JAの活動:新世紀JA研究会 課題別セミナー
仕入れ機能の強化を 農機リースで担い手支援【JA水戸常務・岡崎一美氏】2017年4月5日
平成5年8月に7JAが広域合併して誕生したJA水戸は、東京都心から100キロの茨城県中央部に位置し、県都の水戸市を中心に大洗町、茨城町、城里町の1市3町が管内で、組合員数は2万3321人です。経営理念には「貢献」「絆」「信頼」をかかげ、地域農業の振興、豊かな地域社会づくりを通して組合員・地域の皆様に「一番」に愛され、信頼される組織作りを目指しています。
農業面では、水戸市が標高30m前後の位置に市街地が広がる一方で、農業が盛んであり、穀倉地帯は水戸市、茨城町が中心で、城里町の中山間地帯や茨城町の畑作地帯と多様な農業が営まれています。販売事業における青果物は「少量多品目」が特徴でメロン、イチゴ、水菜、バレイショ、小松菜、トマト、カンショ等があり、米はコシヒカリが最も多く栽培されています。
事業としては、JAが県庁所在地にあるため、非農家の利用者も多く都市型JAの一面もあり、信用・共済事業の取り扱いが多く、また郊外には農家も多数あり、販売・購買事業の一層の向上が求められています。
当JAの農機センター事業は、経済部施設課のもとに地区ごとに4センターがあり、職員23人の体制で組合員・利用者へ迅速な対応を心掛け、春・秋の繁忙期には土・日・祝日も対応しています。運営の基本的な考え方は、職員個人個人のレベルアップを図りながら、自ら策定した年間計画を把握し、PDCAサイクルに基づく事業管理を行い、高度なアフターサービスの展開と出向く体制の構築、高い情報提供力を発信し、顧客満足度をあげて新規顧客拡大を図っていくことです。
また、他団体等との事業連携として水戸市農業公社・茨城町農業公社では、農作業の受託、農業機械リース事業、新規就農者受け入れ、WCS(稲発酵飼料)の取り扱いもしています。
WCSは、水戸市(平成14年度~)・茨城町(28年度~)・大洗町(13年度~)から取り組んでいます。
子会社のJA水戸アグリサポートとの連携では、共同利用施設の利用率向上および維持管理に向けた取り組みや畑地における機械化一貫体系、および輪作体系の確立に向けた取り組み、水稲刈り取りの作業などの受託を行っています。また新たな取り組みで、農地情報システム(GIS)を活用した契約栽培等の提案や部会等の組織化を目標としています。
その他、職員の育成・スキルアップによる事業基盤の強化として、農協職員が有すべき免許・資格等を計画的に取得し、コンプライアンスを向上させたセンター内の統治力強化を図ります。
規模拡大等による事業展開として、平成27年度に第1回、28年度に第2回の農機具等リース応援事業(アグリシードリース事業)を始めました。28年度からは、WCS関係農機具等・甘藷掘り取り機・アシストスーツに関する補助事業に取り組んでいます。
レンタル・リース事業については、乗用田植機のレンタル、また水戸市農業公社との連携で地域農業の担い手となる農業者や農作業受託組織等が、農作業の効率化や規模拡大を目指せるよう、大型農業機械をリースし、経営体の育成を支援しています。具体的には、農作業の負担軽減を図るためアシストスーツの利用希望者を対象にJA水戸内に組織を作り、体験会など開き、広く組合員に周知推進をしています。
また、密苗の推進を管内の2地区でほ場を使い、組合員向けに実演会を実施しました。全農県本部の農機課が管内にあり、大型整備工場・関東広域部品センターが同敷地内に隣接していることから、緊急時の修理や農閑期の格納整備依頼等に対し迅速な対応ができています。
全農県本部では、経営資源の効率的活用、重複機能の排除、マネジメントの一元化で事業競争力を強化し、組合員にメリット還元することを目的にJAと全農県本部との一体的運営としてマシーネ事業があります。メリットは、一体的運営システム利用による事務の低減。デメリットは、本来JAで使用できた情報が入りにくいことなどがあげられます。
今後、JA農機事業については、生産農家の減少、担い手への集積、大型高性能化する農機・ICT活用の農機対応などの背景を踏まえ、農機事業の体制強化策を進めることも重要です。また、生産資材のコスト低減の取り組みとして機械のメンテナンス研修会、低価格モデル農機の普及、中古農機の取扱い強化などを推進しなければなりません。
全農農機事業についての要望は、組織力を活かした仕入機能強化、新技術の導入提案、野菜作農家に向け対応の充実による機械化の促進提案、レンタル農機・リース導入の取り組み、中古農機について県域を越えた情報の共有化を要望します。
(写真)JA水戸常務・岡崎一美氏
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