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JAの活動:今村奈良臣のいまJAに望むこと

第46回 全国農林水産物直売所実態調査から見える直売所の今--全国農林水産物直売所実態調査の中間報告(そのII)2018年3月3日

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今村奈良臣・東京大学名誉教授

〈登録出荷会員数について〉

2直売所の動向(3)登録出荷者数(4)正職員(5)パート・アルバイト(今村奈良臣のいまJAに望むこと 第46回)

 次に登録出荷会員数の動向についてみておこう。2-(3)図に示したように、1000名以上は3%、500~999名は8%、300~499名は13%、100~299名は35%、50~99名は19%、50名未満は21%というように、登録出荷会員数は直売所の約3分の1が100~299名というのが多く、全体としてみれば、50名から299名がほぼ半数を占めていることが判る。
 今回の調査と18年度調査を比較してみると、「500名以上」という比較的大きな登録出荷者数の店が4%から11%というように、大規模化の方向をたどりつつあることが判る。
 しかし、前回調査で最も割合の多かった「50名未満」という小規模店が36%と3分の1強であったが、今回調査では「100~300名未満」が35%となっており、若干、登録会員数は増加の傾向にあるのではないかと考えられる。

〈正職員の数は横ばいで、パート、アルバイトの雇用が拡大している〉
 2-(4)図、ならびに2-(5)図に示したように「給与を負担している正職員」がいるのは、直売所の36%が2-5名未満、1名というのが15%、5~10名が14%、10名以上が7%というようになっている。
これを前回調査と比較してみると「10名以上の正職員を雇用している直売所」は全体の7%で、今回の調査と大きな変化はない。しかし「正職員なし」の割合は直売所の前回の23%から今回の27%とへと若干増加している。
 しかし、パートやアルバイトに依存している直売所は増加してきている。今回の調査結果は前掲図の通りであるが、18年度調査の比較では「20名以上のパート、アルバイト」を雇用している直売所が4%から11%に増加している一方、「5名以下(なしも含む)」の割合は68%から49%へ減少しており、それだけ正職員に依存する直売所が増えてきているように見受けられる。

 

〈施設全体及び直売部門の売上額の動向〉

2直売所の動向(6)施設全体の年間売上総額(7)直売部門の年間売上額(今村奈良臣のいまJAに望むこと 第46回)

 今回の調査結果は前掲図に示したように、年間売上高について施設全体でみると、20億円以上が1.4%、10~20億円未満が3.1%、5~10億円未満が8.8%、3~5億円未満が11.8%、1~3億円未満が27.6%、5千万~1億円未満が27.6%などとなっており、1~3億円の年間売上げの店が最も多いが、全体の6割の店は1億円未満の店であることが判る。なお、直売部門については図を見てもらえば判るように1~3億円、5000万~1億円の店で4割以上を占めていることが判る。
 この今回の調査と前回調査と比較してその要点を述べると、(1)「5億円以上」の年間売上額の店が2%から7%へと増加し、大型化していること、(2)「1~3億円未満」の店が21%から26%へと伸び、現状では「1~3億円未満」の店がもっとも多くなってきている。(3)「1億円未満」の店の割合は全体の69%であったものが、59%へと今回減少してきていることから、常設・通年営業の1店あたりの年間売上げ平均額は伸びてきているのではないかと推測される(なお、18年度調査では「直売部門の年間売上額の調査」しかしていないので単純比較できない点もあることを断っておきたい)。

 

〈直売所の課題〉

3直売所の課題(1)運営組織の課題(今村奈良臣のいまJAに望むこと 第46回)

 「直売所の課題」については、(1)運営組織の課題、(2)店舗営業の課題、(3)運営上の課題、という3項目について問うてみた。
 「運営組織の課題」については、全体としてみると、図に示したように、なによりも、(1)出荷者の高齢化(89.2%)という回答が多く、ついで、(2)出荷量・出荷頻度の減少(57.0%)、(3)出荷者の減少(48.6%)という高齢化、出荷者数の減少、出荷量の減少が圧倒的に多くなってきている。これらについで、「役員の世代交代」「会合等の出席者の減少」などが多く、さらに地元・地域の行事等との調整など、人的関係や人事にかかわる課題が多くなっていることは図に示した通りであり、また関連した「記入事項」をみていただければ判る通りである。

 

〈店舗経営の課題〉

3直売所の課題(2)店の営業の課題(今村奈良臣のいまJAに望むこと 第46回)

 ついで「店舗経営の課題」についてみると、「季節による商品不足」(56.2%)、「従業員の人材確保」(52.4%)、「生鮮物の品質管理」(35.5%)、「時間帯による商品不足」(34.3%)、「賞味期限/消費期限の管理」(33.0%)、「従業員の高齢化」(31.4%)というように、人的資源にかかわる諸問題が多い。つまり、集約すれば、(1)商品不足、(2)人材不足、(3)商品の品質管理など、農産物直売所の死命を制する問題点が列挙されていることが判る。詳しくは前掲図を直視し読み解いていただきたい。

 

〈経営上の課題〉

3直売所の課題(3)経営上の課題(今村奈良臣のいまJAに望むこと 第46回)

 つぎに、直売所の課題の第3として、(3)「経営上の課題」を問うた。この図をみてもらえば判るように(複数回答だが)、(1)収益の減少、(2)客数の減少、(3)人件費の拡大、(4)客層の高齢化など、直売所の基本問題にかかわる問題が提起されている。これらの課題にいかに取り組み、解決を図ろうとしているのか、その姿を次回の本稿で鮮明に述べてみることにしたい。

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