JAの活動:今村奈良臣のいまJAに望むこと
【今村奈良臣のいまJAに望むこと】第84回 JA-IT研究会第50回記念公開研究会の紹介と講話ならびに討議2019年5月11日
記念講演Ⅳ
「縮小再編過程の日本農業におけるJAの期待」
東京大学大学院農学生命科学研究科教授 安藤光義
1. はじめに
2015年農業センサスは、農業経営体数、農業労働力、農地面積の3つの指標が、いずれも大きく減少する結果となり、日本農業は本格的な縮小再編過程に突入した。
構造変動の進展にもかなりの地域差が生じており、地域ごとで今後の対策は大きく異なってくる。担い手不足地域における農地保全の仕組みづくり、産地の維持のための新規就農者の確保・育成など、JAの担うべき役割の重要性はますます増加している。
2.報告のポイント
以上のような問題提起のうえにたって、「報告のポイント」として、以下のような報告の核心部分を紹介した。
Ⅰ.2010年農業センサスで日本農業の構造変動の方向を確認する。
2011年センサスは日本農業の「崩壊」と「構造再編」という2つの異なるベクトルを検出した。しかし、後者は2007年の品目横断的経営安定対策によって東北や北九州などで、集落営農が急増したことが、統計上の構造変動をもたらす結果となったとみるべきであろう。
Ⅱ.2015年農業センサスで日本農業の構造変動の到達点を確認する。2015
年センサスは日本農業が本格的な縮小再編過程に突入したことを示す結果と
なった。戸別所得補償制度は家族経営の下支えとして機能せず、農地面積は減少に転じ、農業経営体の減少が続いている。地域間格差も拡大し、農地集積目標の実現は難しい地域が多い。各地域の個性を踏まえた政策が重要(集落営農か個別経営か)。今後、市町村分析が必要となる。
担い手の高齢化と減少が進んでいるが、若い経営者が増加に転じたのは明るい兆しである。
山間地域の農業集落は、集落営農も担い手がいない割合が5割を超える危機的な状況。
後継者不在の集落営農法人や大規模経営をどうするか。
ポスト農業構造問題の発生と言わざるをえない。
新規就農者をいかにして育成・確保するかが、いまや各農地に求められている。
Ⅲ.農地中間管理機構が機能していないのには理由がある。また、最後に頼りにされる農協は辛い。円滑化事業は廃止の方向のようだが、機構にそれだけのことができるとは思えない。(以下、本論を展開する)。
本シリーズの記事一覧は下記リンクよりご覧下さい。
今村奈良臣・東京大学名誉教授の【今村奈良臣のいまJAに望むこと】
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(135)-改正食料・農業・農村基本法(21)-2025年3月29日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(52)【防除学習帖】第291回2025年3月29日
-
農薬の正しい使い方(25)【今さら聞けない営農情報】第291回2025年3月29日
-
【現地レポート】「共同利用施設」が支える地域農業とこの国の食料 JA秋田おばこ六郷CE(2)2025年3月28日
-
農協の組合員数1021万人 前年度比0.6%減 2023事業年度 農水省2025年3月28日
-
農業構造転換 別枠予算の確保を 自民党が決議2025年3月28日
-
(428)「春先は引越しの時期」?【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年3月28日
-
大関と共同開発「ニッポンエール レモンにごり酒300ml瓶詰」新発売 JA全農2025年3月28日
-
愛媛県の林野火災被災者に共済金など早期支払い JA共済連2025年3月28日
-
県内最大級のねぎイベント! 「大分ねぎまつり2025」を開催 JA全農おおいた2025年3月28日
-
「好きがみつかるスポーツテスト」特設サイトをリニューアル 体力測定結果なしに診断 JA共済連2025年3月28日
-
毎月29日は「いい肉の日」限定セール開催 約360商品が特別価格 JAタウン2025年3月28日
-
粘り強く贈答品にも 天候によって形状が変わる「相模原のやまといも」 JA相模原市2025年3月28日
-
土浦れんこんカレー 県産れんこんと豚肉がゴロッと JA水郷つくば2025年3月28日
-
夏も冷涼な気候生かし 完熟ミニトマトで100%ジュース JA新いわて2025年3月28日
-
【中酪25年度事業計画】生乳需給変動対策に参加、離農加速受託戸数9600台も2025年3月28日
-
太陽光発電設備・蓄電池設備を活用 JA帯広大正で再エネ導入2025年3月28日
-
JA三井リース Frontier Innovations1号投資事業有限責任組合へ出資2025年3月28日
-
ウェブコンテンツ「社会のニーズに対応したソリューション」を公開 日本農薬2025年3月28日
-
【組織改定・人事異動】デンカ(4月1日付)2025年3月28日