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JAの活動:今村奈良臣のいまJAに望むこと

第48回 全国農林水産物直売所実態調査から見える直売所の今-全国農林水産物直売所実態調査の中間報告(そのIV)-2018年3月17日

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今村奈良臣・東京大学名誉教授

 〈直売所開設・運営の効果〉
 このアンケート調査では、締め括りの質問項目として「直売所開設・運営の効果」と「今後、直売所が目指す方向性」について聞いてみた。

5 直売所開設・運営の効果 まず、「直売所開設・運営の効果」については、5図に示したような回答が寄せられている(複数回答)。
 もっとも多かったのが、(1)生産者の所得向上(848、73.7%)、次いで(2)生産者の生きがいづくり(733、63.7%)、(3)高齢者の生きがいづくり(588、51.1%)、(4)地域農業の振興(540、47.0%)、(5)地域の拠点づくり(391、34.0%)、(6)消費者との交流推進(359、31.2%)などが主流となっている。
 しかし、5図を仔細にみていただければ判ると思うが、「女性の活躍の場づくり」(29.4%)、「地域社会の活性化」(27.6%)、「地域の認知度向上」(20.9%)など、自らの住む地域、自らの地域の農業興しや女性の活躍の場づくり、消費者との交流の拠点づくりなど、地域の活力の原点になりたい、「地域創生」の拠点となりたいという意気込みをうかがうことができると思う。
 要するにこれら回答をまとめてみると、直売所の開設・運営を通じて「直売所は生産者の所得向上と生きがいづくり、特に女性の活躍の場づくりにつながっている」ということができると思う。5図をよく見ていただき、ここから「直売所の意義と役割」について改めて考えてもらいたいと思う。

 〈今後、直売所が目指すべき方向性〉
 このアンケート調査の最後の項目として、「今後、直売所が目指すべき方向性」について問うてみた。

6 今後、直売所が目指す方向性 6図に示したように、もっとも多かったのが「地産地消の拠点施設として、地場産物の販売にこだわった営業を行っていく」というのが70.5%、「地域住民の買い物拠点として、仕入れ品の取り扱いも含む品揃えの充実」というのが半数弱の45%、「観光客の獲得に向けて、特産品や土産物など充実した品揃え」が3分の1強の37.5%。以下、「農業振興の拠点として、営農活動の支援や生産者の育成」が3分の1弱の29.5%になっている。これは恐らく地域に根をおろしたJA(農協)が関与している直売所かと想像できる。
 そのほか「地域貢献活動」、「社会福祉活動」、あるいは「自然・環境保全」などとの関わり合いのもとで直売所を拠点に活動を行うというのもある。
 いずれにしても、共通して目指す方向としては、「地産地消の拠点として、地場産物にこだわった店づくりを進める」という農産物直売所の方向性が明確に示されているようにみられる。
 以上、紹介してきたアンケート調査結果のさらなる考察と分析は、サミットの会場で報告された森岡亜紀さんの報告にもあったように、来る4月にさらなる詳細な分析を踏まえて最終報告がなされることになっている。全国の農産物直売所のこれからの活動の指針になることを祈ってやまない。
 以上、アンケート調査の概要を示したが、これを参考にして全国の農産物直売所の皆さんも新たな方向を目指しておおいに頑張っていただきたいと思う。

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