JAの活動:新世紀JA研究会 課題別セミナー
【意見交換会】「振興クラブ」具体化を SDGsの視点も加え2019年5月22日
准組合員の組織化で意見交換
【萬代・新世紀JA研究会名誉代表】 新世紀JA研究会の小委員会の報告、「JA農業振興クラブ」の内容を初めてうかがった。全国650JAはそれぞれ環境が違うが、准組合員の問題は、そろそろ形として結果が求められる時期にきていると思います。農業振興クラブは、できるところはもう一歩進めて具体化していただきたい。
【福間・新世紀JA研究会常任幹事】 准組合員を、農業振興を担う一員として位置付けることで、今のJAの事業との関連を意味付けできるようになるのではないか。
【岩堀・神奈川県中JA改革対策部次長】 准組合員といって一括りできず、さまざまな人がいます。正組合員に近い人もおり、固定的に考えるのは難しい。その辺はどのように議論したのか。
【志村・JA東京みなみ常務理事】 小委員会の提案は准組合員をそのままスライドするのではなく、農業に理解と関心のある人に働きかけて組織化するというスキームを考えています。
【三瓶・神奈川県JAはだの企画室長】 准組合員はまさに多様です。JAはだのは長年、組合員7000人の時代があり、そのとき正組合員が3000人で、准組合員が4000人でした。そのころは地域に密着した准組合員がほとんどだったので、一緒に協同活動ができました。
しかし、その後、組合員増加運動を展開し、貯金やガソリンスタンドだけ利用する組合員が増えたので、教育活動を強化し、座談会などに参加するよう声を掛けるようにしてきました。20%くらいの参加率ですが、徐々に増えています。こつことやるしかないと思っています。食と農に関心のある人が多い生協とのつながりも重要です。
【福間】 農家ではない600万人の准組合員について、国民目線で質問があった場合、どう答えたらいいのか。農業・食料という国民的関心の高い価値を前面に出していかないと、准組合員問題は押し切られてしまうのではないか。
【安部・東京都JAあおば経営企画部長代理】 JAあおばは正組合員2700人、准組合員2万7000人で、貯金残高約5000億円のうち60%を准組合員が占めます。准組合員の関心は金利だけです。いま議論になっている利用規制について関心を持つ准組合員がどれだけいるでしょうか。
ゼロベースで新しい関係をつくらなければなりません。2700人の正組合員も本当に農家かという疑問もあります。これは都市JAだけで考える問題ではないと思います。
ただ、都市型農協には大消費地に近いという強みがあります。県内自給率100%を超える県のJAの農産物を扱うなど、力を合わせることも考えるべきです。
【小林・JA東京むさし総合企画部長】 准組合員の考えが、なかなか分かりません。組合員との対話運動の一環として組合員家庭訪問活動を行っています。対話によってJAの価値を訴える必要があります。
【三瓶】 職員のあいさつが悪いとか金利が安いとか、ほんとうに細かいことについて、本音を聞けるのが組合員訪問です。
【小林】 「農業振興クラブ」は、その目的と方向性について十分説明し、理解を得る必要があるのではないでしょうか。
【髙以来・JA長崎県央常務理事】 JA東京みなみのコストコ㈱の話、参考になります。准組合員をメンバーとする「農業振興クラブ」の年間1200円の会費は、メンバーに受け入れてもらえるのでしょうか。
【志村】 准組合員にとって、出資金以外の会費ということには抵抗があるかもしれません。ここで必要なのはインセンティブです。JAの直売所の場合、そこでないと買えない品物を揃え、サービスを提供するという差別化戦略が必要です。最初は会費なしで始めるなど、やり方は、さまざま考えられます。
【中原・協同組合懇話会顧問】 「農業振興クラブ」は、理念の共有化がポイントになると思います。それが「食で農業を支える」では、少し弱いのではないか。
持続させるには、国連の定めた「SDGs」(持続可能な開発目標)の枠のなかで、協同組合に何ができるかについて、准組合員や地域の人と生活に近いところから一緒にやろうということで理論構成するべきだと思います。
【白石】 JA福岡市は農と食をつなぐ考えから、災害時には准組合員に食料の供給を保障するなど、「食と農に貢献するもの」として、准組合員を巻き込み地域活性化を実現しています。その取り組みに学ぶべきだと思います。
【竹下・鹿児島JAあいら総務部長】 准組合員の定義を変える場合、定款を変える必要はないのですか。
【荒川・新世紀JA研究会小委員会委員長】 定款変更は考えていません。解釈変更でいいと思います。「農業振興クラブ」は排除の議論ではないので、地区外でも組合員になれるという考えも出ています。
【竹下・JAしまね代表理事組合長】 利用権設定などで農地がなくなると、准組合員に変更せざるを得ない状況もあり、准組合問題は、農地法と併せてもっと深掘りする必要があります。引き続き、新世紀JA研究会や小委員会のなかで、全国組織を巻き込んで検討していただきたい。
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