設計のもとに運営されている組織という基本認識が必要です。「規制改革会議」での議論は、協同組合は非効率で遅れた組織という認識のようですがそれは間違っています。
――上部団体からのキーコントロールの提示などについて、どう対処すれば良いのでしょうか。
▽公認会計士監査はこういうところを見るのだということを、公認会計士との対話で理解する必要があります。農林中金からの指導があると思いますが、「たぶんこの辺を、このように見る」という会話・コミュニケーションが重要になります。
▽中央会の指導監査はもともと大正時代、組合が損失を先送りしていた事実を明らかにして金融を立て直しました。そこから指導監査が生まれました。経営の本質的なところを直すのが指導監査の役割であり、戦後の中央会監査も同じ役割を果たしてきました。
▽金融庁は農林中金の株式会社化は考えていないようです。これを受けて、農水省は信用事業分離を、事業譲渡一本で考えています。公認会計士監査の趣旨に合わないJAは、信用事業譲渡をせざるを得なくなるように追い込まれることになります。
▽減損会計をどこまで厳密に考えればよいのでしょうか。経済事業の農業施設や介護施設は、組合員の共用資産です。固定資産の減価や赤字で損失処理が必要となると、経営が成り立ちません。非営利法人の監査という観点が必要ではないでしょうか。
【准組合員の位置づけ】
――准組合員について、セミナーでJA全中の奥野会長から所見が述べられましたが、JAは准組合員のことを、本当のところどのように考えているのでしょうか。
▽JAには、昔から准組合員について、発言権を与えると庇を貸して母屋を取られるという保守的な意見が強くあります。准組合員の問題は准組合員がJAをどのように見ているかではなく、正組合員にとって准組合員はどのような存在なのか、つまり准組合員の問題は、正組合員の問題であることの認識が重要です。
▽准組合員の共益権については、これまでタブー視されてきました。例えば共益権のうち、准組合員に制限付きの議決権、つまり正組合員の権利を侵さない範囲での議決権の行使(意思反映のための議決権の行使)は農協法の改正を必要とせず、定款の改正で可能なのですが、こうしたことは議論されてきませんでした。このような准組合員排除の考え方は、JAも農水省と同じです。
▽いずれにしても今後に予定される准組合員の事業利用規制問題はJAにとって死活問題ですが、打つ手がないのが現実ではないでしょうか。この問題は全国で受け止め方に温度差がありますが、とくに都市化地帯のJAにとって深刻です。
▽事業利益は最低でもプラスでないといけないという指摘がありますが、事業利益が赤字でも、最終的に利益がでればいいのではないか。営業努力は必要ですが信用・共済の収益がなければ経済事業はやっていけません。総合農協としての経営が不可欠です。事業利益が2年連続赤字なのはだめだというが、それはおかしい。問題は何をやっているかの中身の検討が必要ではないでしょうか。当JAの場合は、頭から事業利益が赤字だったらだめという言い方は控えて問題を分析しました。
当JAでは5億5000万円の営農支援資金を設けましたが、事業利益が赤字であると、事務方はこれを切ろうとするが、それはやってはいけません。経常利益がプラスであれば出資配当、利用高配当も可能で税金も払えます。奥原次官(農水省事務次官)に聞いたところ、事業外利益は恒常的にあるのかということでした。賃借料などで手当てが可能と答えたら、あえて反対とは言われませんでした。事業利益でプラスは重要だが、例えば1億円のマイナスの計画を立てた場合、それはそれでいいのではないか。瀬戸際に立っても、農家支援・地域振興に全力をあげたいと思います。
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