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【岩手・農事組合法人となん】規模のメリット追求 小規模・非農家ぐるみで2019年6月11日

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農事組合法人となん代表理事組合長 熊谷 健一 氏

 直接・間接的に農業経営に参入するJAが増えている。その多くはJAが出資する法人形態だが、増える農作業あるいは経営委託の希望にどう対応するか、また組織面での従来の集落営農との関係など、まだ経営モデルとして確立しているとは言い難い。全国トップクラスの経営規模を持つ岩手県盛岡市の農事組合法人となんの取り組みを紹介する。

20190611 ヘッドライン 農事組合法人となん代表理事組合長 熊谷 健一氏熊谷健一氏

 

 農事組合法人となんは平成25年の3月に設立し、現在、米、小麦、大豆、米粉用米、加工用トマトなど1004haを経営しています。法人の理事は12人、監事3人、4人の作業員を含む職員9人の体制です。作業員のうち2人は、新規就農のための研修「農の雇用」です。今年4年の研修期間を終えました。「となん」から30haを分け、農機具を貸すなどで支援しています。
 「となん」の設立趣意は「地域農業が抱える諸課題の解決を図り、地域農業を次世代にうまくバトンを渡す役割を果たしていく」です。そして経営理念の一つは「人と農地と組織を活用し、担い手の育成に努める」ですが、もう一つの理念「地域の営農と豊かで住み良い地域社会づくりに貢献します」は、「なぜ農事組合法人が地域社会に貢献しなければならないのか。法人は農地の管理だけでよい」などと、当初猛反対されました。
 日本の農業、農村は小規模の農家が頑張っており、大規模一辺倒では地域社会が崩壊します。農家は小さくても大きくても地域の一員です。一方、20haや50ha、100haの大規模農家は法人に入れるなという声もありました。しかし、こうした農家がいないと農地を集積しても、それを使う農家がいないことになってしまいます。
 「となん」は盛岡市にあり、管内には約5万5000人が住んでいます。旧学校区単位に15の営農実践班を組織し、農地、作物を管理しています。集落数は42、戸数は1500。水田は1432haで畑が約1000ha。9割近い水田を「となん」が押えています。
 平成19年から農地・水・環境保全向上対策が始まり、約1900haが対象になり、毎年1億~1億3000万円の交付金が入り、それで非農家も取り込んだ農地管理、水路、草刈り、道路の整備などやってきました。重要なことは、いかに国の事業と非農家の労働力を活用し地域を元気にするかだと思います。

 

◆現場乖離の集積事業

 農地の集約は必要です。しかし農地中間管理事業は誰が考えたのでしょうか。スタートしたとき、これで農地集積が進むと期待し、2年間苦労して600haを集積しました。せっかく集積しても受け手がないとどうしようもありません。そこで貸し手と受け手を対(つい)で申請したところ、受け手が決まっているのは利用権設定ではないとして受け付けてもらえませんでした。現場が分かっていません。「農地中間管理機構」と難しい言葉を使っていますが、要は農地を管理できない人が、管理できる人へ農地を預けるのであって「農地貸し借り安心機構」とすべきだと思います。
 「となん」の10年を振り返ってみると、農家の所得向上につながるスケールメリットはあったと思っています。平成28年で農産物販売額約6億4000万円、それに交付金等6億1000万円を合わせて約12億円、交付金は1農家平均60万円です。
 平成29年からの第2次中期3か年計画では、(1)農地利用、(2)生産販売、(3)生活とくらしの活性化の3つを掲げました。農地・作業の集積、遊休農地化防止、独自の軽微な農地改良、農業機械・労力銀行の育成、営農実践班の法人化などに取り組んできました。生産販売では農協との販売連携、野菜の直営事業、米の輸出、米粉の加工委託と販売、農業体験の受け入れ事業などです。

 

◆2000ha将来誰が管理

 現在「となん」の水田は全作業受託を約80人、自己完結農家を約150戸、3作業受託を約100人で管理しています。毎年20、30haの作業依頼がありますが、対応しきれなくなっています。生産者が高齢化するなかで2000haもの優良農地を将来だれが管理するのか。2、3年後にはその構想を立てなければなりません。
 農地集積は受け手農家の作業・経営の効率化のためです。1か所で最低でも10haなければ効率は上がりません。そのため平成30年までに農地耕作条件改善事業で70ha実施しました。また200haの県営圃(ほ)場整備事業も予定しています。
 いずれ受け手農家だけで農地の管理は難しくなるでしょう。そこで出し手農家、あるいは地域の非農家の労働力が必要になります。管内にはそのための集落組織はあり、地域ぐるみの農業を考える必要があります。

 

◆農地管理株式会社も

 農地の管理では「農地管理株式会社」の構想を持っています。農協、行政、法人、土地改良区、農業委員会などが話し合って、2000haの農地をどう管理するかです。その中で、関係する組織のワンフロア化は当然です。人の確保も含め、今年からスタートさせたいと思っています。
 これまでの経験から、水田農業の大規模化一辺倒は日本農業、集落を崩壊させるのではないかと思っています。法人は儲けなさいと言われるが、文化、自然、「結い」の心、つまり助け合いの精神が大事です。農協もそうで、この考えが無くなると、農協は地域から離れてしまうでしょう。次の世代に問題を残さないようにしていきたいと思っています。

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