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JAの活動:今村奈良臣のいまJAに望むこと

第41回 年頭の祝辞2018年1月13日

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今村奈良臣・東京大学名誉教授

 2018年の年頭にあたり祝辞を述べさせていただきます。私も天皇陛下と同い歳で、もはや引退の齢になってしまいましたが、本欄を読んでいただいている後輩諸氏や若い時代を背負う皆さんに残すべき言葉は何かと考え、それを年頭の祝辞に代えさせて頂きたいと考えました。これから述べる言葉は、主として1990年に設立した「21世紀村づくり塾」ならびにその後全国展開した全国各地の農民塾で塾長として語った提言、およびJA-IT研究会やJA人づくり研究会代表として語った言葉であり、これらを年代順に並べ、年頭の祝辞に代えさせていただきたいと思います。

(1)Boys, be aggressive!
 これは明らかに、かつて明治の初年、札幌農学校の校長として教育にあたったクラーク先生が日本を去るに当り学生たちに残した、"Boys be ambitious"をもじったもので、"青年たる者、先輩諸氏のもっともらしい言辞など意に介さず、断固として自らの信じる新しい道を切り拓け"と私は訳している。この言葉を言われたのは、故東畑四郎氏で私どもの先生だった東畑精一先生の実弟で、名農林事務次官と称えられ、戦後の農地改革という大事業の事務局を総括された方で、その後、(財)農政調査委員会というすぐれた調査・研究機関の理事長をされていて、私が東京大学大学院を卒業し、そこに就職させて頂いたが、その面接の時に言われた一言。55年前の一言だがいまでも私の身体に染み込んで離れない言葉で、農民塾生たちに教えてきた一言である。(なお、"Boys"は一般名詞であり男性にだけでなく、女性ももちろん含んでいる)
 
 (2)「多様性の中にこそ真に強靭な活力は育まれる。画一化の中からは弱体性しか生まれてこない。多様性を真に活かすのがネットワークである。」
 各地の若い農民塾生たちにこのように説いてきた。かつての塾生たちの中からは、JAの組合長や市長、町長なども各地で生まれてきているが、彼らに最近聞いてみると、色々私が言ってきた言葉の中でこの一言が非常に心に残っていると言っていた。どのような姿かたちのネットワークを組むかということが課題であるが、各地域の実情に即して考え、実践してほしいと考えている。
 
 (3)"Challenge! at your own risk "
 この一言は、今から34年前に、私がアメリカのウィスコンシン大学へ文部省の在外研究員(教授)として、ウィスコンシン大学附設土地所有研究所(Land Tennure Center)に留学して農村実態調査を行っていた折に出会った一言である。日本語に私なりに訳せば"全力をあげて新しい課題に挑戦せよ!そして挑戦し実践した結果には自己責任の原則を徹底し、全うせよ!"とでも訳すことができると思う。Land Tennure Centerの若い助教授の案内でウィスコンシン州内の農場の継承の調査を行っていた折に出会った一農場主の発言の一節である。何故、農場の継承の調査を行ったのかというのは、わが国の場合、田・畑・山林・家・屋敷そして位牌は、すべて長男が意欲や能力などは無くても相続するという慣習が全国各地、特に東北、北陸地方では強くみられていた。次三男や女性あるいは嫁さんなどで意欲や能力はすぐれているのに継承されないという実態を私はかねがね疑問に思っていた。そこで、アメリカ中西部の農場継承の実態について比較考察のため実態調査を行ったわけである。調査はプライバシーに係わることなので容易ではなかったが、調査事例を整理してみると、長男もいるにはいたが、次男、三男あるいは長女、次女などでも「私がお父さん、農場を買って農場の経営主になります」という事例も数多くあった。
 たまたま、農場継承の話し合いの現場に出会った時に、農場主である親父が、息子に対して発した言葉が上に掲げた一言である。私の胸を強く打った一言であった。
 しかし、この一言は農場継承の件とは別に、農民塾の若い塾生たちにも伝えておく必要があると考え、一般化して上記のような表現として教育してきたのである。
 
 (4)新農業基本法である「食料・農業・農村基本法」の精神をいかに活かすべきか。
 「食料・農業・農村基本法」は1999年7月、今から19年前に公布・施行され、私は初代の食料・農業・農村政策審議会の会長に選任された。その経緯は省略するが、このすぐれた基本法の精神とその核心をいかに全国の農民そして農業・農村の指導者の皆さんに知ってもらうべきか、と考え、次のように私なりに判りやすくかつ親しみやすく実践しやすい道を示す努力をした。その核心を5本の柱に置き、その5本の柱を更に5本の小さな柱に分け25本の柱に集約した。しかし、ここでは長くなるので基本の5本の柱のみを示しておこう。
 
  1、農業は生命総合産業であり、農村はその創造の場である
  2、食と農の距離を全力をあげて縮める
  3、農業ほど人材を必要とする産業はない
  4、トップ・ダウン農政からボトム・アップ農政への改革に全力をあげる
  5、共益の追求を通して私益と公益の極大化をはかる
 
 この5本の柱は、基本法の核心を示していると私は考えている。
 そして、この5本の柱を中心に21世紀に入るとともに全国各地の農民塾や農協、あるいは県・市町村レベルの会合などで講演も行い、新しい基本法のもとにエネルギーの結集を行い、農業・農村の改革に全力をあげるよう説いてきた。
 しかし、私の力は及ばず、農業・農村の活力はいまや全般的には低下してきているものの英知を結集し、全国各地で新しいエネルギーも再び湧き上がっている所もある。
 その新しい方向を示す新年の祝辞を次回以降にも展開してみたい。

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