JAの活動:今さら聞けない営農情報
【今さら聞けない営農情報】第2回 -スマート農業・農業ICT-2019年4月19日
最近、「スマート農業」や「農業ICT」といった言葉をよく耳にすると思いますが、これっていったい何なのでしょうか?
農林水産省の定義によれば、「スマート農業」は、「ロボット技術やICT等の先端技術を活用し、超省力化や高品質生産等を可能にする新たな農業」ということです。
その要素の一つである「ICT」とは、Information and Communication Technologyの略で情報通信技術と訳され、通信技術を活用した、情報処理、産業やサービスなどの総称です。なので、「農業ICT」とは、農業で活用する情報通信技術ということになります。その他の要素である、ロボットやAI(人工知能)は説明不要ですね。
ところで、このスマート農業のスマートってどういう意味でしょうか。これは、英語の「smart」のことですが、日本人はスマートと聞くと真っ先に「痩せている」「華麗な」という意味が思い浮かぶと思います。ところが、このスマート農業のスマートの意味はそれとは全く違っており、「賢い、ハイテクな、精密な、高感度な、機敏に」という意味で使われています。
整理すると、「スマート農業」は、ICTやロボット、AI(人工知能)などをフルに活用し、効率良く、高い技術力で、省力的に農作業を行う、次世代の農業の形を示しているということになります。
では、スマート農業のメリットは何でしょうか?
(1) 農作業の省力化・労力軽減が図られる
これまで農業者の労力と知恵に頼っていた農作業を全自動トラクター、全自動飛行ドローン、可変式施肥機といった最先端の機器が肩代わりすることで、農家の軽労化、作業の効率性を高めることができます。
(2) 匠の技の伝承に一役買う
もうひとつは、経験と努力に裏打ちされた「農業の匠」の優れた技術・知恵の伝承に役立つことです。農業の技術は、一朝一夕で身に付くものではなく、多くの場合先輩でもある親に教わりながら、一緒に作業し経験を積むことで伝承されてきました。しかし、後継者がいる農家が半分にも満たない現状では、せっかくの優れた技術が伝承されないまま失われてしまう可能性が高くなっています。
こんな時、最新のICT技術で匠の技をデータ化して記録し、いつでもそのデータを活用し、また匠の技をロボット農機が再現できるようになれば、農の匠の技が伝承されていくようになるでしょう。農業における貴重な財産である匠の技をしっかりと残していきたいものです。
(3)農業生産振興に役立つ
現在の農業は、就農人口の減少と耕作放棄地の増加に頭を悩ましています。このまま農家が減少し続ければ、今の耕地面積を維持するためには、10年後には農業の担い手一人当たりの耕作面積を今の2.4倍に増やさなければならないとの試算があります。現在頑張っている担い手でも、既に手一杯でこれ以上経営規模は増やせないと訴える場合も少なくありません。そんな時、農家の手足として農作業を正確に効率よくこなすことができる農業機械があれば、経営面積を増やし、生産量を増やすことができるようになります。
このように、スマート農業は今後の日本農業を維持・発展させるために欠かすことのできないものです。さらに技術が進歩・発展し、色々な農業場面でスマート農業が根付いていくことに期待せざるを得ません。
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