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JAの活動:今村奈良臣のいまJAに望むこと

第7回 農業の6次産業化(2)2017年3月25日

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今村奈良臣・東京大学名誉教授

<先進事例の紹介ーその活動のなかから何を学ぶべきかー>

今村奈良臣 東京大学名誉教授 私が「農業の6次産業化」という理論を発見した大分大山町農協ならびに「木の花ガルテン」は近年いかなる活動をしているか、その目覚ましい最近の活動の要点を紹介して、参考に供したいと思う。
 大分大山町農協は、平成28年度末で、正組合員数は僅かに578人、准組合員数は276人、さらに職員数は65人という、創立以来合併していない小さな農協だが、矢羽田正豪組合長以下役職員、組合員一体となってすばらしい業績を収め、28年度末の実績は別表の通りである。

<先進事例の紹介ーその活動のなかから何を学ぶべきかー>

 そこで、いくつか大分大山町農協の活動の目を見張る点のみ紹介しておきたい。
 第1は、農産物直売所「木の花ガルテン」は、大分大山町の本店のみではなく、福岡市(県)に3店、大分市に4店、別府市に1店というように主要消費都市に合計10店舗の支店を展開している。毎朝8時に本店に保冷車が並び積み込みを終えて高速道を福岡へ、大分へと飛び出している。消費者が10時開店を待っている直売所へ向かうためだ。
 第2は、本店はもちろん、福岡、大分の支店にも「食の提案型のバイキング」形式の「農家レストラン・農家のおもてなし料理・百のご馳走」というレストランがある。これは「シェフ」を雇うのではなく農家の「シュフ(主婦)」が旬の農産物や山菜を多彩に活かし地域に伝わる農村の伝統料理を提供しているのである。いつも満員の盛況のようだ。
 第3は、きのこ栽培から出る膨大なおがくずを活用して、農協堆肥工場で250種にわたる有効微生物群を添加した有機堆肥「オネスト250」を生産し、年間1500tをすべての田畑に散布している。農協の役職員、組合員農家が一緒になって「堆肥散布ローラー作戦」という土づくりを実践している。
 第4に、大分大山町に隣接する山林27haに「五馬媛(いずまひめ)の里」というテーマ・パークを平成27年春に開園している。もともと荒れ果てていた山林を農協役職員の労力で整備し、全国から、梅、桜、花桃、ツバキ、アジサイ、ツツジなど450種3万5000本にわたる花樹類を集めて植え、1年中にわたって楽しめる農村の原風景を創り出し、散策だけでなく、シイタケのもぎとり、芋掘りなども行わせ、また隣接する水田では、多種にわたり早中晩を組み合わせたイネも作付し、都市の皆さんに田植から収穫にいたる労働や餅つき体験など、多彩な里山散策を通した新しい時代にふさわしいグリーン・ツーリズム、都市・農村交流の拠点を作っている。
 なお、「五馬媛」とは「豊後風土記」に出てくる美人の神様からいただいたということだった。
 第5に、4年に1度開かれる梅干しの祭典「全国梅干しコンクール」を主催している。昨年で第7回になるので、実に28年の歴史がある。47都道府県から5000種を超える梅干しが集まり、厳重な審査を重ねて梅干し日本一を含め多彩な表彰が行われてきた。実は私はこのコンクールの審査員をかねてよりつとめさせられてきたが、梅干しを5000点以上も審査、選抜するのは多大な努力を必要とする。もう、高齢だからと辞退してきたが、認めてもらえず、昨年も審査員をつとめたが、2日程寝込んでしまった。しかし、このコンクールはすばらしいもので是非とも続けてもらいたいと思っている。
 以上、大分大山町農協ならびに「木の花ガルテン」の最近の活動の一端を紹介してきましたが、どうか、全国各地の農協もこの大分大山町農協の活動をひとつの指針として頑張ってもらいたいと念願する。

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