JAの活動:今村奈良臣のいまJAに望むこと
【今村奈良臣のいまJAに望むこと】第83回JA-IT研究会第50回記念公開研究会の紹介と講話ならびに討議2019年4月13日
記念講演 Ⅲ
「協同組合の『かたち』と『こころ』」
農林年金基金 理事長 松岡公明
1.松岡公明氏の記念講演に用意されたレジュメは膨大なもので、実にA4判の冊子の33頁にも及ぶ膨大な内容であった。そこで、それらのレジュメの中から松岡氏が強調し、かつ参加者も記憶にとどめかつ実践しようとの意気込みを示したいくつかの文章を以下抜き書きして、今後の活動のための指針として示しておきたい。
2.まず、ドラッカーの提言を示しておこう。
「戦略的な意思決定では、範囲、複雑さ、重要さがどうであっても、初めから答えを得ようとしてはならない。重要なことは、正しい答えを見つけることではない。正しい問いを見つけることである。意思決定において、最初の仕事は問題を見つけ、それを明らかにすることである。この段階では、いくら時間をかけてもかけ過ぎることはない」(ドラッカー『現代の経営(下)』)
「リスクには基本的に4つの種類がある。第一に負うべきリスク、第二に負えるリスク、第三に負えないリスク、第四に負わないことによるリスクである」
「もちろん何かを起こすにはリスクが伴う。しかし、それは合理的な行動である。何も変らないという居心地のよい仮定に安住したり、ほぼ間違いなく起こることについての予測に従うよりも、リスクは小さい」(ドラッカー『創造する経営者』)。
3.「蝶を集めるにはまず花を育てよ」=ワンクッションの発想を持とう。
協同組合としての当事者意識=ミッション、ビジョン、バリューを再確認する。
(1) ミッション(使命):協同組合は何のために存在するか?
(2) ビジョン(目標像):協同組合は何を目ざすか?
(3) バリュー(価値観):協同組合は何を大切にして活動するのか?
この3つを常に胸に刻み込んで運動を推進することが基本である。
4.いま、JAに求められている基本課題は何か―。次の連立方程式をデザイン思考で解いていくことである。
(1)農家手取りを上げる
(2)JAの手数料を確保する(経済事業の収支構造の転換)
(3)新たな産地づくりをする
(4) JAと担い手との関係を改善する
(5) 契約概念にもとづく信頼関係を強化する
(6)地域ブランド化・6次化により地域を活性化する(生産・加工・雇用機会の創出)
5.「大きな協同」のなかに「小さな協同」をつくる。そのために「小さな御輿(みこし)」理論を提起する。
(1)「小さな御輿」理論=全員が自分の御輿をかつぐことにより組織に緊張感と自律心を蘇らせる。いわゆる「ぶらさがり」を無くし、主体性を持たせるには小さなチームを多くつくってたくさんの御輿を担いでもらうことが有効である。
(2)組織内の小さな協同とそのネットワーク、そして組織外との重層的なネットワークづくり。
(3)関係性の構築、組織間の相互作用が、地域で眠っている、埋もれている経営資源や組織を刺激し、新たな動き=協同の輪をつくりだす。
(4)女性参画により「組織文化」を変える
(5)女性の役割とその評価(「Womenomics」)を益々高めなければならない。
以上、松岡報告のきわめて一部分であるが核心部分と思える点を紹介してきたが、不充分な点をかえりみず、松岡報告の紹介を終わることとする。
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今村奈良臣・東京大学名誉教授の【今村奈良臣のいまJAに望むこと】
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