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JAの活動:今村奈良臣のいまJAに望むこと

第21回 「パルシステムの米販売の取り組み」についての報告とその紹介2017年7月1日

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今村奈良臣・東京大学名誉教授

 第45回JA-IT研究会の第4報告はパルシステムの米販売戦略についての取り組みの報告であった。
 「パルシステム」とは「パルシステム生活協同組合連合会」の略称で、首都圏を中心とした地域生協とパルシステム共済生活協同組合連合会が加入する連合会組織で、パルシステムグループ(会員生協、連合会とその子会社)は、食を中心とした多彩な農畜産物商品の供給事業を各地のJAと連携して行い、さらに共済(保険)事業や福祉事業など広範な事業を展開している。
 また、パルシステムグループがその理念として掲げているのは「心豊かなくらしと共生の社会を創ります」というものであり、パルシステムグループの2020年ビジョンとして「食と農を基本に協同の地域づくり」を高らかにうたっている。

<パルシステムとはどういう組織か>

今村奈良臣 東京大学名誉教授 そこで簡潔に組織の概要を紹介しておこう。
 設立は1990年2月9日と比較的新しく、会員数は13会員、会員生協総事業高は2120億円(2016年)、供給高1496億円、出資金98億円、職員数254人、活動エリアは1都11県(宮城、福島、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨、静岡)などとなっており、会員は193万世帯である。
 さて、研究会で報告してくれたのは、パルシステム傘下の株式会社ジーピーエスの第2事業部部長の武藤浩史氏であった。(株)ジーピーエスとは、G...Green(緑の)、P...Plaza(集まる広場)、S...System(機能)を表現したもので、パルシステム農産事業部門が独立して1992年に誕生した青果と米の専門会社である。産直の根幹にかかわる事業を特化して行っており、産直産地ときめ細かな連携をとることをモットーとしている。そのため、産地の開拓、作付計画、栽培管理、品質管理、流通を一手に担い、農薬削減プログラムをはじめ、多彩な安全、安心にかかわる活動を生産者、JAなどとともに進めている。当然、高い専門性を持って、各産地ときずなを築き上げていくことで環境保全型かつ資源循環型農業の拡大、発展に大きな役割を担っている。
 なお、ジーピーエスはパルシステム100%出資(5100万円)の子会社で、農産物及び米の仕入れ、企画、販売、物流業務及び農産品の加工・販売を担っており、売上高は256億6784万2000円(2015年実績)であった。

<パルシステムの産直は何を目指すか>

 パルシステムの「産直」は、単に安全、安心な食べ物を調達する手段ではなく、大切にしていることは「つくる人」と「食べる人」とがともに健康で安心なくらしを実現するため、理解し合い、利益もリスクも分かち合える関係を築くことにあるという。すなわち、農業の持つ多面的な機能と価値を見直しながら、環境保全、資源循環を基本におき、食と農をつないで多くの生きものが共生できる豊かな地域社会と環境を生み出すことを目的にしていることを明確にし展開している。
 そのうえでパルシステムの産直四原則<産地との約束>を次のように高らかに掲げている。
1.生産者、産地が明らかである
 事前に産地と作付計画などが協議されている。
2.栽培方法や出荷基準が明らかで、栽培の履歴がわかる
 事前の協議で、栽培計画(栽培管理)が確認されている。また、変更事項が連絡され管理される仕組みができている。
3.環境保全型・資源循環型農業をめざしている
 栽培内容について産地と協議でき、相互に環境に配慮する農業を目指すことを目標としている。
4.産地の生産者や組合員相互との交流ができる
 生産者・消費者交流集会や産地現場での交流ができる。

