JAの活動:新世紀JA研究会 課題別セミナー
県間競争排しブロックで【JAみどりの代表理事専務 阿部 雅良氏】2017年4月28日
JAみどりのは、平成8年3月に6地域の10JAが合併し21年目になります。正組合員数は1万2723人、准組合員数は3634人、役員数32人、職員数418人、9店舗6営農センターで事業を行っています。
主要事業については、出資金29億円、貯金残高1016億円、貸出金247億円、共済保有高4997億円、購買品供給高54億円、販売品販売高110億円となっています。正組合員数は合併当初の平成8年から20年間で4900人ほどの減少です。
合併当初に比べ、貯金は330億円の増加だが、共済保有高は2600億円も減少しており、貸出金も減少傾向にあります。購買品供給高も畜産の飼料などの減少で51億円の減少、販売品販売高も104億円の減少になりました。米穀の販売高は合併当初159億円あったが、20年間で59億円となり100億円の減少です。
◆農家・法人絞り支援 水田営農の状況について、平成26年と28年を比較すると水田面積で1万2550haと、3年間で大きな変化はないが、主食用水稲作付面積は630ha減少しています。備蓄米は90haの減少。一方で、飼料用米は580haも増えています。
平成28年で小麦702ha、大豆1564ha、飼料作物655ha作付けしています。単純に水稲作付面積と基準単収をかけたJAみどりの管内の米の生産量から米の集荷率を見ると63%くらいとなります。
平成28年の集荷量をみると、飼料用米6113t、小麦3404t、大豆2834tになっており、米の品種割合では「ひとめぼれ」が80%を占めます。他には「つや姫」「まなむすめ」「ササニシキ」が作付けされており、特別栽培米は40%の作付けとなっています。
平成28~30年の第7次中期計画では、特に米穀について、農家の経営力を強化するため個別対応を核とした営農指導体制へ移行を進めています。作付面積20ha以上の28件の個人経営者、作付面積50ha以上の農業生産法人・営農組合43件を絞り、徹底的に伸ばしていく方針です。
その中で、強い生産組織を育成するためにも、B銘柄米(まなむすめ等)を全量生産者から買取精算しています。平成28年産の買取販売実績は、「まなむすめ」で1200tの集荷量でした。
買い取りを始めた大きな要素は、米を安定的に供給することへの不安があります。米卸業界では平成28年産米の計画段階での飼料用米作付け動向に注視しており、27年産同様の生産調整が全国的に進むとの見方が強く、主食用米の不足感が出始めていました。特に外食、中食業界の国産米の嗜好が進む中にあって、飼料用米による過度な生産調整の取り組みに懸念を抱く卸も出ており、適正な生産調整を行うよう強く要望を受けていました。さらに、JAとしては特に実需と結び付きのある米を安定的に供給することが、米の主産地としての責務であると認識しています。
平成29年産米でのB銘柄(まなむすめ)への作付誘導を見越して、28年産米から新たにJAの概算金ではなく、買取価格を示し、買い取りをスタートさせました。28年産の買取販売のメリットは、価格変動リスクの解消とともに、秋には生産者手取りが確定し、商系集荷業者に対抗する価格設定が一定程度可能となります。デメリットとしては、結果として共同計算扱いの生産者手取りが高くなる場合もありえることです。
付加価値型農畜産物の生産、技術力の向上として、環境保全米の食味データによって、「環境プレミアムひとめぼれ」を区分集荷し、直売しています。買い取りの対象は、農地所有適格法人が多くを占めており、その中で、法人組織への生産資材等のコスト低減を進めている。
さらに、JAみどりの農業法人連絡協議会を立ち上げ、各法人をパートナーとして位置づけ、加入を勧めています。また、営農指導員のスキルアップを目指し、「10UP行動」として、研修を充実させたい。
◆単協は系統農協の本店
全農への要望は、県本部をなくし、全農東北本部としてブロック化することはできないでしょうか。米の販売も各県の「新之助」「青天の霹靂(へきれき)」「だて正夢」など、フラッグシップ(旗艦)米での県間競争ではなく、ターゲットを絞り、全国の消費者や実需者から、長く愛され続ける米の産地を作っていければと考えます。
また、元全中常務で、日本有機農業研究会を設立した一楽照雄さんの「系統農協の本店は組合である。連合会は支店である。全国連はせいぜい出張所にすぎない」という言葉を肝に銘じ、JA改革の方向性は地域組合が主体であり、全農は組合長だけを見るのではなく、組合員を巻き込んだ改革に本気で取り組むべきだと考えています。
(写真)稲作の大型化の拠点となるCE
このページ「紙上セミナー」は新世紀JA研究会の責任で編集しています。
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