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JAの活動:今村奈良臣のいまJAに望むこと

第23回 農村にいかに人材を増やすか 明治大学教授 小田切徳美氏に聞く(1)2017年7月15日

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今村奈良臣・東京大学名誉教授

◆はじめに

明治大学教授・小田切徳美氏 全農広報部の広報紙<JA全農ウィークリー>2017.6.12付vol.805に明治大学教授の小田切徳美君のインタビュー記事がでていて拝見し、感銘を受けたので、全農広報部長の久保田治己氏に転載の許可を頂くとともに小田切教授にも転載の許可をいただき、ここに2回にわたって全文を掲載させていただくことにした。
 小田切教授は、かつて私が東京大学教授時代の教え子で、学部、大学院生時代を通してすばらしい学生であった。また、広報部長の久保田治己氏は私の同僚であった森島賢教授の教え子で、2人とも同級生という俊秀であった。そういう関係もあり、小田切教授へのインタビュー記事をそのまま転載させていただく。おそらく読者の皆さんの活動の源泉となり、英知の扉が開かれるものと期待している。

◆   ◇

「活力創造プラン」に係る本会(全農)の対応


田園回帰、U・Iターン、「孫ターン」して農林水産業へ就業したり、地域に溶け込み地域づくりのリーダーも育っています。全国の農山村に足を運び、調査・研究している明治大学農学部の小田切徳美教授に、現状や今後の方向などを聞きました。【全国農業協同組合連合会 広報部】


◆若年男子、子育て女性に強まる田園回帰の志向

 内閣府の世論調査(2014年)の結果は非常に興味深くて年齢別、性別の「将来移住したい」という傾向が明らかになっています。特に顕著なのが20代男性で、47.4%が移住希望を持っています。希望ですので高めには出るのですが、約10年前の同じ調査(2005年、34.6%)より高くなっています。
 もっと高くなっているのが30代(31.0%)、40代(31.2%)の女性で、前回調査の倍近くになっています。20代の男性はロマンを語っている面があり、常に一定の割合はいます。一番現実的生き方をしている30代、40代のファミリー層で田園回帰志向が強まっている、これが特徴です。世論調査で農山漁村、都市のどちらが子育てに適している地域かを聞いています。男女とも多数派は農山漁村ですが、女性の方がその割合が少し高くなっています。
 もう一つの特徴的なことは、男性では世代別で変化がありますが、女性は一貫して子育ては農山漁村が適地だとしています。いろいろな所で、なぜ移住したのかを聞くと「子育てのため」、もっとすごい回答は「自分は、できるだけ小規模の小学校で子育てをしたいと思っていた」というもので、驚きました。都会に住んでいる女性の志向は、子育てを意識したものだろうと思います。

◆Iターンが情報発信し Uターン促す火付け役

 こんな田園回帰傾向ですが、いくつかの特徴があります。全中もかかわっているNPO法人「ふるさと回帰支援センター」があり、十数年前からふるさと回帰運動を始めました。団塊の世代が定年を迎え、ふるさとへ戻るだろうということを意識して作った組織です。ところが相談の大半は若者で、急激に増加しています。そういう意味で世代が変わってきたのが特徴の一つです。
 移住する方のある程度は、「地域おこし協力隊」(注1)を利用しています。その男女比で4割が女性です。これが農山村移住者の特徴です。従来は単身の男性、単身の団塊の世代でしたが、最近はファミリー層が増えています。そのこともあって女性の比率が増えています。もう一つは単身の女性(移住女子)の例も出始めています。
 全国町村会の移住女子の全国シンポジウムがありました。女性移住者が元気で、単に移住するだけでなく、社会を変えていくという高い志で地方に入っていく若者、特に女性が多いということでした。最近の傾向はIターンが増えた地域でUターン、親元に帰る事例が増えています。Iターンの見ず知らずの人が入ることで地域を刺激しているんです。Iターン者がブログやツィッターで日常を発信し、それが情報提供になりUターンの火付け役になっています。その延長線上に「孫ターン」の現象が生まれています。農業就業もその傾向があり、一世代飛ばしで孫がやってくる事例が結構あります。孫ターンは、NHKの連続テレビ小説「あまちゃん」そのもの。孫ターンは支援の対象としておもしろいものだと思います。山口県の周防大島町は窓口でしっかりアンケートを行い、どんな人が入って来ているかが分かります。孫ターンは1、2割で、移住者の中である程度の比率を占めています。

◆地域に解け込む手ほどき役が重要

 「田園回帰」を進めるためには、「移住コーディネーター」の役割が重要です。兼任ではなく専任がポイントです。島根県の邑南町(あおなんちょう)は移住者がかなり増えています。コーディネーターは広島からの移住者ですが、移住した地域を盛り上げようと全力投球で相談にのっています。移住した人たちに移住を決意した理由を聞くと、必ず「コーディネーターの方がいたから」と答えます。移住の特徴ですが、「人が人を呼ぶ」好循環があります。移住者のさまざまな相談にのっていますが、その方が必ず言うのが「道で会ったら立ち話をしてください」です。車に乗っていて知り合いに会ったら、車を止めて窓を開けて話をしなさいということも。単純なことですがきちんと教えることで、地域の中でネットワークが着実に広がります。数力月と時間はかかりますが、農地のあっせんを受けられることにつながります。
 いきなり新規参入ではなく、地域コーディネーターがきちんと対応して、農業という産業への移住というよりも地域に入って解け込むことが重要です。急がば回れです。農水省が産業路線にかじを切ってしまって、地域政策に関心がないことがいかにまずいかの事例ともいえます。

続きは次週掲載します。

【プロフィール】
おだぎり・とくみ
1959年、神奈川県生まれ。東京大学農学部卒業後、85年東京大学大学院農学系研究科農業経済学専攻修士課程修了、88年同博士課程単位取得満期退学。94年東京大学博士(農学)。高崎経済大学助教授、東京大学大学院助教授を経て、2006年から現職。『農山村再生の実践』(農山漁村文化協会)、『農山村は消滅しない』(岩波新書)など著書多数。

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