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JAの活動:今村奈良臣のいまJAに望むこと

【今村奈良臣のいまJAに望むこと】第60回 「真のJA自己改革にむけたJA経営の今後のあり方を探る」 ―「JA人づくり研究会」第29回研究会の報告・討議の紹介―2018年7月7日

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今村奈良臣・東京大学名誉教授

 次に第3報告として、JAみっかび代表理事組合長の後藤善一氏より「農協改革、JA経営をめぐる状況認識とJA自己改革の実践と課題、今後の対応方向―純農村地域JAからの報告」が行なわれた。

1.JAみっかびとJA自己改革の方向
 私は各地で講演しているが、サブテーマにはいつも「すべては売るために」という言葉を掲げている。これはコカ・コーラでマーケティングを担当していたセルジオ・ジーマンの書いた本の題名で、その中の一文に「マーケティングの目的はたった1つ。あなたの商品をできるだけ多くの人に、できるだけたくさん、できるだけ何度も買ってもらい、できるだけ多くの利益をあげることだ。マーケティング予算の最後の1セントに至るまで、すべてがその目的のためにある。店頭で商品を手に取り、レジに並んで財布を開いてくれる消費者を作り出せないなら、マーケティングする意味はない」という言葉があります。これは農協にも共通して言えることだと思っています。農協が行っている事業の中のサービスや商品も、利用してもらえなければ、そして買ってもらえなければ、やる意味がないと思っています。

 

2.アンケートの結果を考える
 昨年、全国の農協で行われた組合員アンケートの結果として、10月末の77JA分を紹介します。
 正組合員の特性「意識点」はJAみっかびは23.3点だったが、静岡県平均は17.1点、全国平均は17.9点、この時点ではJAみっかびはもっとも点数が高く「JAは地域農業の役に立っている」という問いについて、「肯定的な回答者の割合は約9割と非常に高い水準」とコメントされました。
 准組合員の特性「意識点」ですが、JAみっかびが18.7点、静岡県平均も16.7点で、大きな差はなかった。
 正組合員の特性の「行動点」はJAみっかびは53.0点、静岡県平均が31.9点、全国平均が29.6点でした。コメントとして、「営農関連事業の事業利用は全国平均と比較して、突出して高い」「正組合員の期待に沿った運営を、相当に高い水準で実践している」と評価された。これらをみるとそれなりに組合員の皆さんに理解していただいているということだと思っている。

 

3.JAみっかびは合併せず独立・独歩で
JAみっかびは、一度合併を辞退しています。協議会では「三ヶ日町はミカンを農業の基幹産業とし、農協を地域の核として組合員が結集し、総合農協として地域経済を支えている。合併後もこうした機能の完全な発揮ができるのか」ということに焦点を当てて議論しました。結果として「三ヶ日みかん」というブランドが消えてしまうということから、「自分たちがどういった経営になっても合併という選択肢はとらない」と決断しました。決断の背景には、JAみっかびがこれまで「自分たちで自立してやっていくしかない」という強い意思のもとで歩んできたということがあります。

 

4.JAみっかびのブランド戦略
私は、産地を1つの経営体だと思っています。その中で、組織の持っている経営資源、すなわち、ヒト、モノ、カネ、情報などをどうやって活かそうかといつも考えています。それらをうまく使うにはベクトルを合わせていくことが必要です。
経営に必要な3つの力があります。すなわち、「売れるものをつくる力」「それを売る力」、「それらをマネージメントする力」です。この力をそれぞれ強化していくことが重要です。一昨年から機能性表示食品制度に取り組んでいます。また、戦略的にマスコミ対策も行っています。経営資源のミカン産業への集中を行っています。また、施設の整備、園地の集約、作業の機械化も徹底的に図っています。補助金も、これは使えるというのは、積極的に取りにいっています。
ドラッカーは「マーケティングの目的とは販売の必要性を無くすことである」と言っています。やみくもに売り込むのでも、無理やりに値引きすることでも、無駄な広告を打つことでもなくて、顧客を理解し、ニーズに対応し、顧客を満足させるということです。

 

5.ブランド戦略とは
ブランドには4つの機能があるということを理解しなければいけないと思っております。「ブランド・ロイヤリティ」はブランドに対する忠誠心や愛着、どうしてもそれが欲しいということです。「ブランド認知」は、そのブランドのロゴやマークを見れば分かる、存在を認識できるということです。「知覚品質」は、そのものの品質が直感で分かるということ。最後に「ブランド連想」というのは、消費者がブランドについて思い出す一連の連想です。このポイントを押さえていかないとただお金や労力を使ってもブランドにはなりません。ブランドがあれば、顧客が寄ってきます。人材も集まります。企業からのオファーもあります。資本も入ってきます。また、信頼もされます。
(このつづきは長くなるので次回へ回す)

 

本シリーズの記事一覧は下記リンクよりご覧下さい。

今村奈良臣・東京大学名誉教授の【今村奈良臣のいまJAに望むこと】

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