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JAの活動:農業協同組合に生きる―明日への挑戦―

【石田正昭・龍谷大学教授】農協の土台づくりは 人とのつながり強化2017年7月19日

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龍谷大学教授・石田正昭

第39回農協人文化賞受賞者シンポジウムの議論から-総括と課題提起

 7月5日に行われた「農協運動の仲間たちが贈る第39回農協人文化賞」では表彰式に続き恒例のシンポジウムが開催された。受賞者をパネリストにそれぞれの現場でのこれまでの努力を語り合い関係者に力強いメッセージを贈るこのシンポジウムは本特集「農業協同組合に生きる-明日への挑戦」がテーマ。地域の将来を支える「農業協同組合」にとって何がもっとも重要となるのか、熱心に話し合った。シンポジウムをとりまとめた石田正昭龍谷大学教授に総括と提言をお願いした。

◆役職員のパワーアップ

 受賞者シンポジウムでは、受賞者の方々に、色紙を使いながら受賞に当たっての感想や抱負を述べてもらった。その後にシンポジウムのテーマである「農業協同組合に生きる~明日への挑戦」について、何が最も重要な取り組みとなるかを語ってもらった。
 受賞者からは、生産・販売面の強化、観光も含めた6次産業化の取り組み、事業統合によるスケールメリットの発揮、食料供給者としてのJAの責任、地域社会の牽引者としての役割など、多彩な見解が披露された。
 そのうえで、これらの見解に通底する問題意識として、農協人(役職員)にふさわしい「人づくりとは何か」について、熱心な議論が交わされた。どのような課題に取り組むにしても、役職員のパワーアップなくして確かな成果は期待できないからである。

◆農協改革と自己改革

第39回農協人文化賞・シンポジウム会場 政府の農協改革は、公(政府)による上からの改革であって、その本質は「JAをつぶす改革」である。これに対し、JAの自己改革は民(個人)による下からの改革であって、その本質は「JAを生かす改革」である。  JAをつぶすのか、生かすのか。その方向性は全く逆である。この違いを明確に提示しないと、自己改革で「何をやっていいのか分からない」といったJAの反応が出てくる。多分にJA全中に責任があると思うが、「農業者所得の向上」「農業生産の拡大」「地域の活性化」の3つは、地域のJAにとってみれば日常的に取り組まれている課題であって、自己改革と称して高く掲げられるべきものではない。
 では、自己改革と称するにふさわしい喫緊の課題とは何であろうか? これも多くの現場が承知しているように、JA役職員の「意識改革・行動改革」である。この課題はJA全中が提起するような「アクティブメンバーシップ」なる横文字で表現できるような問題ではない。各JAにこびりついた根の深い問題である。
 「意識改革・行動改革」とは、農業生産の縮小やJA合併などの過程で希薄化した「JAと組合員とのつながり」を再構築するためのJAに内在的な課題と言ってよいだろう。よりストレートに表現すれば、「組合員との関係性の正常化」と言ってよいのかもしれない。

(写真)第39回農協人文化賞シンポジウム会場

◆農協の土台・柱・屋根

 事業体を土台・柱・屋根から成る建物に例えると、協同組合は、土台が「組織」、柱が「事業」、屋根が「経営」から成っている。これに対し、一般会社(資本制企業)は、土台が「資本」、柱が「事業」、屋根が「経営」から成っている。協同組合と一般会社との違いは、土台が組織であるか、資本であるかの違いだけである。
 しかし、この違いは大きい。組織すなわち人の結合(人と人とのつながり)が協同組合の事業と経営をつくっている。これに対し、資本すなわちカネ・モノの結合が一般会社の事業と経営をつくっている。一般会社がカネ・モノの結合に腐心するのと同じように、あるいはそれ以上に、協同組合は人の結合に腐心しなければならない。
 もちろん、協同組合にとってもカネ・モノの結合は重要である。決して「ないがしろにしていい」わけではない。強固なカネ・モノの結合を生み出すうえでも、人の結合に注力することが重要だと言っているのである。 政府の農協改革は「JAをつぶす改革だ」という意味は、行政庁の権限行使によってJAの土台(組織)がぐちゃぐちゃに壊され、まともな柱が立てられなくなることを言う。あるいはまた、仮に土台が壊されなくても、これも行政庁の権限行使によって、柱(事業)が壊されたり、骨抜きにされたりすることを言う。当然ながら、その結末は屋根(経営)が傾き、落下してしまう。
 仮に政府による農協改革がなかったとしても、基礎部分の土台が劣化すれば柱は立たず、屋根も乗せられなくなる。この種の危機に直面しているのが現在のJAだから、改めて土台づくりから取り組むと宣言することが必要である。あるいは、より頑強な建物をつくるために役職員の「意識改革・行動改革」に取り組むと宣言することが必要である。

