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JAの活動:新世紀JA研究会 課題別セミナー

准組問題は正組合員の意識が鍵:JA京都にのくに2017年2月14日

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総合JAビジョン確立のための危機突破・課題別セミナー新世紀JA研究会(第9回)
准組合員から総代
利用者から運営参画者に

 准組合員問題の核心は、正組合員が准組合員をどのように考えているかということです。JAのパートナーとされていますが、本当のところ正組合員は准組合員をどのように考えているのでしょうか。正組合員が農業振興のために准組合員とともに歩むという意識に立つことこそ、この問題解決の出発点のように思えます。そうした意味で、明田作氏が唱える准組合員への限定的な議決権の付与には、こうした問題への整理・意識改革が必要です。今回の紙上セミナーは、准組合員を総代にすることで准組合員の運営参画を促しているJA京都にのくにの迫沼満壽・代表理事専務の報告と合わせ、准組合員の問題を考えてみます。

准組合員総代をパートナーに 京都府のJA京都にのくにでは、今回の農協改革が議論される以前から、組合員構造が変化し右肩下がりに減少するJA事業をいかに伸長に繋げるかをテーマに、平成24年から食と農を基軸とした"地域になくてはならないJAづくり"をめざして自己改革に取り組んできました。その答えのひとつが第27回JA全国大会で掲げた組合員のアクティブメンバーシップによる関係強化であり、これが、この難局を乗り越える方策ではないかと考えたからです。
 今回のテーマである准組合員の事業利用規制が取りざたされる中で、原点に立ち返り、協同組合としてのJAの価値を正組合員はもちろんのこと、准組合員、地域住民へと広げることが重要だと考えています。有識者の方々に議論いただきJAグループとしての対策を講じていただくことに期待をしています。
 1JAとしては私たちの組合員、准組合員、地域住民からの支持を得られるJAづくりこそが、准組合員事業利用規制のみならず、あらゆる改革の波を跳ね返す原動力になると考えています。そこで、当JAの准組合員も含めた組合員メンバーシップ強化の取り組みについて、事例報告させていただきます。

◆多彩な運営参画による組織基盤の強化

迫沼 満壽専務 協同組合の基本は、構成員である組合員の声をいかに運営に反映させるかだと考えています。従来は、地域枠で総代を選出していましたが、多様化する組合員ニーズを汲み取るためには、さまざまな組織の代表から構成される総代会にすべきであると考えています。そこで、当JAでは地域選出の他に女性枠、生産者部会枠、青壮年部枠を新たに設け、さまざまな組織の代表から意見を汲み上げることで、JA運営に反映させています。これこそが、協同組合の原点ではないかと思います。

◆協同活動の実践と組合員学習の必要性

 協同組合の運営参画とは、組合員がJA協同活動に参加しJA事業の利用を通じて自分達の願いや意見・要望をJA運営に反映させることです。そして、JAも組合員・役職員が「協働行動」で一緒になって実現していく、その繰り返しが基本であると考えています。
 総代が選出される地域や組織において、協同組合理念を共有した活動を実践することで、そこから生まれるニーズをJAに繋げることが大切です。そして、その地域・組織を牽引するリーダーを育成するために、多様な組合員学習の場づくりをしています。

◆JA・正組合員と准組合員との関わり

准組問題は正組合員の意識が鍵:JA京都にのくに准組問題は正組合員の意識が鍵:JA京都にのくに

 当JAでも准組合員比率が徐々に上がっています。全国では50%を超えていますが、当JAでは40%を超えたぐらいです。正・准組合員に実施したアンケートでは、正組合員が准組合員に対して、(1)総合的な事業利用、(2)事業の利用量拡大、(3)農業振興への理解、(4)JAへの理解、(5)JA活動への参加など准組合員に対する期待が大きい一方で、准組合員もJAに対する期待が大きいという結果となっています。(グラフ参照)准組合員をいかに食と農の応援者として、かつJA運動の「パートナー」として位置付けることが何よりも大切であると思います。

◆准組合員総代制度が果たす役割

 JAグループ京都では、平成27年4月に准組合員総代制度を設けました。准組合員の代表としてJA運営に対して意見や要望を出していただき、JA運動にも積極的に参加していただくものです。当JAでも制度として准組合員総代を設置しましたが、真の運営参画がなければ意味がないと考えています。
 そのため、当JAでは准組合員総代に対して、毎年研修会を実施し、JA・農業に対する理解を深め、正組合員とともに真の運営参画をめざしています。議決権の有無にとらわれるのでなく、准組合員が単なる利用者としてではなく、運営参画者のひとりとして事業運営への意思反映の意識をもっていただくことが重要であると考えます。

◆支店を拠点にした協同活動

 JAが地域に根ざした組織として、正・准組合員、地域住民から支持されることが何よりも大切であると考えます。当JAでは、地区選出非常勤理事が委員長となって、総代・准組合員総代、各組織の代表者からなる支店活動活性化委員会を各支店に設置し、地域の課題やニーズを踏まえて、組合員が主体となった協同活動を企画・実践しています。この活動こそが、協同組合の原点ではないかと考えています。

◆跳ね返し乗り越える原動力 

 終わりに、この農協改革、規制・制度改革をはじめJAを取り巻く環境変化に対して、跳ね返し乗り越えられる力となるのは組合員の組織力であり結集力です。我々は協同組合の一員として、協同組合理念をしっかりと共有し、正・准組合員、地域住民とともに協同活動を展開することで、その存在価値を高め、社会への認知度をあげることこそが、重要ではないかと考えます。
 そして、協同組合理念に基づいてJA職員も運動者としての役割を果たし、組合員をリードし共に願いを実現することで生まれる達成感が職員の働き甲斐にもつながり人間力や社会性を高めるのではないでしょうか。当JAでは、今後も引き続きくらしの活動を基軸とした戦略をベースにこの難局に立ち向かって行きたいと考えています。
(アンケートについて)
◆実施時期/平成27年3月 ◆実施方法/無作為に抽出した組合員にアンケート用紙を郵送により依頼・回収 ◆対象者数/2,000人(正組合員1,400人、准組合員600人)◆有効回収/993人(正組合員768人、准組合員225人) 回収率49.6%
(写真)准組合員総代をパートナーに、迫沼 満壽専務

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