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【肥料】銘柄を集約し交渉力 JA全農肥料農薬部部長・天野 徹夫氏2017年4月13日

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協同の組織守り自主改革「活力創造プラン」に係る全農の対応
【農薬】ジェネリックを普及

◆はじめに

JA全農肥料農薬部部長・天野 徹夫氏 今回、「活力創造プラン」に係る全農の対応を申し上げますが、全農としては、すでに今次中期3か年計画の2年目の取り組みを進めており、その都度新しい取り組みを行ってきています。しかしながら、こうした取り組みは、ともすると全農の独りよがりなものとなっており、JAの皆さん方に伝わらず、JAグループ全体のものとなっていないことを痛感し、かつ懸念しています。
 例えば、後に申し上げますが、農薬について従来の10a―1kg規格から1ha―10kg、さらには平成26年度からは5ha―50kg規格の取り扱いを始め、これによって25~30%の価格引き下げに取り組んでいますが、全青協(全国農協青年組織協議会)のアンケートよれば、こうした内容を知っている人は20%強にしか過ぎませんでした。
 これでは、せっかくの提案も実を結ぶことはできません。これから申し上げる内容について、皆様のご理解をいただき、ぜひともJAグループ全体で問題を共有し、取り組んでいただきたいと思います。

◆肥料事業について

1.流通
 世界の肥料消費量は増えていますが、日本では年々減少し、シェアは0.6%程度です。肥料原料の大宗は海外に依存しており、生産者の7割がJAを利用し、JAの8割が連合会を利用しています。

2.全農の展開方向
(1)肥料原料の安定確保
 肥料原料の海外山元との長期にわたる関係を構築し、必要な投資を行うことで安定調達をはかります。また、国内で調達できる大粒硫安(窒素)については、最大手メーカーの増産(6万t)を促す投資を行います。
(2)施肥コスト抑制運動の推進
1.施肥量の低減
 1970年代から行ってきている「土づくり運動」を展開して行きます。「土づくり運動」によって、系統の化成複合肥料の取扱数量は年間約30万t(約30%)減少し、農家の肥料代は約300億円(約7.5%)節約できています。
2.肥料価格の低減
 日本の土壌はリン酸・カリが過剰となっており、余分なリン酸・カリ成分を低減した肥料「PKセーブ」の開発・推進に加え、2013年から鶏糞燃焼灰など国内地域資源を活用した「PKセーブエコ」を開発・推進しています(既存品に比べ約3割安)。また農水省に規制緩和を要請し、2013年から堆肥を無機肥料に混合した「エコレット」の開発・普及を行っています(同約3割安)。
3.省力化の取り組み
 追肥が必要のない「基肥一発型肥料」の推進(普及率役30%)、苗箱に播種と同時に施肥する「苗箱まかせ」、元肥と追肥を灌漑水とともに同時に施肥する「流し込み施肥法」(施肥に係る10a当たりの労働時間8割減少)などを推進し、省力化に努めます。
(3)肥料価格低減に向けた新たな取り組みとして、1.一定規模の銘柄に集約した競争力のあるメーカーからの集中購買、2.系統BB肥料の広域ブロック供給体制の確立、3.国内地域資源を活用した肥料の普及・拡大、4.インド産ひまし油粕の取り扱い拡大に取り組みます。

3.全農が取り組む最重点取り組み事項
〈国産化成肥料の大胆な銘柄集約、集中生産・集中購買による価格引き下げ〉
 これまで、化成肥料の普及で、施肥回数・労働時間が大幅に削減されてきましたが、一方で化成肥料の製造・需要量の減少と銘柄数の増加によってコスト高に陥っています。そこで、全国の生産者から積み上げた実オーダーをもとに、相見積もり・入札等により徹底比較し、最も有利なメーカー工場から一括仕入れを行い、価格の引き下げに全力をあげます。
 このため、まずは高度化成一般銘柄を集約し、1.集約した銘柄を大量生産することにより製造コストを最大限削減します。2.そのために、30年春肥注文書の変更(銘柄の集約)をお願いします。
 次に予約の積み上げで、1.29年度は、一般高度化成について、JAから全農に最大限の予約積み上げをお願いします。2.全農は、この数量を背景にメーカー同士を競わせることで、一番安い条件(価格と配送範囲)を引き出します。3.集約した銘柄の専用注文書を作成するなど、工夫ある取り組みをお願いします。
4.未利用・低利用の法人等には、JAとともに全農も積極的に推進します。5.30年度以降は、生産者の実需を全農に積み上げ運動を本格的に開始します。6.その運動を円滑に進めるため、WEB受注システムを29年度中に整備します。

◆農薬事業について

1.寡占化
 農薬は他の生産資材とは違った特徴を持っています。開発に高い技術力と資金力(1成分あたり100~200億円の開発費)が必要であり、獲得した特許によって製造・販売を独占できます。このため、先進国を拠点とする大手メーカー6社(ビッグシックス)への寡占が進んでいます。ビッグシックス以外で開発の能力があるのは日本のメーカーしかありません。
 世界の農薬需要は途上国を中心に高まってきていますが、日本のシェアは年々減少し、今では5~6%程度となっています。日本の農薬出荷額は約3600億円で、生産者の約6割がJAを利用し、JAの約7割が連合会を利用しています。

2.全農の展開方向
 (1)ジェネリック農薬への取り組み
 日本は、安価なジェネリック(特許切れ)農薬の普及率が5%(海外は30%程度)と低い状況にあります。全農は価格大幅引き下げの起爆剤となる「ジェネリック農薬」の普及に向け、開発を進めていきます。現在、日本のジェネリック農薬の4剤のうち2剤を販売し、先行剤に比べて15%程度の価格引き下げを実現していますが、引き続き、安価な開発ができるよう国に制度変更を求めていきます(28年夏から要望開始)。
 (2)大型規格・担い手直送規格の普及
 1.生産コスト低減・農家手取り最大化の取り組みを支援するため、基準規格に比べて約5~10%割安な「大型規格」や約25~30%割安な「担い手直送規格」の一層の普及拡大を目指します。
 ア、大型規格=19年度から取り組みを開始し、27年度は全農売上高の14%(約220品目)の普及率。
 イ、担い手直送規格=26年度から取り組みを開始し、27年度は5500haの普及となった。大型農家や農業法人から高い評価を得ている。
 2.農薬価格のさらなる低減を目指し、園芸分野での大型規格の品揃えの充実に取り組みます。

このページ「紙上セミナー」は新世紀JA研究会の責任で編集しています。

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