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【覚醒】支援を名目に"強要"2017年6月1日

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信用事業譲渡

 農林中央金庫は、平成29年3月15日に「JAバンク基本方針等見直しの検討方向について~経営基盤確立等に向けた枠組み整備等~」をまとめ、組織討議に入っています。
 具体的には、「29年度上期中を目途に代理店スキーム(手数料水準を含む)の全JAへの説明を完了させる。各JAの信用事業運営体制のあり方検討(代理店の検討を含む)は、規制改革推進会議が5年間の農協改革集中推進期間としている平成31年5月までに結論を得る(組織として検討決定した形をとる)運びとしたい」としています。
 28年3月のJAバンク基本方針の改定では、「JAが組織再編を行う場合、合併による取り組みが基本となることに変わりはないが、JAが営農経済事業に注力するため自ら希望して信連または農林中金への信用事業譲渡(代理店化を含む)を行う場合等について円滑な信用事業譲渡の実現を後押しするために必要な支援措置を設ける」としていましたが、今回の検討方向は、その内容とは一歩も二歩も踏み込んだものとなっています。
 それは、あくまで「総合事業経営の継続を前提としながらも、金融機関水準の高度な内部管理態勢を総合事業体として確保する必要があるので、自前での内部管理態勢の確保が困難な場合は組織再編(合併)を推進し、合併がどうしてもできない場合、事業譲渡スキームの活用を検討する」としているからです。
 また、金融機関による他の金融機関への出資を意味するダブルギアリング規制(単位JAが都道府県信連に出資する)があります。金融庁は平成24年6月に国際統一基準行を対象としてバーゼルⅢに関する公表をしていますが、平成25年3月から段階的に経過措置が取られているため注意する必要があります。
 まさに政府から強要された、あの手この手の事業譲渡への政策誘導であり、これでは、いずれ経営状況から合併を必要としない都市JAや中山間地の農業不利地帯のJAから順次事業譲渡をせざるを得ない状況に追い込まれることは必至な環境が整いつつあります。JAにとって信用事業譲渡は、JAからの信用事業分離を意味し、そもそも、今後の信用事業運営の選択肢になるものではありません。
 事業譲渡は、平成14年6月のJAバンク法制定の時に入れられた規定です。JAバンク構想はJA信用事業を全国一つの金融機関とみなす考えであり、それを実体として実現する方法が事業譲渡という手法でした。JA全中をはじめJAグループは、バンク法制定時から組織再編の手段としてこの方法を使うべきではないということをきっぱりと意思表示をすべきでしたが、その取り組みは不十分なものであり、26年6月の「規制改革実施計画」で組織再編の手法としての事業譲渡の提案を許すことになりました。
 今回の組織討議の提案に基づいて、それぞれのJAで検討が行われることになりますが、予想される代理店手数料では経営がますます悪化する、JAの信用事業が協同組合ではなくなるなどの意見が噴出し、事業譲渡を選択するJAはほとんどないことが予想されます。
 検討を始めれば、JAの経営収支に及ぼす影響や、貯金が集まらない、思うような農業投資ができなくなるなど、JA信用事業・経営ひいてはJAの事業・経営全体に深刻な影響が及ぶことが明らかになるからです。
 問題はその先です。規制改革推進会議の考え方は、平成28年11月の農業ワーキンググループの提言通り、3年後には信用事業実施JAを半数にすることが狙いです。理由などはどうでもよく、JAから信用事業を分離し、JAそのものを地域からなくすのがそもそもの目的なのです。
 したがって、事業譲渡を望むJAが一つもなくとも、行政指導によってことが進められる公算が極めて高いでしょう。その時、声高に唱えられるのは、営農指導・経済事業強化のためにせっかく事業譲渡の道を開いたのにJAにはその気がなく1件の要望もなかった、経済事業を兼営しているJA信用事業は内部統制が不十分で、とても一人前の金融機関として認めることはできないというバッシングの嵐です。
 そして、始末の悪いことに事業譲渡が公認会計士の監査意見として出される可能性が大ということです。設立されるJA監査法人はわれわれがつくる監査法人であり、ここでの監査を受ければ問題はないというのは楽観的にすぎると思われます。また、准組合員の事業利用規制という大問題が残っており、准組合員の事業利用規制と事業譲渡のどちらを取るかの選択肢の提示も想定されます(農林中金に事業譲渡すれば農協法の制約はなくなり、組合員について正准の区別はなくなります)。
 以上のことから、政府が農協改革集中推進期間としている平成31年5月までにJAグループが取り組まなければならない緊急の課題は明らかです。一つは公認会計士監査に耐えうるJA内部統制の確立を急ぐことであり、二つは、抜本的な農業振興方策、准組合員対策の確立です。さらにJA運動の司令塔たる一般社団法人JA全中の体制確立も急がれます。
 これらの対策はいずれも従来の延長線上に立つものであってはならず、かつ全国運動として展開すべきものです。ひるがえってJA全中が打ち出している自己改革の方策は、われわれは何も間違っていないという従来路線の踏襲であり、驚くべきことに、わずかに打ち出されたのは、いまさらながらの組合員がJAをどう見ているかの組合員アンケート調査です。
 これがこれまで制度に守られてきたJAの実力といってしまえばそれまでですが、これで巨大な敵に立ち向かうことが困難なことは誰が見ても明らかです。時間切れの時は目前に迫っています。

※このページ「紙上セミナー」は新世紀JA研究会の責任で編集しています。

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