<パルシステムの産直米>

 近代の稲作では、生産効率を上げるために、機械化とともに殺虫剤や除草剤、化学肥料などの資材を多用し、効率化をはかってきた。パルシステムの産直産地では、できるかぎり化学合成農薬や化学肥料に頼らず、手間ひまかけ、環境に負荷をかけない米作りを実践、支援している。こうした環境保全型農業に取り組む産直産地は、15都道県、32産地となってきている。
 こういうことを実践、実現するために「公開確認会」「監査人講習会」を行っている。
 これは、食に関わる安全性や生産者の努力を、消費者自身が確かめると同時に、生産者と消費者がより深く理解し合い、課題を共有し改善につなげる発展的な交流システムだと強調している。消費者が自分の眼で確かめることを「監査」と言い、監査する人を「監査人」と呼んでいる。
 これらは1999年から始まったパルシステム独自の取り組みで、延べ136産地で開催され、多くの組合員がパルシステムの農畜産物の「安全・安心」を確認できているという。
 なお、2016年度は、JA魚沼みなみで米、JA遠州中央などの野菜の5産地で開催し、参加者は440名、うち生協関係者は280名にのぼったという。
 パルシステムの米産地は全国31産地にのぼるが、パルシステムの米の袋には、その産地の生産者が大事にしている生きもの、たとえば北海道「ななつぼし」には「エゾライチョウ」、庄内「はえぬき」には「オオハクチョウ」、新潟「こしひかり」には「ホタル」、富山「てんたかく」には「モズクガニ」、土佐「こしひかり」には「ベッコウトンボ」というようにそれぞれの生きものの姿を色とりどりの美しさで表記をしている。
 こういう発想は生産者(地)と消費者をむすぶ絆として、ぜひとも拡げたいものだと私は痛感している。

<「コア・フード米」への取り組み>

 パルシステムのトップブランド米として「コア・フード」米がある。コア・フード米とは有機栽培またはそれに準じた基準で栽培された米(無農薬・無化学肥料栽培も含む)のことで、化学合成農薬や化学肥料を使用しない(有機栽培で使用できる一部の農薬は除く)ため、生産者の手間ひまがかかった貴重な米と定義されている。要するにJAS法で定められた「有機農産物」またはその栽培基準に準ずる農産物のことである。要するに判りやすく言えばたくさんの生きものを育み、生きものに育まれた米ということになる。

<エコ・チャレンジ米への取り組み>

 さらにエコ・チャレンジ米にも取り組んでいる。エコ・チャレンジ米とは「特別栽培米」よりも栽培レベルの高い米のことで、パルシステム独自の基準で、パルシステムでしか購入できない米だという。
 これは、「特別栽培基準」以上に化学合成農薬、化学肥料を削減し、パルシステムが定める「削減農薬(8成分)」を不使用したものである。これは、パルシステムの米取扱量のうち54.2%(1万4270精米トン、2015年実績)に当たるとされている。

<パルシステムの米の販売状況>

 パルシステムの米販売実績(2014年度・精米ベース)をみると、エコ・チャレンジ米が1万4922トン(58.2%)にのぼり、1万133トン(39.5%)が慣行栽培米、コア・フード米が584トン(2.3%)などとなっている。
 さらに予約登録米のシステムを作っており(1995年発足)、組合員へは(1)年間登録制で米を定期的に届ける、(2)事前に予約し利用することで産地応援、(3)価格も紙面(カタログ)で買うよりもお得、としており、生産者にとっては、(1)供給が安定するので安心して米作り、(2)化学合成農薬・化学肥料を削減した栽培に安心して取り組めるというメリットを掲げ、普及につとめている。

<今後の取り組みについて>

 大きく4つの目標を掲げている。
(1)コア・フード米を中心にした環境保全型農業のさらなる推進。コア・フード米1000トン目標
(2)若年層・子育て層をターゲットにした低価格米の確立。今後、米の消費を支える層に見合った米は何かという課題の追及
(3)ごはんは太るといった炭水化物ダイエットの誤解を解くこと、多彩な講演などの実施
(4)生産者(産地)、農協、全農、米卸とのさらなる連携の強化。米の消費拡大への全力投球
 全国のJAの皆さん、特に米の主産地のJAの皆さん、ぜひとも「パルシステム」とコンタクトを取り、新しいネットワークを作り上げていただきたい。

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