◆JAの優位性とは何か

石田正昭・龍谷大学教授 JAの自己改革は「JAを生かす改革だ」という意味は、組合員との関係性の正常化に当たって、自らの短所の補正に取り組むのは当然であるが、同時に、自らの長所はこれをより一層伸ばす必要があることを言う。
 ではJAの長所とは何であろうか、短所とは何であろうか。
 筆者の組合員アンケート調査の経験から判明していることは次のとおりである。すなわち、JAの事業展開力を表す指標として「財・サービスの価格が有利」「農業振興に注力している」「職員の専門性が高い」を想定し、一方で、JAの組織展開力を表す指標として「職員の対応が親切だ」「JAに親近感がある」「地域を大切にしている」を想定すると、組合員が高く評価しているのは後者、すなわち組織展開力のほうである。つまりJAの伸ばすべき長所は組織展開力、補正すべき短所は事業展開力ということになる。
 組合員・利用者と接した時に、財やサービスの説明、価格比較などから始めることが、JAへの信頼を高めることにはならない。そうではなく、組合員からみて、「あなたは親切だ」「私のことをいつも気にかけてくれる」「気さくに声をかけてくれる」などの評価が得られるようなホスピタリティ(思いやり)の心を持つことがJAへの信頼を高めることにつながるのである。
 そのために心がけるべきことはコミュニケーション能力の強化である。コミュニケーションとは意思や感情、思考を伝達しあうことを指すが、なかでも重視されるべきは「話す力」ではなく、「聞く力」である。
 「聞く力」を養うには知識や経験に基づく「受け止める力」の向上が不可欠であるが、同時に相手の言うことを「耳だけではなく、目や心を使って受け止めること」が重要となる。とくに目線をそらさずに「アイコンタクト」を図りながら、相手から本音の言葉を引き出すような自己訓練を重ねていかなければならない。

(写真)石田正昭龍谷大学教授

◆事業展開力の強化へ

 その一方で、短所の補正、すなわち事業展開力の強化にも乗り出す必要がある。とくに重要なのはトップから一般職員までのたて系列の一体化と、営農から金融(くらし分野)、管理部門までのよこ系列の一体化による「全員経営」の展開である。全員経営の展開に当たって、その肝はたて系列とよこ系列の結節点に位置する「管理職」の能力向上である。彼らの意識改革・行動改革なくして全員経営は展開できない。人事管理が「年功主義」から「能力主義」へ転換したJAは数多いが、完全な能力主義へ転換したとは言えないJAも多いかと思う。
 そのようななかで重視されるべきことは、例えば「自己改革プラン」あるいは「中期計画」の策定において、部門横断的な取り組みを導入することである。たて割りの各部門に部門計画を策定させ、それをホッチキスで留めるようなやり方では、新しいアイディアもやる気のある職員も出てこない。従来の踏襲型で終わってしまう危険が高い。革新を求めるならば、部門横断的な、よこ串を刺した形の共同作業のなかで策定されるべきである。
 また、こうして策定された中期計画に基づいて各部署で策定される単年度計画については、管理職を責任者とする全員参加型でPDCAサイクルを回すようにしなければならない。朝礼はもとより多数の小集団活動を展開しながら職員の参加意識を高め、それによって「何ができて、何ができていないか」のチェックを絶えず行うようにしなければならない。こうした革新に取り組みながら、組合員から「なくてはならないJA」と評価してもらえるような態勢づくりが求められている。

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